八尾市でも、多重債務者に苦しんだ挙句の自殺事件が発生している。貸金業規制法改正案から目を離せない。
一般的には、
1.多重債務者を救うために、グレーゾーンを廃止せよという認識であると思う。これは正論、そのとおり。しかし、グレーゾーンが5年間残るということは、グレーはグーレーを容認するものであり、グレーゾーンに苦しんでいる人への救済には成り得ない。グレーゾーンを5年間残そうというのは、まさに業界団体からの圧力が背後にあると断言しても良い。
以下、
読売新聞より。
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多重債務対策に抜け穴 貸金業規制法改正案
高金利なお存続 業界の意向にじむ
貸金業規制法改正案を巡る自民党内の協議は迷走の末、15日、ようやく合意にこぎつけた。グレーゾーン(灰色)金利撤廃の抜け穴になるとの批判が高かった特例高金利は、利率、貸出額、存続期間が当初案より圧縮されたが、貸金業者の意向を受けた議員らが特例高金利の存続にこだわり、結局は今後5年間も残ることになった。最終調整は特例適用の期間や金利の数字合わせに終始し、多重債務者対策は抜け穴を残す形となった。(岡田章裕)
合同会議を終え会見する増原貸金業制度小委員会・小委員長(中央)、金子金融調査会長(右)ら(15日夕、自民党本部で)
■複雑な制度
「事実上の灰色金利の存続だ」との批判に配慮して、少額・短期(期間1年)の特例高金利については、法律の公布から9年残る金融庁の当初案が5年に短縮された。利率は現在の灰色金利の上限である年29・2%(日歩8銭)から年25・5%(同7銭)へと引き下げられ、少額貸し出しの上限も当初案の50万円から30万円に圧縮されている。
しかし、特例高金利の制度そのものは存続したことで、多重債務者を生む要因とされる高金利の貸し出しは続くことになる。例えば利用者が別々の3社から10万円ずつ借りた場合、1年でうち1社分の10万円を完済すれば、もう1度10万円を借り直せる。短期の借り入れが繰り返される可能性があるわけだ。
しかも、返済途中の場合は借り直しはできず、同じ30万円の借り入れでも、1社から借りた場合は10万円の返済では借り直しはできない。複雑な制度が、かえって借り手側の混乱を招く恐れもある。
全国貸金業協会連合会などは金融庁案の「5年、28%」にさえ、「こんなもうからない特例に合わせて貸し出しをするところはない」(消費者金融大手幹部)と反対していた。特例高金利が金融庁の目の届きにくい中小業者に悪用され、「緊急避難的な貸し出しの道を残す」という趣旨が、十分生かされない可能性もある。
■信用情報制度
多重債務者の発生を防ぐには、貸金業者に信用情報機関への加入を義務づけ、すべての借り手の残高総額を把握して過剰な貸し付けを防ぐ仕組みを整えることが前提となる。特例高金利の貸し出しは新規利用者に限って認められるが、これをチェックするには利用者の信用情報の管理が大前提となる。
金融庁の原案は、法律の公布から灰色金利の廃止まで4年、特例高金利を認める期間を5年としていたが、「長すぎる」との批判を受け、最終的には廃止までは約3年、その後の特例期間は2年とされた。信用情報機関や業者がシステムを整備する時間が大幅に短縮され、多重債務者をチェックする仕組みの整備が不十分になりかねない。
自民党貸金業制度小委員会の増原義剛委員長は会見で「3年後の灰色金利廃止は努力義務。柔軟に考える」と、延期の可能性も示唆している。「特例高金利ありき」で最終決着が図られたことで、多重債務者の発生防止という法改正の主眼は達成できない恐れが残った。
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そして、
産経新聞では、
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自民、貸金業規制案を了承 上限金利20%に引き下げ
自民党は19日の政調審議会で、多重債務者問題に対応するため、出資法の上限金利と利息制限法の上限との間にあった「グレーゾーン金利」を廃止する貸金業規制の見直し案を了承した。関連法改正案を臨時国会に提出する方針で、法案作成後の10月に総務会で最終的な党内手続きを取る。
見直し案は、出資法の上限金利を現在の29.2%から20%に引き下げ、20%を超える金利を取った場合には刑事罰の対象とする。法改正から3年後に引き下げを実施、その後2年間に限って特例として25.5%までの金利を認めるとしている。
(09/19 15:26)
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という表現は聞こえが良いが、5年間グレーゾーンが残るということである。
さて、今回の貸金業規制法改正案を巡る攻防の背景には、
2.2005年度の年次改革要望書の存在があること、これを忘れてはならない。実は昨年の年次改革要望書には、所謂グレーゾーンを撤廃せよという項目があった。グレーゾーンの撤廃、一見すると20%、つまり利息制限法に合わせよと聞こえるが、実は逆。グレーゾーンを撤廃して、出資法の上限、29.2%に合わせろという意味だったのだ。
理由は簡単。アメリカのファンドが、日本企業に投資しているからである。また、「えっ?あの会社も外資系」であったりする。
・ディック・・・運営会社はCFJ株式会社。大手外資系銀行シティバンクと同じシティグループに属している。
・レイク・・・現在は世界屈指の金融グループGEの傘下に入っている。
借金に借金を重ねる多重債務者を如何に救うか?
借金に借金を重ねる多重債務国家を如何に救うか?
国会での厳しい議論を期待したい。