長尾たかしの・・・未来へのメッセージ

自民党衆議院議員長尾たかしのブログ。平成11年からネット上で情報発信を継続。サラリーマン生活を経て政界へ。

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地方自治のあり方について

2012-01-31 12:45:49 | 自治
大阪維新の会に関する問い合わせをたくさん頂いている。というか、地元に帰れば、ほぼこの質問ばかり。マスコミ的な切り口としてこれ程にまで興味深い政局話は他にない。しかし、今、政局について語る余裕がない。ただ、政治家であるから政局は逃れられない。政局については、国・地方(地元)における、其の時の突入の仕方、環境次第の判断であると思っている。

以下は、09年6月23日に地方自治に関して記したブログである。この考え方は今も変わっていない。
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地方分権問題は、国も地方もそれなりの覚悟が必要であると思う。本気で地方分権を進めたいのであれば、まず、地方から自然発生的に、分権化の声が高まっていくことが必要不可欠。しかし、手厳しい言い方になるが、地方からの声が高まるどころか、なによりも中央集権推進派の知事を当選させている大半の地方の住民こそが、本気で地方分権を望んでいないのではないかと私は分析している。政治家、特に族議員を選ぶのは有権者であるから、一概に政治ばかりの責任にするというのは如何なものかと思う。政治家は政治家を選べない。政治家を選ぶのは、私達有権者自身なのである。

陳情型政治家の立場に立ってみると、選挙に勝つ為には、自らの実力をアピールすることが必要だ。その為に、財源を地方に移譲するよりもむしろ、中央政府が握っていて、ポーズであったとしても中央政府に影響力を見せ付け得点を稼ぐ方が好ましいのだ。一方、地方公共団体の立場に立ってみると、現在、多くの施策は国が企画立案し、国に陳情することによって補助金を獲得し、施策を実施している。これが、財源自体が地方に移譲されれば、地方自治体において企画立案から行う必要となってしう。それよりも、国の施策を陳情によって獲得し、淡々と遂行する方が楽だという面も考えられ。政治家にとっても、地方にとっても、財源の移譲について諸手を挙げて賛成というわけにはいかない。

それがきっと「本音」である。

地方分権によってどのようなメリットがもたらされるのかといったことを地方の住民が真剣に考え、その結果、地方分権を望む声を形成させることが必要。地方分権推進論者は、まず住民意識覚醒、囲い込みから始めるべきだ。おそらく一部の役人、一部の政治家から想像を絶するような反対をうけることになるだろうが、すべての出発点はそこにあるような気がする。

我々国民は「地方の自立とは何か」を考えていく、この一点に全てを集中させることだ。税源の移譲、権限の移譲とは、実は地方にとってある種の覚悟を迫るものであると理解するべきである。移譲されたからには他に予算を求めないという覚悟だ。私が大前研一の下で学んでいた「道州制」とは、自活できる経済単位で地方経済を考えていこうというもの。残念ながら、そういった意味を踏まえての自治体の合併論議は皆無というのが実情。

では、どこから手をつけていけばいいのか。地方分権の何たるかを理解し、実現できる知事や地方自治体のトップを選び出すこと。それが国民の責任であると確信する。そして、彼らと共に、国を変えるのだ。

国が変わらなければ、地方は変わらない。

大阪府民は橋下徹を知事に選出した。先般行われた、民主党と橋下知事との間での地方分権社会についての議論がいろいろなところで活発だ。当日私も会場にいたが、マスコミが指摘するように橋下知事は非常に積極的に地方分権社会を論じたが、我が民主党のそれはやはり迫力に欠けた。私としては政策的に限りなく橋下知事と合致する点が多い。

私が考える道州制の単位は、経済的に自立できる単位を基本とする。都道府県という単位をゼロベースで撤廃し、新たに再編成する。地方に対する権限の移譲、財源の移譲とは、ある意味独立採算してやれという意味合いが強い(とすると、地域負担金は撤廃しても、地方交付税、国の直轄事業はどう位置づけるのかという議論も避けて通れない)。民主党の場合、地域住民と密接な関係にあるという部分を重要視し、基礎自治体300に拘っているのだが、それだけの理由で基礎自治体が自立できるのだろうかと考える。経済的に自立できなければ、地方の自立も有り得ない事だと思うのだ。

今までの重複のある二重行政に対し、民主党案は二元行政。橋下知事が指摘するようにこれではやはり、国と地方の関係に過ぎないのである。一気に道州制に改革するとどこか都合が悪いのだろうか?そんな質問が橋下知事からなされたが、ボールは返されなかった。

私のイメージは以下のとおり。国は、基本的に教育、外交、安全保障以外は地方に権限を移す。そして、経済的に自立できる道州という単位で企画立案し、調整し、権限は300の地方自治体でに下ろす。とすると、都道府県の位置づけが変わってくる。今までは市町村に対して権限を持っていた都道府県が事実上解体され、権限のない道州という立場をとるということになる。基礎自治体と国との間に道州制というクッションをおかなければ、地方分権は不可能であり現実味がないと思う。
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このタイミングで、地方からの自然発生的な、声が上がっており、結果、橋本旋風が吹き荒れた事は、゛地方分権の何たるかを理解し、実現できる知事や地方自治体のトップを選び出すこと。それが国民の責任であったと確信する。そして、彼らと共に、国を変えるのだ。゛という時代に入ったと解釈している。言わずもがな、私が当時指摘したように、二重行政の解消は認めるも、民主党は二元行政を押し進めた事で今回のダブル選挙に敗北したのだ。それを揶揄して、こうつぶやいた。


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『何かをやる為に組織が障害になっている』と、考えている人の数が、組織を構成する人の数を超えているような気がします。そんな組織ならば、ぶっ壊れた方がいい。与野党の協議を見ていると政党政治の限界を感じます。
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党内議論の中で、大阪の地方自治についてのあり方議論となるとことごとく孤立し、選挙対策でも孤立した。それでも、本音は言い続けてきた。・・・表でも裏でも。あれから、4年近くが経過し、私が前述した事に加えるこち、まず、広域自治体と基礎自治体の役割分担が必要であるという事、多々あり。あらためて整理しているところ。
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身を切るだけで、何もしなければ経済は好転しない・・・第180通常国会召集

2012-01-24 09:33:25 | 社会保障・税
いよいよ通常国会召集。6月21日迄の150日間。昨晩上京したが、ほんの一時間程建物の中に入り外へ出たら大雪。荒れ模様を想像する。

今年に入り2回のタウンミーティング(106,107回)を実施、ここ3日間、久宝寺・福万寺地区を歩かせて頂いた。暖かいお声、厳しいお声、絶縁のお声、無言・等、実に参考になった。政局にしか興味のないマスコミ報道に接した有権者の相当割合は、臆する事なくその流れの延長線上で接してこられる。皆さん同じご指摘を話してこられる。そうでない方々もいる。身近な生活の問題を切々と語られる人もいる。経営者の立場から、主婦、学生の立場から。大切なご意見だが、全てが叶う事はなく、最大公約数を頭で考えている自分がいる事も事実。そんな中、少々の不安が芽生え、今大きな不安になっている事がある。

議員定数削減・国家公務員給与引き下げが行われれば消費税引き上げもやむを得ないというご意見が実に多い事だ!?!?

政権の内部にとっては好ましい事かもしれぬが、「それで良いのだろうか?」逆に質問してみると「なるほど、あんたの言う事も尤もだ」となる。政治・行政改革は年末に何度も記したとおり、税率引き上げの前提条件である。税率引き上げの前に成すべき事であり、これはお約束した。しかし、これでデフレ脱却・円高抑止が達成される訳ではない。あくまでも、国民感情・政治家の国民に対する姿勢を示すという事であって、そもそもの問題解決にはならない。

今年、1月6日の素案の中には以下のくだりがある。
※は、長尾のつぶやき
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(2)経済への配慮
経済状況を好転させることを条件として遅滞なく消費税を含む税制抜本改革を実施することが必要である。 政府は、累次の補正予算等を通じ、震災復旧・復興、円高対応及び経済活性化に向けた所要の措置を講じてきたところである。

また、デフレ脱却によ ってこれまで抑えられていた需要を回復させるとともに持続的な経済成長 を実現することが重要との認識の下、デフレ脱却に向けて日本銀行と一体と なって取り組んできた。
※取り組んできていない事を指摘する。

引き続き、景気の下振れの回避に万全を期すため適 切な経済財政措置を講ずるとともに、「新成長戦略」、更には先般決定した「日 本再生の基本戦略」に沿った成長の姿に早期に近づけるため、デフレ脱却と 経済活性化に向けた更なる方策を講じ、日本経済の再生に取り組む。また、 経済政策としての有効性がある税制措置についても、納税者の納得を得つつ、 果断に実施する。

こうした取組等により、足下の景気は緩やかに持ち直しており、先行きに ついても、各種の政策効果などを背景に、景気の緩やかな持ち直しの傾向が 続くことが期待される。
※持ち直していないし、期待もされない。

平成 24 年度には、復興需要の増加が着実な成長を支え、名目 2.0%程度、 実質 2.2%程度の成長が見込まれ、平成 25 年度以降においては、復興需要が一段落するものの、民需主導の経済成長への移行によって経済が堅調に推移すると考えられる。ただし、海外経済の動向などから景気が下振れするリス クが存在することには、十分注意する必要がある。
※そんな政調予測は今出来ないし、堅調な推移等考えられる根拠がない。

以上を踏まえれば、法案提出時点における総合的な判断として、経済状況 は好転していくとの見通しが立てられる。
※この見通しは全く立たない!!!!!!

これを踏まえ、平成 21 年度税制改正法附則第 104 条に従い、本素案に沿 った各税目の改正内容・時期を盛り込んだ法案を今年度中に提出する。なお、法律成立後、引上げにあたっての経済状況の判断を行うとともに、 経済財政状況の激変にも柔軟に対応できるような仕組みを設けることとする。具体的には、消費税率引上げ実施前に「経済状況の好転」について、名目・ 実質成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的 に勘案した上で、引上げの停止を含め所要の措置を講ずるものとする規定を法案に盛り込む。
※引き上げの停止を含めた所要の措置については今後特に注目したい。
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素直に読めば、経済の好転、デフレ脱却、円高抑止という前提条件は、もうぶっ飛んでいる。

年内にまとめた党の方針とは相当違った内容である事を指摘し、危機感を皆さんと共有したい。これを根拠に社保税に関する記者会見がなされるのだから、国民有権者の多くは、錯覚を起こす。議員定数削減と国家公務員人件費削減を行い、政治行政が身を切るならば消費税率引き上げも致し方ないと、、、。

ある意味、政治が国民を思考停止に陥らせてしまっている。

あらゆる非難が政治家に向けられる時代であり、政治家はそれを受け止めなければならない。それもまた職責であり重々承知している。それが故、まずは、議員が身を切る姿勢をみせる。しかし、「身を切るだけで、何もしなければ経済は好転しない」という事を、国民有権者の皆さんには、更にこれを政治家に突きつけて欲しい。野田政権に突きつけて欲しい。

身を切る事は、実は政治家としては一番楽な手法なのかもしれない。繰り返す。身を切るだけで、何もしなければ経済は好転しない。

マスコミは政局にし、選挙にしたい。まぁ、それも良いだろう。政府・与野党の面子ばかり重んじる国会運営が続くならば、自分の当落はさておき、解散総選挙も必要だと思っている。でも、これも同じ。解散して経済は好転するのか?? 戦後政治と日銀は何もしてこなかったのである。民主が与党であれ、自民が与党であれ、このままでは何も変わらない。では、何をしたら良いのか。これは別のスレッドで魂を入れて記したいと思う。

この辺りの議論が、本国会における、私の戦いになると思う。
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部門会議本格化

2012-01-18 11:27:32 | 社会保障・税
厚生労働部門に関する会議が本格化した。がん対策基本法の見直し、雇用保険法及び特別会計に関する法律の改正、子どものための手当支給に関する法律改正、国民健康法改正などが、冒頭閣議決定の予定で本日これを了承した。

雇用保険法改正についてはやっぱり暫定措置の延長。景気回復がなされなければ原資は減るばかり。厚生労働部門会議においても、経済産業部門に対して物申すくらいの雰囲気は欲しいものである。また失業給付の積み立てからの雇用調整助成金の原資を借り入れしているのだが、暫定措置が続けば、原資はいずれ底をつく。もう「子ども手当」という言葉を使えない永田町。散々バラマキと揶揄されたが、年末の社保税一体改革議論で明らかになった事は、我が国の社会保障制度は高齢者に手厚いという事。ある意味、選挙によく行く人たちへの対策となってしまった格好だが、選挙権のない子どもへの手当は、改めて3党協議を経て成立する予定。全額国庫負担は実現できていないが、若年層への流れは今後拡大できるだろうし、過払いの原因となった年金特例水準の解消により、現役世代の負担も将来的には軽減される。国民健康保険については、本来一元化したいところだが、年金において被用者年金の一元化という経過を経るのと同じように、まずは国民健康保険の財政運営の都道府県単位化の推進を成していく。同時に財政基盤強化策を高級化し、都道府県調整交付金割合を引上げ、定率国庫負担を引き下げる。

どれもこれも、先送られた事を地道に解決していく他はない。解決して尚、評価されるべきものでもなく、物事の好転、国民の皆さんがこれを実感して頂けるには、課題が多い。

以下、加筆
上記は予算関連法案。今後は、高齢者雇用の安定化に関する法律の改正、労働契約法改正、厚生年金保険法の改正、健康保険法改正、障害者自立支援法改正などを予定。
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原点を貫く

2012-01-16 17:15:12 | 国会
久し振りの永田町。24日からの通常国会に備えて各種会議が始まっている。

今日は民主党大会が行われた。国民新党亀井代表の挨拶が印象的であった。持論に溺れるな。世界的暴風雨の中、TPPや消費税率引上げという帆を揚げて大海に乗り出す事について野田代表自身の覚悟を問われていた。繰り返すが、消費税率の引上げについては誰もが将来的には必要と考えている。しかし、この環境下で成すべきかどうかという事が論点。地元で実施しているタウンミーティングも106回を終えたが、皆さん同じ意見。今後激しい議論がなされる事をある意味期待したいと同時に、当事者として臨んで参りたい。

通常国会では冒頭、議員定数削減と郵政関連法案、公務員人件費削減関連法案が最優先される。これに対し、野党がどう対応してくるのか。税率引上げ時期のついての議論の前に、特に政治改革について野党が反対するのか。参議院が捻れていても、これを堂々と示していく戦法は私の周辺で繰り返し政府に、執行部に求めていた事であった。以て、世論がどう動くのか関心を持って進めていくべきだ。

今日の党大会での野田代表は「原点」という言葉を繰り返し使っていた。私も自身の「原点」を忘れる事なく、これを貫き、通常国会に臨んで参りたい。
※原点・長尾たかしが目指す世の中
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TPP問題、医療界が押さえるべきツボ

2012-01-07 00:00:00 | TPP
ロハス・メディカルという医療専門誌の取材を受けた。以下、TPPと医療に関わる問題について掲載されているので、ご一読頂きたい。


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TPP問題、医療界が押さえるべきツボは②―長尾敬議員に聞く
(2011年12月22日 18:14)

 前回に続き、TPP問題の医療界に及ぼす影響についてそれぞれの立場の国会議員から語っていただきます。今回は慎重派の立場を取る長尾敬衆院議員(民主)です。

 TPP交渉参加に関する議論はいまだ続くが、水掛け論の応酬になっている場面が多々見られる。賛成派と反対派の主張の根拠が違うまま議論していることが一つの理由だろう。
 そこでこのインタビューでは分かりやすく議論を整理するため、それぞれの立場の国会議員に次の3つの質問に答えて頂くことにした。

①TPP交渉参加することにより税収が増え、それによって社会保障費も増えるという絵を描くことはできるか?
→賛成派の主張の根拠は「税収増による経済の活性化」といったことなど。仮にそうなったとして社会保障費にも移されるなら、医療界の診療報酬を上げることだって考えられるようになるのではないか? そもそもここが食い違っていると議論にならないため、整理する。

②医療界の懸念する、国民皆保険制度への影響や営利企業の参入は、どれぐらいの可能性で起こってくると思うか。またそれらから守るために、国会議員としてどうしていくか。
→医療界の最大の懸念の部分。

③日本の医療界への外国資本参入、また混合診療解禁は、そもそも「悪」なのか?
→②に関連するが、本当にこれらは悪い事なのかどうかという議論がそもそもされていない。


 第一回目は、長尾敬衆院議員。


長尾敬氏プロフィール
昭和61年 立命館大学経営学部経営学科卒
同年 明治生命保険相互会社入社
平成14年 同社退社
同年 民主党大阪府第14区総支部長に就任
平成21年 衆院選に民主党公認候補として立候補、当選

◆国会の役職
厚生労働委員会委員
拉致問題特別委員会委員
東日本大震災復興特別委員

※取材を受ける立場について
私はTPPを一括りにして全面反対というのではなくて、あくまで慎重派という立場からお話をさせていただきます。



①TPP交渉参加することにより税収が増え、それによって社会保障費も増えるという絵を描くことはできるか?
私は思いません。逆に税収が増えると言っている人はどういう根拠で言っているのか、議員同士で話をしてもはっきりと説明できる方がいないのです。仮に日本がTPP10カ国目として加わったとすると、10カ国のGDP(国内総生産)を比較すると、その91%を日本とアメリカが占めています。これでは事実上の日米間交渉になってしまうわけで、賛成派は「アジアの成長を取り込む」と言いますが、これでは説得力が弱いと思います。私はTPPについて全面的に否定はしませんし、国益につながることなら大いにやったらいいと思うのですが、税収が増えるというファクトやエビデンスが私には分かりません。

たとえば農業分野について自由化した方がいいという農家の方はおられますが、そういう方はオンリーワンの強いノウハウを持っておられます。だけどそういう部分的な話に合わせるわけにはいかないでしょう。日本の経済全体としての底上げになるというところについて、納得いく説明を聞きたいと思っています。



②医療界の懸念する、国民皆保険制度への影響や営利企業の参入は、どれぐらいの可能性で起こってくると思うか。またそれらから守るために、国会議員としてどうしていくか。
割合は分かりませんが、今後に臨んでいくに当たって、理論武装なり交渉武装をしておかないと侮れないという気持ちはあります。その根拠は過去の歴史です。私は民間の生命保険会社に17年いたので1994年に合意した日米保険協議を体で感じています。情けない言い方をすればトラウマになっているのです。保険には、死亡保険などの第1分野、年金保険などの第2分野、それ以外の医療保険などが入る第3分野があります。日米保険協議によってそれまで規制されていた第3分野がいよいよ解禁されるぞと、国内外の保険会社が待ち構えました。しかし実際には、国内系生保には団体型(従業員を被保険者とする法人契約)しか解禁せず、外資系生保には市場として最も期待される個人向け単体商品を解禁させてしまったのです。単体商品が国内の生保に解禁されたのは2年半後で、私たちはその間にほとんどの個人のお客様を外資系保険会社に取られてしまったのです。それを一つの契機に、国内の保険会社がバタバタと倒れ、外資に買収されていきました。このような歴史的事実から考えれば、世界が羨み、日本が誇るとも言える国民皆保険制度を、同じようにして何らかの形でアメリカンスタンダードに合わせざるを得なくなる局面は起こり得ると思います。

小泉政権下での郵政民営化では最終的に国内法が変えられました。当時は「特定郵便局長は準公務員で世襲になっていておかしい」などと郵便局の組織の問題であるかのように見せながら、実は簡易保険や郵貯マネーが狙われていたわけです。それは郵政選挙の争点にはなりませんでしたが、後々になって民営化は間違いだったと反省されています。つまり国内法の変更は、変えようという勢力が国会や霞が関にできてしまえば可能なのです。

他にも例はあります。アメリカからの外圧を受けて1991年に行われた大規模小売店舗法の改正によって、それまでなかったような大型店舗が住宅街の真ん中にできるようになりました。ウォルマートやカルフールが参入し、今でもトイザらスは残っていますよね。そうして大型ショッピングモールがどんどん郊外にできて、一方で"シャッター商店街"ができてしまったわけです。もう一つ大きかったのは2000年に施行した建築基準法の改正で、それまでの仕様規定が性能規定に変えられ、検査が民間開放されました。これによって外国の資材住宅メーカーが参入できるようになり、結果的に地震に弱い建物がたくさんできて、耐震強度偽装事件につながりました。保険業法、大店法、建築基準法、さらに郵政民営化。日本の国内法は米国の圧力で次々と変えられているのが実際です。国内法があるから大丈夫だというのは真実ですが、アメリカから見れば「変えてしまえばいい」というだけのこと。でも実際に変えたのは、われわれ日本人なんですよ。

もう一つ言えば、条約は位置付けとして国内法より上位にあります。確かに日本が批准している「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」などは国内で守られていません。しかし、本来は条約の内容に沿って国内を変えていかなければいけませんし、それに言及した国会答弁もあります。国内法を変える十分な追い風になるものです。

医療界の方々には、一歩立ち止まって慎重に、これらの危険性を骨の髄まで感じていただきたいと思います。繰り返しますが過去の事例はいくらでもありますし、医療はターゲットになるでしょう。たとえばジェネリック。アメリカとオーストラリア間のFTAにより、オーストラリアでは米国の薬品メーカーの特許の期間が延長されています。また製薬企業の卸値が高く維持されるようになっていて、これは製薬企業からの卸値がオーストラリアの3~10倍になっているアメリカに合わせた結果です。同じ内容が日本との交渉の中でも出てくる可能性は排除できないでしょう。

混合診療については立ち位置によって見方が違うと思っているので、私自身は本音を言うと中立の立場です。解禁することで救われる命もあるだろうし、医療の質が低下するという懸念があることも承知しています。



③日本の医療界への外国資本参入、また混合診療解禁は、そもそも「悪」なのか?
立ち位置によって善にも悪にもなると思います。営利を目的にすることのプラスもあればマイナスもあります。では今の医療界のすべてが善かと言ったら、そうではないと思います。例えば働いている医師や看護師の方々の善意や使命感によってギリギリで成り立っている医療現場もあるでしょうが、一方で"白い巨塔"のような世界もありますよね。「株式会社」だから悪とは言えないし、医療界の中にも善悪はあります。利益を追求しようと思えば、営利企業であれば人の花畑を荒らすようなことは簡単にできてしまいます。医療は市場価格ではないと思っていますから、安ければいいみたいな話になると質は落ちてしまいます。一方で値段を釣り上げていこうというやり方もあるでしょう。しかし医療は命にかかわることなので、やることをきちんとやったらコストはかかってきます。そうやって考えていかないといけないものなので、市場価格で安くしよう高くしようというものではないと思います。

しかし、実際にどうなっていくかは見えないので理論武装が必要です。厚労省や農水省が扱う分野であっても、交渉の前面に立つのは外務省です。100%思うようには伝わらないと思った方がいいと思うし、外務省が入れば日米間交渉の過去の流れにどうしても引きずられてくる部分があります。このため、必ず政治家が内容をチェックしなければなりません。最終的には事前事後の国会承認が要りますからね。



④フリートーク
違う業界の話ですが、自動車関連業界はTPPへの交渉参加を推進していますね。しかし現在フォードと米国自動車工業会は日本に対して、ハイブリッド車の中身と技術を教えろという内容の要求を突きつけてきているんです。どういうことかというと、日本はTPPに参加すれば輸出が多くなって状況はよくなりそうだと見込んでいて、それより円高の方が大問題だと考えている現状です。そこで車を売りたいけど日本の優秀なハイブリッド車の性能が障壁になっている米国は、ハイブリッド車の技術を「渡せ」か「やめろ」と、そういう意味合いに取れる要求を突き付けてきたのです。つまりルールを変えてきた。こういう例は今までにもあって、例えばF1では1988年にマクラーレン・ホンダが16戦中15勝と圧倒的強さを誇っていたのですが、翌年にルールが変わってターボエンジンが禁止されてしまいました。勝てないならルールを変えてくるのが外国の戦略で、TPPにおいては交渉のルール作りが競争になるわけなんですよ。TPPについて慎重な準備が必要と言うのはそういう意味で、相手がどう出てくるか分からないのです。私は根っからの保険屋なので、ことに臨むには準備が9割だと思っています。今後何を突き付けられても、国益を守るだけの理論武装をしていきたいと思っています。TPPについては、日本の文化的なものを崩しにかかられると考えて準備した方がいいと思っています。

オバマ大統領は皆保険制度をやりたかったけどできなかったわけです。それなら日本の方から交渉に際して「それならあなたたちも皆保険制度を作ってくださいよ。それから交渉しましょう」と言うぐらいのことを言えるようになっていいと思います。それぐらいの交渉力が必要ですよね。日本の国民皆保険がなくなったら民間医療保険が入り込んできて、一番儲かるのは保険業界です。向こうは本気で国内法を変えようとやってくるでしょうし、そういう歴史があります。慎重に構えて、ことに臨む準備をしなければなりません。

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お問い合わせ等について・・・社保税とTPPに関するカテゴリー別ブログ

2012-01-06 09:57:35 | 活動
お問い合わせ頂いていた私の主張は、以下カテゴリー別にご参照頂きたい。
社会保障・税に関するブログ
TPPに関するブログ

また、他コメント等でお問い合わせについては全てにお答えできないのでネット上では対応させて頂いていない。
メールでのお問い合わせは記名メールについてのみ、これでもひとつひとつお答えしているが、一日に50以上頂く日もあるので、半年以上前のものについてもまだ対応できていない状況。

出来ればリアルな形で、遠慮なくお申し付け頂きたい。現在は直接電話にてご連絡頂いた方を優先してお答えしている。事務所へアポを頂きご来訪という形でも結構。また、出前でミーティングにも積極的に参加させて頂いている。

平成24年に臨んで

2012-01-04 11:15:55 | 政治信条
心からの新年祝賀を申し上げたいという気持ちの一方で、昨年我が国がおかれた状況、被災地の方々の気持ちを考えると素直に挨拶が出来ない。この様な感情を抱くのは私だけではないと思う。急激な円高、デフレ経済、高齢社会による社会保障費の増大と、その財源確保。将来世代にツケを回せないという現実。デフレ下の増税は自殺行為であり、このまま借金を重ねて財政規律が正せる状況にもない。国内だけを見渡しても、「三竦み状態」である。

世の中とは、特定のところだけで成り立っているものでははない。法治国家にあって、政治次第で物事はよくも悪くも変わっていく。だから、政治、その職責は重い。政治だけが旗を振っていれば良いというものではない。政治を構成する議員は国民によって選ばれ、国民によって左右される。受け手である議員の側にはそれ以上の責任が問われる。大切な事はそれぞれの立場で何が出来るか、歯車が噛み合うかである。大きな歯車、小さな歯車、力を伝えるという事については同じ責任を負う。そしてそれぞれの立場においては、出来る事と出来ない事がある。今何が出来るか。それぞれの立場で自分にあるものを駆使し、自分にないものをどこに求めていくか。その役割をそれぞれが自覚し、威力を発揮できるような環境を作りたい。復興に学ぶならば、「目の前にあるひとつのレンガを積み上げる事からはじめよう」。

誰にでも出来る事である。

今日から公務仕事始め。東京での生命保険協会新年祝賀会をはじめ、夕刻には地元に帰りいろいろとお声を聞かせて頂く予定。今年も多くの叱咤激励心からお願い致したい。



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