いくやの斬鉄日記

オープンソースからハイスクールフリート、The Beatlesまで何でもありの自称エンターテインメント日記。

結局IBus 1.5の何が問題なのだろうか。

2013年10月20日 21時56分43秒 | Ubuntu
オーケー、いったん話を整理しよう。

まずはお手元にUbuntu 13.04をご用意ください。そして、ibus-mozcパッケージをインストールしてください。
日本語Remixの場合はそのままでいいですね。
ibus-anthyとibus-mozcが使用できる状態になっており、日本語キーボードを接続していると仮定します。
(SKKユーザーは蚊帳の外でごめんなさいね)

とりあえずログインしてgeditか何かを起動してください。
次に半角/全角キーを押してください。IBusが起動します。
アクティブな変換エンジンはAnthyでしょうか、それともMozcでしょうか。左Alt+Shiftキーを押して、Anthyにしてください。
これでAnthyで全角文字を入力できるようになったと思います。
デフォルトのキーバインドでは、ここでCtrl+jを押すと半角モードになります。もう一度押すと全角モードに戻ります。
ATOKキーバインドにしている場合は変換キーでもいいです。というか私は変換キーを押しまくります。

これがIBus 1.5ではどうなったのかというと、
IBusの起動(半角/全角キー)…常時起動しっぱなしなのでなくなった
アクティブな変換エンジンの切り替え(左Alt+Shiftキー)…変換エンジンだけではなくキーボードも切り替えるようになり(まとめてテキスト入力/入力ソースになった)、Super+spaceに変更
変換エンジンごとの半角/全角切り替え(Ctrl+j)…半角/全角キー(Ctrl+spaceもアサインしてあるけど機能しない?)

私的にはこれが暗黙の了解だったのですが、どうも変換エンジンの半角/全角切り替え(ここでの例ではCtrl+j)を使っていない人がたくさんいるようです。

というわけで、半角/全角キーで起動していたのがSuper+spaceになった、というのをクリアしたとすると、IBus 1.5の一体何が問題なのでしょうか。
・やっぱり半角/全角キーで切り替えたい→入力ソースを変換エンジンだけにすればいけるけど、常に全角で開始するので鬱陶しい
・Super+spaceキーが効かない→indicator-keyboardの問題(mozc-setup-helper 0.6で対応したつもり)
・現在半角/全角モードどちらかがわからない→GNOME Shellだとわかるので、indicator-keyboardの問題
・日本語キーボード以外で変換エンジンを使いたい→ibus-anthyでは設定可能。ibus-mozcでは設定できなさそう。よってibus-mozcの問題
・言語パネルがなくなった→つД`)・゜・。・゜゜・*:.。..。.:*・゜

今まで半角/全角キーでIBusを起動していて、半角/全角の切り替えも半角/全角キーを押しているような大多数のユーザー(?)にとっては、IBus 1.5での変更はさしたる問題はないように思います(indicator-keyboardは別です)。Super+spaceはCtrl+spaceであれば変更できますし、そもそも初回ログイン時にSuper+space押してちょっていうメッセージも出ますしね。
その条件から漏れてしまったユーザーはFcitxその他を使用すればいいですし、そのような層にアピールすべくFcitxのあれこれをやってきたわけです。
今まで出来てたことができなくなった! デグレードだ! というのは確かにそのとおりですが、GNOME(ry

今一度自分の入力方法を見つめ直すチャンスです。というか私にはそうだったのですが、20年近く続けてきたやり方を変えるのはかなり難しいので大人しくFcitxを使います。

追記:
リリースノートはちゃんと読もう。

さらに追記:
「常に全角で開始するので鬱陶しい」は、ibus-anthyには当てはまりません。設定で起動時に英数のままに変更できます。
コメント (6)
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IBus 1.5がUbuntu 13.10に投入されるまでの流れと現状

2013年10月20日 09時10分15秒 | Ubuntu
インプットメソッド(IM)は空気のような存在であるべきであり、現状のように語られてしまったら負け、という性質のものです。動いて当たり前、動かすための苦労なんて誰も知らない。それでいいんだと思いますし、少なくともUbuntuでは今までそうだったと思います。

私からはあるべき論ではなく、事実関係をば。

IBus 1.4はどうだったかというと、適切にメンテナンスされているとは言いがたい状況でした。それはUbuntuにはIMの専門家がいなかったということです。換言すれば、CanonicalはIMの専門家を雇用しませんでした。
あと、UnityのIndicatorをサポートするためにでかいパッチを当てていました。
これものちのちまで足を引っ張ることになります。

去年の11月頃、13.04ではIBus 1.5にはしないという決定がなされます。理由は
・クオリティがまだまだ(そらそうだろ……)
・[すべてのアプリケーション間で同じインプットメソッドを共有する]の設定変更ができなくなった
・Indicatorサポートの欠如
だいたいこんな感じでしょうか。

IBus 1.5ではIndicatorパッチを当てるのではなく、独立したindicatorを開発することになり、それがindicator-keyboardです。3月頃から開発が始まりました。たぶんそのために雇用もしてるんじゃないでしょうか。あくまで推測ですが。

実際に投入するという告知が出たのは7月です。indicator-keyboardもこの時点で動作するようになりましたが、できがあまりにもあんまりでした。現在でも特に変わっていません。

バグ報告の数からも明らかです。indicator-keyboardのバグは今現在で24個登録されています。しかし、IBusはSaucyサイクルではたった3つであり、しかもおそらくどれもほかにアサインされるべきものです。
ついでに、13.10からすべての言語でIBusが起動するようになりました(ただしUnityを使用する場合)。そうしないと、[テキスト入力]の設定が変更できないのです。そらそうですね、統合してしまっているので。

IBusはGNOME 3.6から統合されるようになりましたが、この統合というのは主として
・GNOME Shell
・gnome-settings-daemon
・gnome-control-center
を組み合わせて使用されることを意図している、と考えられます(参考資料)。
GNOME 3.8からはgnome-initial-setupもこれに加わりますが、UbuntuではUbiquityでやってることであって現在もパッケージはありません。とりあえず13.10では問題になりませんでしたが(正確には問題になりましたが修正してもらいました)、今後は顕著化するはずです。

UbuntuだとGNOME Shellがないので、その代わりにindicator-keyboardやUnityでやるべきことがおざなりになってしまっているのというのが現状、と言っていいと思います。ただ、この組み合わせて使えるようになったのが7月からなので(しかもPPAでありリポジトリに入ったのはもう少し後)、どうやっても"ちゃんとした形"で間に合わせるのは不可能だったとも思います(だからmozc-setup-helperとfcitx-setup-helperを書く決意をしました)。
Fedoraでは特に問題になっておらず、VineやMomongaの開発版でもIBus 1.5になっていることからも、やはりUbuntu(というかUnity)での問題が多いということの証左になるのではないでしょうか。

次に起こすアクションは明白ではあるのですが、私は言語パネルがなくなった時点でIBusを使う気がなくなったので、最低限動くところの面倒は見る気ですが基本的には頑張ってくださいというスタンスです。
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