外国政府、外国人、外資による土地取引問題。
調べていたところ、外国人の財産取得に関する政令(昭和24年3月15日政令51号)に突き当たりました。ポツダム宣言の受諾に伴い発せられた勅命に基づく政令です。
結論から申し上げますが、当時この政令51号により外国人や外資の財産取得に関しては制限をかけられていたのです。そして、昭和54年この政令が廃止となり今日に至ります。裏を返せば、廃止になる昭和54年以前は、規制がかけられていたということになります。
この政令、
第一条、諸外国との間の健全な経済関係の回復を促進するとともに、国民経済の復興及び自立を図り、あわせて国家資源を保全するため、外国人の投資及び事業活動を調整することを目的としています。
第二条、外国人とは、日本国籍を有しない者、外国法に基づいて設立された法人とし、
第三条、外国人が財産を取得するときは、主務大臣の認可を受けなければならないとされていました。
そして、この財産とは、土地、建物、工場、事業場、財産の賃借権、使用貸借に基づく借主の権利、地上権、著作権なども対象となっていたのです。
「国家資源を保全」、そうです、やるべきことをちゃんとやっていたのです。
なのに、何故、廃止されたのでしょうか??
経緯をもう一度整理します。
昭和26年9月8日にサンフランシスコ講和条約(以下・平和条約)が署名され、昭和27年2月に日本と平和条約を締結した国や中立国の国民に対しては、本邦の土地取得に関し日本国民と同等の待遇を与えるため、同政令の適用除外とする旨の改正が行われました。昭和27年4月28日に施行される直前のことです。その理由は、平和条約第十二条の規定に政令を合わせる為です。
平和条約第十二条には、
財産権取得に関し平和条約に調印し批准した国及び中立国の国民に内国民待遇を与える為に、外国人を指定して政令の適用を除外する
と記されています。
ここで重要なことですが、平和条約では、
「いずれの事項に関しても、日本国は、連合国が当該事項についてそれぞれ内国民待遇又は最恵国待遇を日本国に与える限定においてのみ、当該連合国に内国民待遇又は最恵国待遇を与える義務を負うものとする」
とされています。
つまり相互主義の原則により、相手国が日本の国民に対して制限をつけている場合は、日本でその国民に対して制限を課しても良いということとなっています。最恵国待遇、内国民待遇という概念は平和条約の際盛り込まれましたが、この様な例外規定があるのです。
その後、「外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律」により、昭和27年に改正された政令51号が昭和54年に廃止されるのですが、実に不可解なことがあります。外国人の財産取得に関する議論が、どの議事録を探しても、衆議院財務金融調査室や外務省に調べてもらっても、どこにも存在していないのです。
当時の議事録を見ますと対外取引や対内直接投資が自由化されることに主眼を置いた質疑ばかり。国際収支の均衡を維持することが困難になるとき、円相場の急激に変動をもたらすとき、その他資本主義市場に悪影響を及ぼすときなどの議論ばかりで、外国人の財産取得については、議事録を確認する限りでは全く議論されていないのです。
議事録が存在していれば即座に確認したいところですが、仮にも議論がなされていない中で、この重要な政令51号が廃止されているというのならば、これはあまりにも不自然だと思うのです。当時は、ロッキード事件、日本で初めてサミットが行われた頃で、時の政権は大平内閣です。
何も議論されず政令51号は廃止され、以後、外国人の土地規制は放置されてきたのです。
唯一、外国人土地法がありますが、根拠法としては存在しているものの、制限の対象となる権利や制限の態様等について、政令に包括的、白紙的に委任しており、憲法上の問題が発生するとし、この法律に基づく政令が制定されたことはありませんので、法律としては眠った状態なのです。
平和条約第十二条を根拠に土地規制の法律が作れたのではないかと思うのですが、やはりGATSが私たちの前に立ちはだかるのです。自社さ政権、そうです、当時は村山政権下です。
外国人による土地取引と国際約束との関係。1995年(平成7年)のGATSの履行は免れない。最恵国待遇と内国民待遇を与える規定となっています。そこに例外規定はありません。言葉を選ばずに記しますと、時の政権のチョンボです!GATS上、我が国はなんらかのサービス提供を目的とした外国人による土地取引に関し、国籍を理由とした差別的規制を課すことが認められないこととなってしまっています。ただし、外国人のみを対象とした措置でない場合、つまり、内外無差別の場合は、GATSによる制約はない。
ということは、土地取引規制は、内外無差別の場合による規制を措置するという方向性しかない。日本人が買っても背後に外資がいる場合には対応出来る。果たして、それをどう法律に落とし込めば可能なのか??これが課題。
平和条約を根拠に法律が作れないものか??などという、真剣な頭の体操をしているところです。
この外資による土地買収問題を、政府全体の中の一部には、「まだ深刻な問題として認識していない」、「何が問題なのかがわからない」というガックリするような意見もある様です。
実は、これが最大の課題なのかもしれません。
調べていたところ、外国人の財産取得に関する政令(昭和24年3月15日政令51号)に突き当たりました。ポツダム宣言の受諾に伴い発せられた勅命に基づく政令です。
結論から申し上げますが、当時この政令51号により外国人や外資の財産取得に関しては制限をかけられていたのです。そして、昭和54年この政令が廃止となり今日に至ります。裏を返せば、廃止になる昭和54年以前は、規制がかけられていたということになります。
この政令、
第一条、諸外国との間の健全な経済関係の回復を促進するとともに、国民経済の復興及び自立を図り、あわせて国家資源を保全するため、外国人の投資及び事業活動を調整することを目的としています。
第二条、外国人とは、日本国籍を有しない者、外国法に基づいて設立された法人とし、
第三条、外国人が財産を取得するときは、主務大臣の認可を受けなければならないとされていました。
そして、この財産とは、土地、建物、工場、事業場、財産の賃借権、使用貸借に基づく借主の権利、地上権、著作権なども対象となっていたのです。
「国家資源を保全」、そうです、やるべきことをちゃんとやっていたのです。
なのに、何故、廃止されたのでしょうか??
経緯をもう一度整理します。
昭和26年9月8日にサンフランシスコ講和条約(以下・平和条約)が署名され、昭和27年2月に日本と平和条約を締結した国や中立国の国民に対しては、本邦の土地取得に関し日本国民と同等の待遇を与えるため、同政令の適用除外とする旨の改正が行われました。昭和27年4月28日に施行される直前のことです。その理由は、平和条約第十二条の規定に政令を合わせる為です。
平和条約第十二条には、
財産権取得に関し平和条約に調印し批准した国及び中立国の国民に内国民待遇を与える為に、外国人を指定して政令の適用を除外する
と記されています。
ここで重要なことですが、平和条約では、
「いずれの事項に関しても、日本国は、連合国が当該事項についてそれぞれ内国民待遇又は最恵国待遇を日本国に与える限定においてのみ、当該連合国に内国民待遇又は最恵国待遇を与える義務を負うものとする」
とされています。
つまり相互主義の原則により、相手国が日本の国民に対して制限をつけている場合は、日本でその国民に対して制限を課しても良いということとなっています。最恵国待遇、内国民待遇という概念は平和条約の際盛り込まれましたが、この様な例外規定があるのです。
その後、「外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律」により、昭和27年に改正された政令51号が昭和54年に廃止されるのですが、実に不可解なことがあります。外国人の財産取得に関する議論が、どの議事録を探しても、衆議院財務金融調査室や外務省に調べてもらっても、どこにも存在していないのです。
当時の議事録を見ますと対外取引や対内直接投資が自由化されることに主眼を置いた質疑ばかり。国際収支の均衡を維持することが困難になるとき、円相場の急激に変動をもたらすとき、その他資本主義市場に悪影響を及ぼすときなどの議論ばかりで、外国人の財産取得については、議事録を確認する限りでは全く議論されていないのです。
議事録が存在していれば即座に確認したいところですが、仮にも議論がなされていない中で、この重要な政令51号が廃止されているというのならば、これはあまりにも不自然だと思うのです。当時は、ロッキード事件、日本で初めてサミットが行われた頃で、時の政権は大平内閣です。
何も議論されず政令51号は廃止され、以後、外国人の土地規制は放置されてきたのです。
唯一、外国人土地法がありますが、根拠法としては存在しているものの、制限の対象となる権利や制限の態様等について、政令に包括的、白紙的に委任しており、憲法上の問題が発生するとし、この法律に基づく政令が制定されたことはありませんので、法律としては眠った状態なのです。
平和条約第十二条を根拠に土地規制の法律が作れたのではないかと思うのですが、やはりGATSが私たちの前に立ちはだかるのです。自社さ政権、そうです、当時は村山政権下です。
外国人による土地取引と国際約束との関係。1995年(平成7年)のGATSの履行は免れない。最恵国待遇と内国民待遇を与える規定となっています。そこに例外規定はありません。言葉を選ばずに記しますと、時の政権のチョンボです!GATS上、我が国はなんらかのサービス提供を目的とした外国人による土地取引に関し、国籍を理由とした差別的規制を課すことが認められないこととなってしまっています。ただし、外国人のみを対象とした措置でない場合、つまり、内外無差別の場合は、GATSによる制約はない。
ということは、土地取引規制は、内外無差別の場合による規制を措置するという方向性しかない。日本人が買っても背後に外資がいる場合には対応出来る。果たして、それをどう法律に落とし込めば可能なのか??これが課題。
平和条約を根拠に法律が作れないものか??などという、真剣な頭の体操をしているところです。
この外資による土地買収問題を、政府全体の中の一部には、「まだ深刻な問題として認識していない」、「何が問題なのかがわからない」というガックリするような意見もある様です。
実は、これが最大の課題なのかもしれません。