年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

新春の闇の中に

2008-01-02 | フォトエッセイ&短歌
 称名寺は闇の中に浮世離れの光のページェントを展開している。暖かな彩りの反橋の向こうにヒンヤリとするような清浄な浄土の金堂が浮かび上がっている。池に映る光が一層の華やかさも添えている。初詣の人々の驚嘆や喧噪も闇の中に消え去り、しばし幽玄の趣に浸る。 
 浄土思想の荘厳のために設けられた阿字ヶ池を二分するように中島に架かる反橋と平橋を渡って金堂に達する(浄土曼荼羅(まんだら)に基づき造られた浄土式庭園)年末から正月に行われるライトアップで市民の人気を呼んでいるという。
 称名寺は北条実時(さねとき)が別荘を建てて住んだ時の持仏堂がその発端となっている。武蔵六浦荘金沢郷がその地名である。実時は鎌倉幕府の3代将軍・源実朝を滅ぼした北条義時の孫で北条政権の知恵袋であった。学問を好み多くの書籍を集め「金沢文庫」の基をつくった。


 藁葺き屋根の釈迦堂(しゃかどう)のフェードイン。1308(徳治3)年銘の庫中には釈迦如来立像(制作:鎌倉時代のもので国の重要文化財)が安置されている。釈迦堂の前の鐘楼。金沢八景の一つである「称名晩鐘」とうたわれているものだが、現在その鐘の音を耳に出来るのは大晦日の除夜の鐘のときだけで日常は使用されていない。


                                    
 京浜急行:金沢文庫駅から徒歩約15分で称名寺赤門につく。100個近い提灯が夜の初参り客を迎えてくれる。チョット変わった参道を進むと仁王門が人々の群れを飲み込んでいく。仁王像もライトアップされ、ひときわ怖ろしげな表情をしている。
 寺院の門の両端に立つ二体の王、彼等は清浄な寺院の境内を悪から守る金剛力士像なのである。二体の仁王様は「阿」「吽」の形相で密教の世界観では、すべての始まりと終わりを表しているのだそうだ。 さて、謹賀新年、仁王様の出番です。頑張ってもらわなければならん。偽=作為をくわえて本来の性質や姿をためなおすの意(漢字源)。偽証・偽造・偽装・偽称・偽詐・偽贋・偽涙・偽史……出るわ出るわ。この不逞の輩どもを懲らしめてもらわないといけない。         
      
<所在地:横浜市金沢区金沢町212-1 境内全体が国史跡に指定されている>