経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

「天文館」

2006年09月21日 | Weblog
 鹿児島市の中心商店街の、そのまた中心の商店街のいくつかで構成されている地区を、一般に「天文館」と呼ぶ。
 「天文館」という商店街があるわけではない。どこからどこまでが天文館と、線を引くことも難しい。商店街かとそうとも言えない。飲み屋街、商店、遊技場、オフイス、ホテル、デパート、小さなスーパー、バスセンター、公園、マンションなどなど、実に雑多。ごちゃ混ぜの街である。私がここへ住んでいた40年前には、ストリップ劇場などもあったが、良貨が悪貨を駆逐し、いつの舞か消え、つい最近、シネマに押され、映画館が消えた。

 私は、この中心商店街を全国の商店街の中でも、いわゆる商店街としてはトップクラスの魅力をもっていると思っている。新幹線の開通で、鹿児島中央駅の商業施設 「アミューズ」を核をする新たなショッピングゾーンができたが、なんその。はっきりいって博多の天神や中州より、あるいは梅田や難波より、銀座より、この天文館が魅力的だ、と思っている。身びいきではなく、である。その理由を3つのキーワードで示せば、「ごちゃまぜ」と「自然淘汰」、「自然発生」ではなかろうか、と思っている。

 この天文館の特徴は、大まかに言えば、1に核なし、2に大型駐車場なし、3に区画整備事業なし、というところだ。
 まず1.山形屋百貨店、三越共に、この天文館からかなり離れたところへ位置していて、電停も別。昔から核ではない。昔はこの街に、大見高島屋という小さな百貨店があったが、核になるほどの力なく業種転換し、今はテナントビルとして栄えている。もちろんナショナルチェーンも量販店もない。ようは強力な核となる施設はないのである。2に、駐車場がない。相当離れた公園に、10年前に公営地下駐車場がやっと作られたが、それまでは100%、民間のそれも結構高い駐車場だけであった。3に桜島の降灰を避けるためにアーケードは整備されている。歩道も、カラー舗装もある。各商店街の振興事業は盛だが、道路を動かしたり、区画整備をしたり、といった街の新陳代謝を促進する事業をやっていない。少々オーバーな表現になるが、あくまで自然発生的で、ここまでたくましくなったのである。

 1に核、2に大型駐車場、3に近代化整備事業といった3つの条件が街作りには不可欠と思っている関係者からみたら、理論に逆らうまことに困った「天文館」だろう。
 
「核がなければ、人が集まらない街は弱い証し。この街は街自体が核で主役。だから百貨店も街に助けられているから、協力的。駐車場が安くなければ車の客がこないのであれば、それは弱い魅力のない商店街である。この街では900円のラーメン食べるために350円の駐車料金を払わせるほど力を持っている。中には、公安にべらぼうな駐車料金を払う人さえいる。お寺さんのあの副業、駐車場がはやるのも街のおかげ。」
 私は、きわめて乱暴な言い方だが、上のように考えている。

 ちなみに、自然発生的商店街である、といういいかたは自然発生が悪く、人工的を良しとするコンサルタントの常套文句だが、私はそれには猛烈に異論を唱えてきた。自然発生的とは、消費者のニーズによって経営された強い街でセオリーに則している。対して人工的な街は、コンサルや町の人が、よその箱を持ってきただけで、消費者のニーズではない、と考えているからである。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿