昨夜は、コロナ禍以降初めて泊まるホテルで、なんとユニバーサルルームに宿泊した。車椅子対応だけあってやけに広い。浴室もユニットではなかったので広々。ドアも引き戸だし、なるほどこういう視線の高さで部屋が出来ているのだと勉強になった。
本の続きも読まず、早々に入浴して日付が変わらないうちに眠った。
今朝は、目覚ましをかけた時間の少し前にぱっちり目が覚める。浴槽足湯を済ませ身支度をして階下のレストランへ。
持ち帰って部屋で頂くことも出来たが、席が空いていたので、その場で済ませる。朝からお腹は快調だが、食べ過ぎるとまたお腹を壊しそうなので、控えめにクロワッサンやポタージュスープと黒酢ドリンク、ちょっぴりのサラダとコーヒー。新聞を頂いて部屋に戻る。
BSで朝ドラを視、母にDuo通話する。昨日の接種後、腕は痛みがあり、なんとなく怠いけれど、熱はないという。一日のんびりダラダラ過ごしなさいとアドバイス。
チェックアウトし、荷物を預けて、最低限の手提げだけで身軽に出発した。雨が酷く降る予報だったので長い傘を持ってきたが、外はどんよりと厚い雲に覆われてはいるものの、降ってはいない。
今日は、受付のIDカード機はすんなり。採血受付へ移動して、ピンク色の受付番号表を取って電子掲示板を見ると11分待ち。40人近くの人が待っているのに、フル対応かなと思ったら、途中からどんどん待ち時間が増えて23分待ちになった。
生理検査受付の受付番号を取ると、5分ほどして呼ばれ、「まだ時間がありますが、採血、レントゲンがあるので、もう来院しています、ということだけお伝えしたくて」と言って予約票と保険証を提出する。4月からの保険証変更も確認され、受付が終わる。「予約した時間の10分前には来るように」と言われる。
ほぼ時間通りに番号を呼ばれた。今日は初めましての男性Mさん。今月も5本。掛け声とともに刺されたが、うーん、痛かった。いつもとちょっと違う血管の位置のよう。抜く時も痛んだ。止血の抑え方もなおざりな感じ。ちょっと幸先が悪い。お礼を言って席を立つ。
止血をしながら2階のレントゲン受付へ移動する。紙の番号を取って待つと、5分ほどで受付して頂けた。
レントゲンの待合廊下へ移動すると、ほどなくして名前を呼ばれる。今日は予めレントゲン対応の服装だ。検査着片手の技師さんがぱっと私の服装を視て、「そのままで大丈夫ですか」と仰るので、「はい」と言うと、「じゃ、そのまま」と更衣室を通らず、直接検査室へ通される。正面と側面の2枚、すんなり撮影して無事終了。
再び1階の生理検査受付に顔を出すと、心エコーの検査開始予定時間まで30分以上ある。「20分前になったら中待合に入るように」と言われる。
昨日読みかけだった「カゲロボ」を再開し、時間に中待合に移動する。中待合いで15分ほど待つと女性技師さんから声がかかった。
検査着に着替えて薄暗い検査室のベッドに横になる。頭と背中に枕。最初は左を下に真横になって、右手は腰に下げて左胸を、続いて背中の枕により寄り掛かるように身体を開いて、息を吸って、吐いて止めて、を繰り返す。最後は仰向けになって鳩尾の辺りもプローブで押されながら息を吸って、吐いて、止めて。15分ほどの検査で無事終了した。温かいおしぼりを頂き、着替えを済ませ、お礼を言って検査室を後にした。
3つの検査を終えて、ようやく向かいの腫瘍内科に移動する。待合い椅子は大分混んでいる。見回しても座るところが見つからない。なんとか荷物を置いて、受付に並ぶ。
電子掲示板を見て、息をのむ。主治医の名前がなく、代診についてのテロップが流れている。これ迄14年半お世話になってきたが、当日朝、代診となったのは、随分前にお父様が亡くなられて忌引きだった時の、1回だけだったと記憶している。
いつものように問診票の追加を頂き、息切れ以外全て「ない」に〇をして、息切れの「ある」の前に“たまに”を追加して提出しながら、「今日は代診なのですね。とてもびっくりしました。何かあったのでしょうか。」と訊くと、クラークの方が「ああ、体調不良のようです。申し訳ありません。」と仰る。
「そうですか。初めてのことで、驚きました。大事でないと良いのですが・・・」と応える。腫瘍内科の女性医師の名前が2人分電子掲示板に出ているが、どちらの先生に診て頂けるのかこの時点ではわからない。
採血から1時間半ほど過ぎたところで、血圧測定。108-70、脈拍が76。なかなか”中待合いへどうぞ”に番号が出ない。内科受付から番号が出るまで1時間以上かかった。
さらに10分ほど待って、初めましてのY先生がドアを開け、私の名前を呼ばれる。病院チェックインから先生にお目にかかるまで2時間半以上。お供の本がなければ到底やり過ごせない待ち時間だ。
「おはようございます。よろしくお願いいたします。」と挨拶。いつもと違う診察室なので勝手が違う。
ドアを閉め、荷物を籠に入れ、自分の体調管理ノートやエンハーツダイアリー等を出して席に着く。
先生自らのSpO2測定も体温測定もなく、すぐに「体調はどうですか」とお話が始まる。
お腹が緩いこと(今日もホテルチェックアウトまでに数回お手洗いに行き、下痢をしていた。)を報告。「吐き気止めは沢山出ているようですが、どうですか」と訊かれ、イメンドを飲んでいる間はまだ良いが、カイトリルを飲み始める土日はほぼ籠城蟄居である旨お話すると、「吐き気で動けない?倦怠感で?」と問われ、「吐き気もそうですが、倦怠感が、です。」とお答えする。
「さて、検査結果ですが、一つ目の心エコーでは、ハーセプチンの副作用で心臓が萎む力がどうなのかチェックしていますが、前回昨年の11月はEF(左室駆出率)が70%、これが今回67%でした。まあ横這いで問題ないでしょう。ハーセプチンの副作用は薬を休めば治る(可逆性)なので、心配ないでしょう。」
「2つ目、レントゲンですが、CTの病変について目立った変化はないようです。ぐんぐん育っているということはないですね」と仰る。
いつもの診察室にはPC画面が2つあって画像も見せて頂けるが、今日は先生用のPCしかなく、画像は見られなかった。
「最後、採血ですが、大きく変化はありません。好中球がいつもより少なめですが、内容を見れば上がろうとしている状態なので、今日予定通り投与して問題ないと思います。肝機能ではコレステロールが高めですが、それ以外は特に問題なし、腎機能もOK、ミネラル関係も問題なし、マーカーは微増ですが、正常範囲内ですね。ということで、今日も頑張って継続してよいと思います。」と仰る。
「今日でエンハーツ30クールになりました。当初、先生(主治医)からはエンハーツ30クールは厳しいのではないか、と言われていたのですが、目標だったので良かったです。カドサイラも30クール出来たので。」と。
薬の処方について、いつも通りでよいかと問われ、エルカルチンは匂いが苦手でなかなか飲み切れず余っていたので、減らして頂いて3日間の処方だったが、ここのところ頑張ってカイトリルと同様7日間飲むようにしているので、また7日間に戻して頂きたいとお願いする。
そして、4回目のコロナワクチン接種が来月から打てるのだが、3回目の副作用がきつかったので、どうしようかと迷っていると言うと、「罹った時のこと、後遺症のことも考えると、接種をお薦めします」ときっぱり。
「先生方も4回目接種されていますか」と言うと、「(私は)対象ではないけれど、●●先生(主治医)は早速打っておられましたよ。」とのこと。
そうだった。迂闊な質問をしてしまった。4回目は60歳以上と基礎疾患のある人のみだった。失敗。
前回話題にした治験のお話もさらりとして、お礼を言って部屋を出る。いつもと勝手が違って、その場で受付表等を頂けず、中廊下で暫く待つように言われて、化学療法室にすぐに入れない。
ほどなくしてY先生から受付表等一式が入ったファイルが渡されて、化学療法室に入る。
珍しくどなたも待っていない。時間はかなり遅いのに受付番号は17番だ。内側のリクライニング椅子は全然埋まっていない。
門前薬局に、LINEで処方箋の写真を送ってからファイル一式を提出する。
すると、懐かしい顔が。3月でこちらを異動になったOkさんだ。思わずお互いに「!」。
ハグしそうになって、耐える。「もうお会いできないと思っていました。ご挨拶出来て良かった!」と言うと、Okさんは「いえいえ」。「退職されてどうですか。」「毎日ぶらぶらしています(笑)・・・というか、結構専業主婦もあれこれ忙しいですね。頑張って夕食を沢山作ると、夫から『多い』とげんなりされて、粗食の方がいいのかしら、と思い始めています」と言って笑われる。
暫くしてKrさんからイメンド125㎎が届き、その場で飲む。既に先月より20分遅れ。点滴開始はお昼を回りそうだ。夫やお友達にLINE報告。
化学療法室では、4月にいらしていまだろくにご挨拶できず、お名前も知らない若い看護師さんの姿ばかり。
看護助手さんからほどなくして一番奥の窓側のお気に入りの席に通される。ここに来られたのは随分久しぶり。「今日は静かですね」と言うと、「キャンセルが多いようです」とのこと。
そうか、採血の数値が悪かったりして抗がん剤治療が出来ないと、椅子も空いてしまうのだ。無事治療が出来ることは有難いことである。まずはお手洗いに行ってから椅子回りの環境整備をして体勢を整える。
もう薬局から「お薬の準備が出来ています」とLINE連絡が入っていた。これで薬局での待ち時間が殆どないことが決定。LINE機能、最強である。
30分ほどしてHさんと仰る看護師さんが針刺しに見える。グっと押されてチリチリと痛かった。そして強力なテープを貼るのはNGということはわかっておられたけれど、どうも翼状針の間の隙間にガーゼを挟んでクッションにせず、ペタペタと紙テープを貼っただけだったので、グラグラしそうでちょっと不安。お礼を言って読書を続ける。
それから10分ほどしてOさんが薬を持ってこられる。今日は診察室で体温測定がなかったというと、「測りましょう」と体温計を。36.8℃。
アロキシ、デキサートの吐き気止めから点滴スタート。薬剤師のKさんが見える。今回も体調を報告し、先月は体調不良の期間が少し短くなったようだとお話していたが、今回はちょっときつかったとお話しする。まだ試行錯誤の範疇である。
今日は代診で痛みのことについて話すのを忘れてしまったが、気圧の変動のせいか胸痛があり、左鎖骨が珍しく痛み、コデインを数回飲んだことをお話しする。エルカルチンは臭いけれど、倦怠感が長引くよりはよいので、今回は7日間分出して頂いた旨補足する。薬局への情報提供書を頂く。
吐き気止めは15分ほどでぶどう糖にチェンジ、10分で終了。要遮光のエンハーツが30分、ぶどう糖と生食シリンジで15分。点滴が始まってからは順調だった。
そうこうするうちに「カゲロボ」を読み終わる。帯に書かれたとおり、「気づけば、涙」状態。連作短編集だけあって、登場人物が、あ、こんなところで、と繋がっている。さすがの作りである。
2冊目は平松洋子さんの「いわしバターを自分で」(文春文庫)。
表紙の画は下田昌克さんのいわしの缶詰を開けている場面。帯には「いつ、何が起こっても。コロナ禍の食い意地に効く!ふきのとうの春巻き、新にんにくのピュレ ほや飯にあさり飯に牡蠣飯」とある。先日林真理子さんの雑誌連載エッセイ集「夜明けのM」を読んだが、それ繋がりで同じ週刊文春の人気エッセイだ。そして姫野カオルコさんの「ケーキ嫌い」の解説を書いていたのがこの平松洋子さん。パラパラとめくるとこちらも白黒の画がいい感じで挟まれている。実に歯切れよく気持ちの良い文章で、元気が出る。美味しいものを食べたい、と思う。
途中Krさんが見えて、Okさんにお会いできて良かったというと、Okさんは子育てで昇進を遅らせていたが、今回管理職に昇格されたという。お二人ともかつて私が勤めていた大学の化学療法認定看護師コースの卒業生なので、「では、Krさんも異動の時は昇格ですね?」というと、「私は管理職には向かないし、現場が好きで、患者さんから元気を頂いていますから」とのこと。
「●●さん(私のこと)が、どれだけの見えない努力を重ねて今があるか、と思うと、毎回励まされます」と勿体ないお言葉を頂く。いやいや、とんでもない。
終了時の血圧測定は112-68。抜針も名前がわからない若い看護師さん。衝撃があって痛かった。止血もタイミングが悪く、テープもビリビリと大胆に剥がされて皮膚が赤くならないか不安な感じ。今日は針刺しについていない日だった。しゅん。
我慢していたお手洗いを済ませ、ご挨拶をして化学療法室を出る。受付表を戻し、会計待合いに移動。待合い椅子はそれなりに混んでいる。10分ほど待ってから自動支払機で12万円弱をカード払い。
外に出ると雨は降っていないが、曇天。薬局へ移動すると、珍しくおひとりしかいなかった。お薬手帳と処方箋を提出し、「LINEで写真を送っています」と言うと、「お名前でお呼びします」と言われる。ほどなくして男性薬剤師さん(この薬局では珍しい)から名前を呼ばれる。
後からいらした方に抜かれることもなく、10分ほどで、電子マネーで8,000円弱の支払いを済ませる(エルカルチンが4日分増えた結果の額である。)。
今日の病院と薬局での滞在時間はたっぷり6時間強。薬局で待ち時間がほぼないからこれで済むのだけれど、もう以前のように薬局で1時間以上待つという後戻りは出来ないなと思う。
急ぎホテルのフロントに戻って、預けていた手提げを受け取る。朝が少な目だったしJRに乗ってしまうと、ランチという時間ではなくなるので、駅ビルの最上階イタリアンに行くことにした。
さすがにもうランチには遅い時間で、お客さんはちらほら。ほぼ同時に入った2人連れの女性はお茶のオーダーだった。前菜盛り合わせとタリアテッレとハニーレモンのパウンドケーキ、レモンティーのランチコースを完食した。
帰路はお腹が落ち着いているので、快速に乗った。ホームで待っている時には霧雨がしっかり降っていた。私はちょうどいい感じで雨宿りが出来た模様。途中まで読書の続きをしたが、眠くてたまらなくなって寝落ち。降りる駅の1つ手前で目が覚めた。
乗換駅のコンコースは節電のせいか、真っ暗だ。可愛らしく美味しそうなお菓子が通路に飾ってあって、つい買ってしまう。
最寄り駅に到着したタイミングで雨が降っていなくて良かったが、長い傘は結局荷物になってしまった。まだ気持ち悪さもないので頑張って自宅まで歩いた。今日は6,500歩ほど。
帰宅すると、先日荷物を送った叔母からのお礼のはがきと、30年ぶりに再会した文通中のIちゃんからの手紙がポストに入っていた。とても喜んでくれており、頑張って訪ねて良かった、と思った。
玄関先には生協のお届け品が届いていた。ため息をつきつつ頑張って収納する。あれこれ片付け、今日頂いた薬の仕分け等が終わったタイミングで夫がライナーに乗って定時に帰宅した。
眠くてたまらず、夫が野球を見ている間、リビングのソファでたっぷり2時間以上眠ってしまった。
夫は私がうたた寝をしている間、一人で生協から届いたお蕎麦や助六寿司を食べた模様。私はランチを終えたのが15時過ぎだったので、空腹を感じずじまい。お腹がモタモタしてきて気持ち悪くなってきた。ピンクグレープフルーツジュースだけ飲む。
明日からまた体調不良が見込まれるが、家にいられるのだから、有難いことだ。今回はどんな感じで乗り切れるものやら。