Thank you for the music

好きな音楽のこと、あれこれ。その他諸々もあり。

足りなかったもの。これから。

2018年12月28日 04時38分33秒 | スポーツ

 「世界と戦う覚悟っていうものが持ちきれなかった」
 第87回全日本フィギュアスケート選手権(2018)で男子2位となった高橋大輔が、世界選手権その他の国際大会派遣を辞退した。
 ジャンプでミスが続いたフリー、終わったとき「これで表彰台はないな」と思ったのに、まさかの2位。日本スケート連盟から代表を打診されたが「若い選手が(世界の)舞台を経験することの必要性も大きい」と後進に譲る形になった。
 直前に、日本代表として戦う覚悟はあるか、なんて書いちゃったけど
 全日本のエントリーは男女30人ずつ、これは他国に比べてかなり多い。国際大会を目指すレベルの選手以外に、全日本出場が目標の選手たちが相当数いる。実力を客観的に見て、国際大会などは考えていないかもしれない。それでも、奇跡的に好成績だったら? 1大会だけでも出られる可能性が出てきたら? そこで躊躇うことはないだろう。結果的に全日本で終わるとしても、目指す方向は世界を目指す選手たちとそれほど違ってないと思う。
 高橋大輔は、全日本でフリー最終グループに入ることを目標に半年でここまで仕上げてきて、目標を達成してのフリー。演技自体は見事だった。ただ、目指す方向のベクトルが、ほかの選手たちと違っていたかもしれない。
 (2位になった上で辞退するくらいなら、初めから「国際大会出ない」宣言してもよかった? いくつかの記事で「不甲斐ない」「層が薄い」と書かれている田中刑事や友野一希は、高橋大輔という名前とも戦っていた。たとえジャンプが全盛期のように跳べなかったとしても、相当な演技構成点が出るのは予想できる。
 ベストを出せば勝てたかもしれない。しかし「ベストを出せば勝てる」と思うのと「絶対にベストを出さなければ勝てない」と思うのでは全然違う。
 かつて圧倒的な演技構成点をもらっていたパトリック・チャンに、挑んで自滅していた選手たちが、こんな感じだった気がする。
 それでも、これは乗り越えなければならない試練だった。次に活かしてくれることを期待。)

 覚悟のほかに、技術点も足りなかった。
 世界選手権出場に必要なミニマムテクニカルスコアは、ショートプログラム34.00、フリー64.00。ショートは近畿ブロック37.71、西日本41.61、全日本43.38と順調に上がってきた。しかしフリーは、近畿39.52、西日本74.61、全日本63.60。3大会中2大会で64点を超えていない。
 全日本の上位陣でこれより技術点が低かったのは総合5位島田高志郎くらいで、13位の佐藤洸彬ですら65点台だった。初戦の近畿は仕方ないとしても、完璧に調整してきたはずの全日本で、ちょっと残念過ぎる。
 今大会で技術点が伸びなかったのは、もちろんジャンプでミスが多かったから。冒頭の4回転が3回転になったが、これはそれほど大きな減点をされていない。2本のトリプルアクセルは+3や+4をもらっている。痛かったのは後半基礎点が1.1倍になるところで、転倒、2回転、3回転フリップ単独の繰り返し+REPで基礎点70%と稼げなかった点だ。
 また、3つのスピンのうち2つは、初めからレベル3で構成していた。今季からスピンもGOE+1あたり、基礎点の10%ずつ増減する。昨季まではレベル3も4も+1は0.5、+2は1.0もらえていたが、今季からは基礎点の差を詰めるのに、より多くのGOEを確保しなければならない。わずかな差のようだが、塵も積もれば、なのだ。
 逆にステップとコレオシークエンスは、ほぼ極みに達している。ステップでレベル4、GOEオール+5で1.95のところ、獲得したGOEは1.89。コレオシークエンスはGOEオール+5で2.50のところ、獲得GOEは2.36。ここは高橋大輔の真骨頂を発揮した。
 ミニマムを取るために国際大会に出るなら、それを最優先して調整すれば、十分可能ではあると思う。それでも、フリー後半までもたせる体力をこれから更に作っていく必要はありそうで、、、
 「これが今年じゃなく2年前に現役復帰を決断していたら、もしかしたら狙ったかもしれない」。一番足りなかったのは、時間だったのかも。

 「続けていきたい」と、現役続行の意思を示した高橋大輔。これからどんなコースをたどることになるだろうか。来季の全日本にはシードで出場できる。
1.今季この後の試合に出ない→シーズンベスト、ミニマムがないまま次のシーズンの場合
A 復帰枠を利用して、グランプリシリーズ2大会にアサインされる→特別強化指定→チャレンジャーシリーズ+グランプリシリーズ2大会(勝ち上がればファイナルも)→全日本。ここまでにミニマムは確保、ガチで代表争いに加わる。
B グランプリシリーズ復帰枠は利用しないが、強化指定はあり→チャレンジャーシリーズなどに出場→全日本。これも成績次第で代表に。
C 強化指定なし→地方大会などで足慣らし→必須ではないが近畿・西日本に出る→全日本。ミニマムは全日本の成績次第で取りに行く。

2.今季最後の国別対抗戦に選抜される→シーズンベスト、ミニマムを獲得して次のシーズンの場合
A 復帰枠を利用してグランプリシリーズ2大会→以下1Aと同じ
B 復帰枠は利用しなかったが、シーズンベストが上位24名に入ったので、グランプリシリーズ1ないし2大会にアサインされる→強化指定→チャレンジャーシリーズ等も出てから全日本。以下1Bと同じ。

 若い頃と同じような試合数をこなすのは厳しいかもしれない。どういう形がベストなのか。いずれにしても、来シーズンはスタンスをはっきりさせて臨んでほしい。
 (はっきりさせるためにも、国別対抗戦で国際ジャッジの評価を受けられたらいいと思うんだけど


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2019年選手権&ユニバーシア... | トップ | 私の2018年って »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿