ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2018.10.16 そうそうスパッと割り切れないけれど・・・

2018-10-16 21:03:08 | 日記


 毎日新聞のコラムを見ていてなるほどな、と思うものを見つけた。以下、転載させて頂く。

※  ※  ※(転載開始)

見上げてごらん 治りたい気持ち=永山悦子(毎日新聞2018年10月15日 東京夕刊)

 人が持つ免疫の仕組みを利用するがんの新薬に貢献した本庶佑(ほんじょたすく)さんが、ノーベル医学生理学賞に決まり、がんの免疫療法が多くのメディアで取り上げられている。
 これまでの免疫療法は「効くか効かないか分からない治療法」だった。本庶さんらの研究から生まれた「免疫チェックポイント阻害剤」(オプジーボなど)は、免疫療法として初めて「効果あり」と各国の規制当局のお墨付きをもらった薬だ。
 インターネットの上位に並ぶ免疫療法の大半は「効果は不明」。だから本庶さんの受賞決定後、「あやしい免疫療法に注意」「免疫療法は万能ではない」と警鐘を鳴らす記事が相次いでいる。それでも免疫療法に引き寄せられる患者が少なくないのはなぜか。
 医療が発達し、早期のがんは治るようになってきたが、進行するとまだ難しい。科学的に根拠のある治療では治らず、やがて治療の選択肢がなくなったり、見通しが立たなくなったりするときが訪れる。そのとき、あきらめ切れない患者たちが、「わらにもすがる思い」で免疫療法に頼ってしまう「気持ち」を否定することはできないだろう。
 金沢赤十字病院のがん治療医だった西村元一さんは、2015年にステージ4の胃がんと診断された。がん治療の隅々まで知る西村さんが、免疫療法を受けた時期があった。西村さんは「すべての可能性にかけてみたいと思った。医師も、がんや死が怖くないわけはないですから」と話した。
 告知から2年後、西村さんは58歳で世を去った。その半年前、私は西村さんに聞いた。「根拠のない免疫療法は、受けるべきではないのではないか」。答えは「効果が確認されていない治療を患者に勧めることはしない。しかし、治療法がなくなったとき、納得のうえで何らかの治療を受けることで達成感や満足感を得られる場合もある。患者の気持ちをむげにすれば、逆に必要な治療から遠ざけてしまう恐れもある」。
 あやしげな治療について「患者の助かりたい思いにつけこんでいる」と批判するのは簡単だ。けれども、その「助かりたい」という切実な思いに、現在の医療は寄り添えているのか。治療結果が思わしくないとき、患者が置き去りにされていないか。そんな視点も忘れないでほしいと切に願う。(オピニオングループ)
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(転載終了)※  ※  ※

 治りたい気持ちに付け込む(保険適応でない)自費の免疫療法には見向きもせず、標準治療を続けることで病気を克服する、克服しないまでも長期共存が叶う、というのはどのくらい恵まれた(運の良い)患者なのだろう。
 いわゆるインチキ免疫療法に手を出すつもりは今のところ、ない。それだけの大金が用意できるのであれば、もうちょっと何か別のことに使いたい、と思っている。それだけまだ切羽詰まってはいない、ということか。

 これまで手を変え品を変え、QOLを落とさないために、仕事や趣味が続けられるように体調にはことのほか留意し、治療薬の減量をしつつこれまで10年半に渡り再発治療を続けている私だ。けれど、冷静に考えれば今の段階で残されている使える薬はかなり数が限られている。もちろん使っていない薬が何種類あったとしても、全ての薬が私に効くという保障はないし、あれやこれやと使ってきて大分おんぼろになってきている身体がウエルカム!と全ての薬を受け入れてくれるとは限らない。

 もう使える薬がなくなって身体がきつい治療も受け入れなくなった時、藁にもすがる思いでそういうクリニックの門を叩くだろうか。考えても答えは早々簡単には出ない。夫はお金のことなど考えずにどうかやってくれ、と言うのかもしれない。

 コラムにあるように、医師だってがんや死が怖くないわけではないだろう。患者さんには勧めなくても、自分が試したい(実際に試されたようだけれど)と思うことも不自然なことではない。どんな聖人君子であろうと当事者にならなければ、本当のところはわからないだろう。

 オプジーボを使ってみればとか、免疫療法がいいとか、こういうサプリはどうかとか、あれこれ色々善意で言ってくださる人はいるけれど、効果が見込めるかもしれない標準治療というカードが使えるうちはやはり選択肢には入ってこない。お気持ちだけありがたく頂戴して丁重にお断りしているのは事実だ。
 本当に身体がきつくなれば、自費の免疫療法だって副作用が起きないとは限らない。上手に緩和医療を受けながら、の方がうまく命を繋げるのではないかとも思う。

 もちろんコラムにあるように、納得して自費の免疫療法を受けるということならば、それは本人以外がとやかく言うことではないだろう。がん治療を行うとは、その時その時の選択肢から、色々な方たちに助けをお借りするとしても、最終的には自分で決断すること。そして自分でその結果を受け入れること。
 厳しい現実だけれど、やはりそれに尽きるように思う。
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