経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

自画自賛功罪

2008年07月28日 | Weblog
自画自賛という言葉を考えている。
自分の描いた絵を、自慢する。ここまではいい。
だが、それが売るためにどれだけの意義があるかどうか、とは別の意味と考えたい。
それは、自分で自分の自慢する人には、どこか人格的欠陥やあせりがあるといわれる。つまり、だれも自分以外の人が、この人よ、と言ってくれないことを自覚している証と、いえるからである。 


 で、このことを、強引かつ極論をあえて許していただけるとして置き換えて見てみたい。自分の会社や店、商品などを強くPRや宣伝するのは、どうみたらいいだろう。

もちろん自社、自社製品などを知らしめることや消費者に浸透させることは必要不可欠なことだ。微妙なところだが、そのこととは区別されなければならない。

 そのことを承知の上で、あえて重ねて問いたいのだが、自画自賛性向の強いPR、宣伝はどうなのだろう。ここで「どうなんだろう」の意味は、道義的、倫理的問題ではなく、経営をトータル的にみて是か非か。プラスかマイナスか。どちらがより得になるか、という意味である。

消費者に支持され、売れてしょうがないところでは、そうしたことは無用である。売れて行列、注文の催促が殺到する企業に必要なのは宣伝ではない。営業パーソンでもない。配送係である。

 このことを考えたら、そうした早い話が売れてしょうがないものを創ることに、フィードバックし力を集中させた方が企業としてのプラスなのではないか。それともほっておいたらなかなか売れない商品せっせと作り、それらを宣伝力で売りさばく方がよいか。企業としてはこの択一、戦略問題なのである。
 早い話が、売れないものを売る努力より、売れて、売れてしょうがないものを創る方にそのコストとエネルギーを投じた方が得策ではないか、というのが私の申し上げたいことである。

 一方、買う消費者の是非、幸福度、満足度という側面から、この問題をみたらどうだろう。前者が支持されるか。それとも後者か。この答え簡単である。価格が同じなら前者だ。
 この消費者にとって如何、という側面が考慮されていない。あるいは意識的に避けているのか。
 その証に、つまり売れないことを前提として、営業部があり販売促進といった対策が講じられる。 PR,宣伝といった部門的、あるいは方法レベル的戦略が、最初から講じられている。

 その以前の問題として、経営者は、「企業として」という側面からみて、有るべき理想の姿を前提として、ということと、「消費者としてどういう有りようがベストか」という側面とを、併せて経営判断するという、いわば戦略の根幹を忘れているのではなかろうか。

 少なくとも物作りの甘さ、仕入れの甘さを、営業の怠慢とし、それを宣伝広告や販売促進でカバーするということは、本来的には愚であるということから、目を背けての意志決定は問題視されてしかるべきと考える。

 人の自画自賛には嫌悪感を覚えても、自社の自画自賛に消費者がどう感じ、どう思い、その結果どう動くか。経営トップであるなら、戦略の本質とレベルを理解した上で、本質により近い順、よりレベルの高い順、より消費者の視点においての戦略に優先順位の力点を置いて欲しいものである。

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