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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

命日の墓参り

2017-08-14 09:00:00 | 日記
 父が亡くなってすでに20年が過ぎた。8月14日が命日だ。危篤だと連絡を受けた時、私は単身赴任していた静岡の仕事場にいた。夜も遅い時間だったが、周囲の同僚はほとんど誰も帰っていなかった。忙しい盛りだったのだろう。事情を話すと、新幹線はもう無いので車を借りてすぐに神奈川に帰った方が良いと言ってくれる声もあった。しかし、私は翌朝一番の新幹線で帰ることを決めた。電話の向こうで気丈に振る舞っていた母と妹のことは心配だったが、父の最後に会いたくなかった。これで最後となる父に会うのが怖かったのだ。

 翌朝どうやって帰ったのか全く覚えていないし父に会いに行った先がどこだったのかすら思い出す事ができない。ただ父が眠るベッドに到着するとすぐ、母が私の顔を見てほっとしたというレベルを超えて大喜びしたのを覚えている。妹はそのそばで青い顔をしていた。父は日が昇る前に亡くなっていて、永い眠りに入っていた。それから私が到着するまでの短時間の間に妹が病院側と葬儀社と、双方にしっかり話しをつけていた。
 
 葬儀は数日後に行われたはずで、私は喪主である母に代わって来場者に向かって挨拶をした記憶はあるのだが、私の記憶は病院のベッドでつい今しがた息を引き取った父の眠る姿から一足飛びに葬儀の挨拶の途中、父をどう説明すればいいのか考えている自分が、マイクを握りながら言葉に詰まる姿に移ってしまい、その間の記憶が無い。挨拶をしながら私は、まだ小学生だった娘と息子の姿をずっと目で追っていた。父の血がつながった子供たちがそこにいることが嬉しかった。父を尊敬していたのに、ずっと避け続けてしまったその時の気持ちを、父を慕って集まってくれた多くの皆様にどう伝えれば良いのか言葉に詰まったまま私は考え続けた。
 
 
 それから毎年、8月になる前から「今年の墓参りは大丈夫なんだろうね?」と母から電話がかかって来たものだった。父の命日に墓参りをするのが自分の務めであると母は考えていたのだろうと思う。もちろんお彼岸を始め、ことあるごとに墓参りを強要されたものだったが断る理由が無い場合がほとんどで、そのたびにドライバーを務め、墓所までの送り迎えの間に現代社会に発生している理不尽なことの一覧を端から聞かされる羽目になったものだった。一覧の中の多くの部分は生前の父の理不尽な行いに関係していて、その原因は父が兵隊として戦争に連れていかれたことだと分析したりもしたが、母は戦争でなく父に対して悪態をついた。いつまでも父のことが忘れられないのだった。
 
 そんな母も今は父と同じ墓に入っている。似たような墓ばかり並ぶ霊園の一角の小さな墓だ。今年も8月14日に墓参りをして、あなたたち二人の孫が近いうちに結婚することになりそうだと報告をする。線香と花を供えて。(三)
 

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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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