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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

梅雨の記憶

2013-06-10 08:17:19 | 日記
 梅雨に入っても雨が降らない。天気の話で会話を始めることが多いので、から梅雨話は話題に上がることが多い。天気予報などでも梅雨入り宣言を弁解するように梅雨に入ったのに雨が降らない状況を解説する。「今年は」「平年は」というキーワードを聞くうち、自分の経験してきた過去の梅雨はいったいどんなものだったのか振り返ってみたくなった。
 
 私の一家は私の小学校入学に合わせて神奈川県中郡伊勢原町に引っ越した。学校までは田んぼのあぜ道や沼の脇などを歩いて2キロ以上歩かなければならない新居だった。おそらく水田や用水路を間近で見るのはそれが初めてだったからだろうと思うが、春の入学時期には見渡す限りどこまでもレンゲの花で覆われたピンクの絨毯のような田んぼに驚き、それがすぐさま掘り返されて黒々とした土に変っていくさまを見てまた驚いた。そこに用水路から水が流し込まれ、ついこの前まで大地だと思っていた地域が遠くのかなたまで水を張ってキラキラと輝く湖のように生まれ変わった。田んぼだけでなく畑も春には耕されて柔らかい黒い土でウネが作られ、野菜の種が植え付けられた。わが家の周囲の畑では里芋が植えられ、梅雨の時期にはもうだいぶ大きく育った葉っぱの上で雨粒がコロコロと踊る様子がとても綺麗だったのを覚えている。
 
 田んぼには稲の苗が植えられ、梅雨の頃にはシュッと伸びた稲の葉の緑が水田を柔らかい緑色に色づかせていた。集落に近い地域では農家の軒先に巣を作ったつばめのつがいが用水路の上や道路脇の雑草の周囲を勢い良く飛び、雑貨屋兼駄菓子屋のおばちゃんがそれを見て、今日はつばめが低く飛んでいるから雨だなどと訳知り顔で子供たちに話しかけたりしたものだった。
 男の子も女の子もテレビまんがの主人公たちがプリントされた派手な傘やビニール長靴を持っていたかもしれない。ただし、今のように男の子女の子自由に好きな色を持つということはほとんどなく、男の子は青系統、女の子は赤系統としっかり区分けされていた。道路はほとんど舗装されていなかったので、あちこちに濁った水たまりがあり、雨の日はできるだけたくさんの水たまりに足を突っ込んで歩きたいと考えている子供たちにとって長靴は必需品だった。
 
 学校の裏手にはこんもりとあじさいが密生している場所があり、どこかその辺で捕まえてきた大きなかたつむりを教室に持ち込んで歩かせている子もいた。かたつむりが歩いた跡がネバネバとはっきりわかるのをその時初めて知った。かたつむりは授業が終わるまで教室の中に足跡を残し続け、子供たちが帰る時間になって元いた場所に戻された。あじさいの葉にかたつむりを乗せると、形の小さな春のアゲハ蝶がその上をひらひら舞い、そこに梅雨の合間の陽の光が差し込んで、振り仰ぐとぼんやり虹が見えて子供たちが歓声を上げる、そんな光景が蘇った。(三)
 

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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
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