ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.7.22 頑張るよりも頑張らせる方が難しい

2011-07-22 20:15:24 | 日記
 林真理子さん原作、中園ミホさんの脚本、黒木瞳さん主演のNHKドラマ「下流の宴」が終わった。
 8週連続。最初からリアルタイムでは見られないと思っていたので、毎週録画して後追いで見終わった。

 原作は読んでいないのだが、ドラマとは若干違う設定やエピソード等もあったようだ。とりあえずドラマのあらすじは以下のとおりだ。
 主人公は国立大学卒業の主婦。幼くして医師であった父を亡くし、妹と2人、母に育てられた。努力は何倍にも花開く、決して“下流”に落ちないように、との教えを受けて。夫は早稲田の理工学部卒業で一流企業の部長職。娘は有名女子大4年生で就活中。息子は受験勉強の末中高一貫校に入学したものの、入学するや否や今度は「6年後があなたの将来を決める」と再びネジを巻かれて、途中で気持ちが続かなくなり高校中退。今やマンガ喫茶で働く20歳のフリーター、という2年前から物語は始まる。
 主人公は、人生はいつでもやり直しがきくのだから、と何とか息子に高卒認定試験を受けて大学に行き直してほしいと強く望むが、決裂。息子は家を出てゲームのチャットで知り合った沖縄の離島出身の2歳年上の女の子(これまた高卒後4年間フリーター)と同棲してしまう。結婚したいという2人を鼻で笑い、万一彼女が医学部に受かったら結婚を認めましょう、という展開に。
 このカップルを手助けするのが、子供の頃、主人公の母に“下流”と言われて発奮した幼馴染の “受験のカリスマ”こと予備校の塾長。主人公からは、息子の受験勉強の手助けを頼まれたが、当の息子からは、自分ではなく彼女の合格の面倒をみてほしいと頼まれる。
 息子の彼女はそれこそ死に物狂いで勉強し、2年後には見事に医学部合格。ところが、さあ結婚・・・という段になって、息子から別れを切り出す。努力する人は凄いと思うけれど、自分は決してそうなりたいとは思わない、いつか彼女から自分が見下される日が来る。もう気持ちはすっかり離れている。一緒には暮らせない、と。そして自分はこれからも変わらない。一生フリーターだ、と。
 他方、見栄えの良い会社にこだわり派遣で働き始めた長女は、婚活にも頑張り、憧れの玉の輿結婚をしたはずだったが、そのエリート夫が鬱病で会社をドロップアウトして実家に戻る。地方で姑と同居するのが耐えられない、と娘は子連れで出戻り。
 主人公の夫は出向先から戻れずに関連会社へ。年収は半減、年下の上司に使われて・・・と、一家そろって負け組に転落。そして息子の彼女は一人大学へと旅立つ。主人公は孫をベビーカーに乗せて、かつて自分が子育てしてきた時のように「努力すれば願いは叶う。さあ、博物館へ行きましょう。」でエンディング。

 中高一貫校に入学したものの、努力が嫌いという無気力な息子の姿が、どうにも今の我が家の息子に重なってしまう。必死になればなるほど傍から見れば滑稽に見えてしまう母親がとても他人事に思えず、色々な部分で感情移入してしまって、なかなか辛いものがあった。

 標題は、主人公が息子の彼女に別れ際に言う言葉。「人に頑張らせるということは自分が頑張るよりずっと大変なことがわかったでしょう。」この言葉が最後に出てきた背景を説明するのは難しいが、本当にそうであると思う。日々、息子に「もっと努力しないと!」と言っている私は、息子から「僕はお母さんのように努力なんか出来ない」と言葉や態度で表わされている。
 高校の希望コースに入学して1ケ月ほどは「せっかく入ったのだから落ちこぼれないように頑張る。ビリじゃ嫌だし、皆からまぐれ、と言われているのも嫌だから、ちゃんとやるから。」と言っていた。4月末の実力テストはその結果、そこそこのもので、本人も(あれ、やればなんとかなるじゃない・・・)という感じだった。
 だが、その1ヶ月後の中間テスト、さらには先日の実力テストはどれもクラス最下位かブービー賞。もちろんどんな集団でもトップがいればビリがいるのだから、誰かがその席を引き受けなければならない。けれど、早くももう諦めてしまったのか、と思うとなんだかやるせない。
 では部活を頑張っているか、と言えば殆ど帰宅部同然。帰宅するや否やテレビゲームにスポーツ中継、ネットサーフィン。自室に行って勉強すると言うが、気付けばいつもベッドで爆睡中。そんな生活では学業不振は当然の結果だと思うのだが、いかんせんプライドだけは高い。質問するのは格好悪いと思っているから苦手で、努力はめっぽう嫌い。
 いつまでもそんなことが通用するとは思えないのだが・・・。
 別に勉強に限らない。高校時代というこの二度と戻ってこない珠玉の季節、自分のアイデンティティが確立される大切な季節に、本当に何か打ち込めるものがなくて良いのか、と唇を噛む。テレビゲームとネットサーフィンだけでいいのか、と思う。好きな本を読んでもいいし、スポーツをやってくれてもいい、決して勉強だけをしろ、などとは言うつもりはない。後で後悔するのは他でもない本人だ。このままただ高校2年間を何となく過ごし、3年になって周りの雰囲気で何となく受験して、結果を出せるだろうか・・・。息子を見ていると暗記力はあるけれど、思考力、想像力が本当にないな、と思う。
 眼先のことにとらわれてわずか3カ月後のことも眼中にはない。だから、私のことなど(死んじゃう、死んじゃう、って言いながらずーっと(3年半も)生きているじゃないか、この調子で本当はずっと大丈夫なんでしょ。)くらいにしか思っていないのだろう。
 夫には「努力できるのかどうかも能力のうちで、あいつにはその能力が欠けているようだ。尻を叩いてけなしてばかりでは、母親としてどうよ。母親は全て許して受け入れるものではないのか。」とまで言われている。果たしてそうなのか。
 本当に自分がやってしまった方がどれだけ楽か、とは思うけれど、紛れもない息子の人生。私が代わって送ることは残念ながら、出来ない。

 ともあれ、原作の小説も早く読みたい。まだ文庫化されていないので単行本を買うか、図書館にリクエストするか、なのだが。文庫化まではちょっと待てそうにない気分だ。

 今朝は久しぶりに爽やかな青空が広がった。カラリと晴れて湿度が低く気持ち良い。明日以降はまた猛暑日・・・という予報だから、貴重な一日だ。さすがに一昨日眠れなかったおかげで、昨日は夕方から眠くてたまらず、気持ち悪さのせいで体も重く、入浴しながらこっくりこっくりする始末だった。おかげでよく眠ることが出来、大分疲れがとれた感じだ。とにかく今日を乗り切れば明日には副作用も抜け始める。
 お昼は喉越しのよい麺を少し食べてみた。けれど、食後しばらくして、またお腹を壊してしまった。そんなに食べていないのに・・・。困ったものだ。

 さて、帰宅すると、なかなか受け入れ先決定の連絡がなく気を揉んでいた息子のホームステイ先決定の速達が届いていた。それより先、今朝、家を出ようというタイミングで、一緒のお宅にお世話になるお子さんのお母様から、坊ちゃんの携帯にホストから直接メールがあって驚いたとの連絡メールが届いた。お母様は、今日急遽浅草までお土産の手配に行くけれど、必要なものがあれば買ってきますが、というご連絡だった。とりあえず、お渡しするプレゼントがダブらないように何をご準備されたのかだけお教えください、とご連絡。ホストファミリーのご夫妻は、お二人とも数年日本にお住まいになったことがあり、12歳のお嬢さんを筆頭に、9歳、6歳、1歳の赤ちゃんまで2男2女の6人家族だそうだ。一人っ子の息子にいきなり4人もの弟妹が出来てしまう。息子は小さい子と遊ぶのが大好き(精神年齢が低いのだと思うが・・・)。楽しみなことだ。さて、いよいよ準備を急がなくては。



コメント (2)
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