経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

私は、実務家

2007年04月30日 | Weblog
 いつも、小理屈ばかり書いていると、空理空論者に見られる。私は実務家である。店舗や企業の事務所のレイアウト変更や、POP、ショウカード作成といった手と足を自分で動かし、やる仕事が大好きだ。そうしたことから、自分なりの理論、原則を考え、展開しているのだが、ここで力んで申し上げても、逆効果だと思うので、本稿は、静岡・大須賀町での「街の瓦版づくり」(同町商工会商業部会)の皆さん方に、お話したことを記し、実務と理論の結びつけ方を示してみたいと思う。

これまでチラシは、激安価格の目玉商品をちりばめ、それで集客をし、他の商品も買ってもらうことを狙いとしたものが殆ど。また、その日の売上確保を主とする媒体であるから、即効性はあるが、継続性はない。だがこれは売り手側の見方で、それを受け取る消費者にしたら、こうした売上稼ぎや店や商品の売り込みは、繰り返されるうちに(つまり持続的効果として)押し付けになり、プレッシャーになり、やがて刺激そのものも感じなくなる。こうなると見向きもされない結果になる。

ではどうしたチラシが、消費者から歓迎され、その効果が継続されるか。これまでたくさんのお店や企業経営者のご協力を得て、試行錯誤を繰り返してきた。以下。その一つ。
静岡県のA市、ガソリンスタンドの丸角商事(仮名)の事例。
以前、商業界に紹介されたので、ご覧いただいたかも知れないが、各店不統一、手書き手作り、単色でなんの変哲のない、むしろやぼったくダサイチラシ、手配りチラシである。
ポイントは、肝心な自店の売り込みは、ない。「発行者 丸角 弥次郎(仮名)」のしたに8つの支店名と(  )書きで店長名が記されているだけである。あとは市内、ときには各支店の近辺の商店や病院等の紹介をしているだけである。
講演で、このチラシを皆さんに見てもらうと、期待が大きかっただけに、「なんだ、これは」と失笑される方が少なくない。このことから、多くの皆さんは、チラシの出来映えに関心があることが判る。Yさんと私の狙いは、そんなことではなく「螺旋的効果の持続」
にある。

だから、当社の販売促進の方針は①自らを自ら売り込まない。他社、他者を売り込む②地域のお店の経営者から喜んで戴けることを掲載する③地域のお客に役立ち、喜んで戴ける情報提供に徹する、の3点。これは、私の口癖。「自分が暖かくなりたかったら、自分の周囲を暖かくすればいい」というものをYさんが、「経営理念に、もらっていいですか」と、いわれるので、OKしたものを販促の方針にアレンジしたものである。
詳細は、後日に譲るが、申し上げたかったのは、「地域社会に貢献」、「顧客満足優先」などといった立派な理念を、企業内での朝礼唱和に納めず、戦略化し、これを戦術に下ろし、外の人間に見える形になしてこそ、理念のありがたみ、戦略の効用、戦術の効果が計れるということと、その計れたという効果こそが、企業外のおびただしい人の評価の集積されたものである、ということである。
チラシすら、企業の外のおびただしい人々の支援、応援をいただける形を取ると、これまでの我が店、弧線奮闘のチラシなどより、遙かに持続的パワーを生むのである。