ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2020.7.15 採血後腫瘍内科診察、エンハーツ初回投与後、レントゲン撮影

2020-07-16 01:03:25 | 治療日記

 昨日は終日仕事。相変わらず胸痛はあったが、少し落ち着いてきたのを見計らって、思い切って夜のボディバランスヨガのクラスに出た。正解。男性3人、女性4人でのびのびだった。
 シャワーでサッパリしてから夫と合流して駅前で合流、夕食を済ませてそのまま前泊のため病院最寄り駅に向かった。

 行きの車内はそこそこ空席もあり、若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」(河出文庫)を読み始めた。芥川賞受賞のこの作品、今年の秋には映画化されるそう。主役の桃子さんは田中裕子さん。表紙のカバーは映画のパンフレットのような写真が特別に2重にかかっている。「嬉しいことも哀しいことも人生は賑やかだ」とある。なつかしいふるさとの言葉で語られる桃子さんの内なる声を聴きながら、頁を繰っているうちに病院最寄り駅に到着する。霧雨がぽつぽつと降っている。

 泊まるのは前回と同じホテル。ビニールカーテンがかかったチェックインカウンターにもすっかり慣れた。手続きを済ませ、部屋に入って暫し寛ぐ。既にシャワーを浴びていたので、さっとお風呂で暖まってベッドに入って早めに寝た。5時間ほど連続して眠り、明け方お手洗いに起きる。まだあと2時間は眠れると二度寝にトライしたけれど、結局眠れずじまい。そろそろモーニングコールが鳴るなあ、と思いながらベッドにいた。

 足湯を済ませ、身支度を整え、レストランに降りる。今朝もがらがら。私以外2人。テレビのニュースの音が聞こえるだけでひたすら静か。各々が食事を終えるとマスクを着けて席を立つ。外はまだ雨が降り始めてはいないようだ。
 朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。食後は快調なお通じ。コデインのおかげで下痢が止まっているのは怪我の功名である。
 
 IDカードを通す列でも並ばずにスムーズ。まずは採血受付へ移動。10数名待っていて13分待ちと出ていた。確かに待合い椅子がかなり密状態である。ほどなくして採血室へどうぞ、と番号が出た。13分もかかっていない感じだった。
 採血担当は、今日も前回と同じ男性だった。今日は「おはようございます」とご挨拶すると返事があったけれど、相変わらず名札をつけていないので名前も分からないし、技師さんなのか看護師さんなのかも不明である。

 針刺しは今日も痛む。注射式の採血針よりチューブ式になっている採血針の方が痛まないような気がするので、「こちらの方が痛くないですよね?」と言ってみたけれど、その方が仰るには、チューブ式より注射式の方が針が鋭いものを使っているので、痛まない筈なのだそうだ。
 抜く時も痛かった。そんな顔をしたら「痛かったですか、すみません」と一言。お礼を言って席を立った。

 止血をしたまま向かいの腫瘍内科へ向かう。まず待合い席を確保しようとしたら、もうかなり席が埋まっている。後ろ2列が空いていたので、そちらに向かったら、その真ん中に中年の女性がやって来た。お一人なので、2列はいらないかと、「後ろの列に座っていいですか?」と問うと、「あ、家族4人で座るので」と仰る。家族4人?「あ、そういうことなのですか?」とその場は引き下がり、やむなく別の席を探してとりあえず荷物を置かせてもらって、受付へ。

 今月初めてなので保険証も。問診票の追加を頂き、その場でせきや息切れ「あり」に〇をした。
 そしてクラークさんに「密状態を避けるために待合い椅子が少なくなっているところに付き添いを含めて家族4人での来院はいかにも多くないでしょうか。それで患者が席に座れないのはどうなのでしょう。」と一言。「仰る通りです。そのようにお願いしているのですが、なかなか・・・。」と仰って中に入って行かれた。とりあえず昨日の続きの読書を始めたところにクラークさんが戻ってきて「出来れば患者さんのご意見箱が後ろにありますので、書いて頂けると有難いです。」と仰る。「もう話を聞いて頂いたので、大丈夫ですよ。」とお答えし、読書に戻る。

 裏表紙には「ひとりだけれど、ひとりじゃない。おらの今は、こわいものなし。70代、一人暮らしの桃子さん。2人の子どもを育て上げ、夫婦水入らずの平穏な日々が続くはずだったのにー最愛の夫を亡くし、子どもたちは疎遠。おらはちゃんとに生きだべか?悲しみの果て、人生の意味を問う桃子さんに、突然ふるさとの懐かしい言葉で、様々な内なる声がジャズセッションのように湧いてくる。そして思いもよらぬ賑やかな毎日がー」とあるが、語りはいわゆる東北弁。

 夫のふるさと言葉ともどこか通じるところがあって、なぜか懐かしく意味がわかる(ような気がする)。遠野生まれの作者・若竹さんは主婦業の傍ら、幼いころからの「作家になる」という夢を持ち続け、55歳から小説講座に通い、8年をかけてこの作品を執筆し、63歳でデビューされている。そして2018年に芥川賞受賞。凄い。母親との関係、親からされて自分がされて嫌だった子育てをいつの間にか繰り返す自分、子どもたちとの関係、孤独、老いへの恐怖・・・深く深く頷きつつ、1時間ほど読む。

 途中、化学療法室のOkさんが見えて、SpO2と体温測定。自宅で測ると91%なんてこともあるのだが、無事97%が出た。体温は7度1分。「あら、ちょっと高めですね。よく眠れましたか?緊張してますか。万全に行いますからね。」と。「先ほどちょっと朝から血圧が上がったかも、ということがあり、5時間ほど眠りました。でも嬉しいです。ここのところずっと痛かったので、エンハーツが出来て有難いです。」とお答えする。それから読書の切りのいいところで血圧測定。109-72、脈拍は78。
 
 それから15分ほどで「中待合いへどうぞ」に番号が掲示板に出た。荷物を抱えて移動する。中待合いは各先生が一人ずつしか入れないので、空いている。20分ほどして先生がお顔を出され、診察室へ入った。「おはようございます。」とご挨拶をして、荷物をカゴに入れながら席に着く。
 
 席に着くと咳が出てしまう。「今日は咳が出ますか?」と訊かれて「それほどではないですが、一旦出ると結構続きます。」とお答えする。「今月に入ってから、ずっと痛み、コデインを日に2度は飲む感じです。そのおかげで咳が少し減って、下痢がなくなり快調です。」とご報告。「どのあたりが痛みますか?」と問われ、「今までの胸骨から右肋骨のあたり全般です。下着が当たるせいもあるかもしれませんが。」と答える。

 採血結果の数値をご覧になり、「腫瘍マーカーは横這いですね。」と。グーンと急カーブで上昇していなかったのでほっとする。それ以外も特に大きな変化はないということで一安心。今日からエンハーツスタートということで、化学療法室の帰りにレントゲン撮影をして、エンハーツ使用前として観ておきましょうと確認がある。
 
 薬は、現在、ロキソニンを毎食後3回飲んでいるが、それで足りず頓服でコデインを足していたが、これからはロキソニン3回ベースは崩さず、コデインも一日3回飲むということになった。漢方やタリージェ、ビタノイリン、タケプロンはそのまま、さらに白血球が減った時に備えて抗生剤クラビット、下痢止めのロペミン(小児用)、吐き気止めのイメンド、ナウゼリン等オールスターで12種類が処方された。

 ここの病院で正真正銘第一号のエンハーツ投与患者だそう。栄えある第1号だけれど、いかんせん切り込み隊長としてはちょっと頼りないのであるが。   吐き気止めについてはイメンドを飲み、点滴でアロキシやステロイドも入る。先週仰っていた通り、がっつり吐き気止め3点セットを入れて万全の対策、である。

 次回の投与前に、好中球の減少度を測るため、一度通院して採血することになった。下がっていればグランを打って数値を上げて次週トライ。さらに低ければ容量を減量して続行するという。
 重篤な副作用として出現する可能性のある間質性肺炎になってしまえば、治療を止めなければならない。いつ再開出来るのか、を考えると本当に心配だ。なりませんように、と祈るしかない。
 それでは、とお礼のご挨拶をして席を立った。

 化学療法室では既にお一人が待っていた。LINEに繋がるシステムで受付を済ませ、お手洗いへ。夫やお友達にLINE報告するのはいつものとおり。15分ほどするとMさんが「薬を飲みましょう」とイメンドを持ってきてくださる。イメンドを飲んで1時間後に点滴開始だ。「(エンハーツの前に吐き気止め等)前薬の投与(アロキシ等の吐き気止め)があるので、それほど待たずに始められると思います」とのこと。
 今日は珍しくベッドに案内された。荷物を整理してベッド周りを整えていると、ヘルプのSさんが針刺しに見えた。今日は殆ど痛まずラッキー。

 薬剤師のTさんが見える。「また変更になりました。」とご挨拶する。治療スケジュールのペーパーとエンハーツのパンフレット、ダイアリーを持ってきてくださり、暫しそれに基づいて説明があった。エンハーツはこれまでのように生食に溶かしてある薬でなく、ブドウ糖に溶けている。混在を防ぐため、アロキシ・デキサートミックスの後、ブドウ糖液を入れてからエンハーツ、エンハーツの後は再度ブドウ糖液を入れてから最後に生食だそうだ。初めてのパターン。

 副作用は間質性肺炎の他、食欲不振・吐き気、下痢、口内炎、脱毛、白血球減少、赤血球減少、血小板減少、とある。まあ、あれこれ気に病んで見ても始まらない。もうサイは投げられた。コデインのおかげで下痢も咳も緩和されるし、悪いことばかりではない。「想像を絶する痛みを10とすると、どのくらいの痛さですか?」と問われ、「数字では難しいけれど常に笑顔が出ないくらいの圧痛、鈍痛がベースにあり、これでは働けない、という感じの時にコデインを足していました。」とお答えする。

 まあ、家でゴロゴロ横になっていたらなんとかやり過ごす痛みかもしれないのだけれど。「痛み止めは痛くなってから飲むとなかなか効かないので、ずっと継続して飲んだ方がいいです」とのこと。今回はたっぷり処方して頂いたので、それについてもほっとした。

 10分ほどするとKwさんから薬が届いた。エンハーツは遮光が必要な薬ということで、チューブにもオレンジ色のカバーがかけられている。物々しい。初めてなのであれもこれも慎重に行うということなのだろう。思わず写真を撮って夫に送る。調剤したら4時間以内に使い切る必要があるそうだ。途中で具合が悪くなって使えなくなったら、とんでもなくもったいない。

 化学療法室に入ってから小一時間でアロキシ+デキサートの点滴開始。2冊目の本を読み始めた。桐野夏生さんの「デンジャラス」(中公文庫)。帯には「この家族王国に、男は要らない。君臨する一人の男をとりまくのは、美しい妻、楚々とした義妹、そして年若き義息の嫁―文豪『谷崎潤一郎』に挑んだ、スキャンダラスな問題作」とある。

 面白くないわけない・・・のだが、なんといっても眠い。途中でハッと気づくと、眠っている。イメンドのせいだ。今日はベッドでもあるし、どうも寝る環境になっている。
 最初の吐き気止めが15分、ブドウ糖が15分、そしていよいよエンハーツ。初回90分かけて投与の予定だったが、実際には2時間近くかかった。再びブドウ糖15分で、生食でポートフラッシュして無事終了。開始から丸々3時間。途中お手洗いにも行かざるを得なかった。

 Kwさんからは「〇〇さんはお家が遠いから心配。どうフォローしようかと私たちも相談しています。もし間質性肺炎になったら急変して人工呼吸器装着などということもあるので、おかしいなと思ったらすぐに連絡して、公共交通機関は止めて迷わず救急車に乗ってしまってください。」と言われる。確かに以前緊急入院した時、タクシーで病院に向かったのだが、電車を乗り継ぐよりよほど時間がかかり、具合が悪く座っていられないくらい大変だったのを思い出す。

 既に空咳、息苦しさ、息切れのような症状があるので、間質性肺炎を疑うには発熱がポイントか。人によって微熱が続く人、高熱になる人、様々なようだ。今は薬によるものなのか、コロナウィルスによる肺炎なのか判断をしてから治療に入らなければいけないので、それも大変な模様。うーん、なんとも。

 Kwさんのご子息も大学の授業はオンラインだけれど、スポーツジムにアルバイトに行っているので、帰宅後はお風呂に直行してもらっているそうだ。母の仕事が看護師で、化学療法室に勤務していて何かあったらとんでもないことになるので、家族全員にそうしてもらっているとのこと。頭が下がる。今は化学療法室への付き添いの入室も断っているという。皆で待たれるとあっという間に密になるためだそうだ。だから、今日のような場所取りについては、是非投書をお願いします、と言われた。

 それにしても治療変更初回は本当にVIP対応。心電図のモニターをつけ、OkさんやMさんKwさん3人が殆ど5分置き、15分置きに様子を見に来て、検温、血圧測定である。途中7度3分まで上がり、ちょっとドキドキしたけれど、最終的には6度台に戻った。とにかくインフュージョンリアクションが起きなくて良かった。これが出たら、次回投与が出来なくなってしまう。まずは第1段階クリア。
 
 終了時の血圧は117-69、6度9分。SpO2も97%。抜針はMさん。若干衝撃はあったが、まあ耐えられた。
 その後、再びお手洗いを済ませ、荷物をまとめてエスカレーターで2階へ移動して胸部レントゲン撮影の受付に。結構混んでいて、番号札を頂いてから廊下の待合いに移動。誰も座っていなかったが、15分くらい待った。着替えなしでそのまま正面、側面と2枚撮影して無事終了。

 再びエスカレーターで1階に降りて、会計へ移動する。混んでいる。待合い椅子の場所を確保して、処方箋を薬局に送るテーブルまで移動して医療情報提供のペーパーも合わせて送付。待つ間に、クラークさん、Kwさんに勧められたように、患者さんの声の投書箱に今日のことを書いた。
 30分ほどで番号が出て、自動支払機へ。お支払いはカードで16万超え。やはり1回の薬価が50万超えなのである。

 病院を出ると、雨がぽつぽつ。ひんやりしているが高湿度。薬局で「病院から処方箋を送りました。」と言って番号札を頂く。3,4人が待っている。

 携帯を見ると、薬局からの着信があった。すぐに薬剤師さんが見えて、ロペミンの小児用について在庫がないので近隣に確認するため、時間がかかるとのこと、そして処方通りだと5包飲むことになるが、問題ないかと。これまでは薬局で分包してくださっていたようだが、メーカーのものをそのまま使った方が、長期保存に耐えるので、とのことでお任せする。
 そんなわけで小一時間待つ。

 12種類の薬、5,000円超えをカード支払い。レジ袋は有料だと判っているし、いつもエコバッグを持っているのでそちらに入れて受け取る。荷物が重い。本日の病院と薬局の滞在時間は合計で8時間弱。フルタイム勤務に近い状況で、しかも昼食抜き状態でさすがにヘロヘロ。

 帰路、相変わらずマスクの息苦しさを感じながら傘を差して大荷物で駅を目指す。既に学校帰りの学生等が増えてきているし、少しすれば帰りのラッシュだ。のんびり食事を摂っていたら座れなくなってしまう。今日の状況で立ちっぱなしは辛すぎるので、先に電車に乗って乗換駅を目指す。

 各駅停車で無事乗換駅まで。紅茶専門店でキッシュサラダプレートにありついたのは、定時で仕事が終わるのと殆ど変わらない時間。その後、最寄り駅からタクシーに乗って帰宅した。

 夫が午後休みを取って耳鼻咽喉科に行ったようで、既に帰宅しており、生協の取り込みも終わっていた。食事は食べたばかりなので要らない、ご自分でどうぞ、と完全に主婦業から撤退。
 今日は大腸がん経過観察で同じく通院だった母にご機嫌伺いの電話。先生に会うだけで3時間もかかったけれど、異常なしとのこと。3か月後にあと1回検査をクリアしたら無事卒業だ。良かった、良かった。

 洗濯機を廻し、最低限の片づけものをしてソファで横になったらいつの間にか2時間以上眠ってしまった。洗濯が仕上がっており、畳む。吐き気止めに入っているステロイドのおかげでまだ元気だ。が、忘れていたあのお腹の気持ち悪さがやってきた。夕食替わりにピンクグレープフルーツを2,3袋を食べておしまい。

 明日は2つウエブ会議。Okさんたちに「明日はやっぱり仕事行くんですね~」とからかわれた。うーん、そうですね・・・。とにもかくにもあと2日、週末は瞑想ヨーガの講師も控えている。なんとか踏ん張ろう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2020.7.13 考え方は人それぞ... | トップ | 2020.7.16 エンハーツ投与翌... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。