年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

東京タワー

2013-06-23 | フォトエッセイ&短歌

 東京スカイツリーが観光スポットとして大人気となっている昨今、いま何故のQuestionだが東京タワー(芝公園内の旧総合電波塔)に昇る。展望台からは東京スカイツリーが目前に望まれるが、東京タワーほどの迫力が感じられない。こちらが甲冑に身を固めた騎士なら向こうはドレスを纏った貴婦人というところか。
 とは云え未来を託された前途洋々の東京スカイツリーと老兵は去るのみと役割を終えた東京タワーでは人々の眼差しの熱さが違う。そういう事もあるのか、将来展望のためにアンケート調査をやっていて回答者になった。設問の一つに<東京タワーと云えば何を連想するか>という面白い問いがあった。
 すかさず記録的大ヒットとなった『ALWAYS 三丁目の夕日』を上げた。映画の物語は昭和33年で東京タワーが空に伸びていく映像と共にミゼットだのテレビだの冷蔵庫だの思い出の品々が時代を映しながら登場してくる。そして、そこに生きる庶民の健気な心意気が全編から溢れかえってくる。
 私が中学に入学した頃で町に一台というTVを持っている資産家の縁側に鎮座するテレビを見にいった記憶がある。力道山の空チョップに歓声を上げ、白井義雄のボクシングにイライラした事を思い出す。ミゼットを乗り回し、やがてオート三輪車で砂利道をガタガトと走ったり、市電と併走したりした事もあった。
 『ALWAYS 三丁目の夕日』は私の青春の門出でを思い出させる古里のような映像であった。東京タワーは333メートルの日本1。ドッシリと4脚を踏ん張り赤銅に毅然と輝き聳える鉄骨は過ぎ日の日本の成長期を象徴しているのである。星野六子を演じた堀北真希が最優秀新人賞を受賞するなど『ALWAYS 三丁目の夕日』は数々の映画賞を独占している。
 吉岡秀隆(茶川竜之介)に世話になる子役の須賀健太(古行淳之介)の何とも味わい深い風貌と演技が印象に残ってその後どうしているのだろうとしばし思い出しもした。ところが先日『ひまわり』~沖縄はわすれない あの日の空を~(1959年6月 米軍ジェト機が宮森小学校に炎上墜落し大惨事を招いたが、その記録をもとにした映画)に古行淳之介の面影を残し大学生に成長した須賀健太がNHK朝ドラで話題のじぇじぇ能年玲奈と共演しているのにはビックリした。
 
もうこれで最後、訪れる事がないであろう東京タワーの勇姿

  焼け跡の街いきいき立ち上がる東京タワーの高きに負けじと

  四肢強く揺るぐ事なし半世紀電波発して画像届ける

  東京の都市伝説を眺め来た東京タワーは語る事なく

  三丁目の赤き夕映え今はなく東京砂漠に富士の嶺かすむ

  鉄骨を朱く染め上げ陽は西に薫風にのり梵鐘(かね)の音響く


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