フィギュアスケート・世界ジュニア選手権2023、男子フリー(ジャッジスコア)。
<G1>
コンスタンティン・スパタシヴィリ(ジョージア) SP:58.97(24) FS:114.73(17) Total:173.70(18)
「パルプ・フィクション」♪ 黒ジャケ。3アクセルは転倒したが、3ルッツ+3トウ、3ループ+2アクセル、3ルッツ+オイラー+3サルコウなど頑張る。まだ小柄で細身だが、身体も技術も伸びそうな感じ。
キャスパー・ヨハンソン(スウェーデン) SP:59.25(23) FS:102.66(23) Total:161.91(23)
「Brave Heart」「I Didn't Know My Own Strength」♪ 黒。アクセルはまだダブル。4回転サルコウを予定に入れていたが、丁寧な3回転にした。両手上げ3ルッツ+2トウを下り、フリップが2回転になった後3ルッツ+3トウ、3フリップ+オイラー+3サルコウとリカバリー。まだあまりスピードがないが、正統派な感じがいい。
ディアス・ジレンバエフ(カザフスタン) SP:59.77(22) FS:123.09(16) Total:182.86(16)
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」♪ グレーに黒ベスト。柔らかな2アクセルから、3ルッツ+オイラー+3サルコウ、3フリップ+2トウなどを決めていく。3トウ+2アクセルの着氷で少し乱れた以外はノーミス。滑走姿勢、ジャンプの着氷姿勢、スピンの姿勢とどれも美しく、腕や指先の使い方もきれい。
ゆったりと大きな動きで終盤のコレオ、盛り上がった。終わってガッツポーズ 顔も可愛い
アレクサンドル・ヴラセンコ(ハンガリー) SP:60.65(20) FS:105.76(20) Total:166.41(21)
エルヴィス・プレスリー・メドレー♪ 白の背中に顔のプリント。冒頭に3アクセルを決め、3フリップ+3トウ、3ルッツ+オイラー+3サルコウときっちり下りる。しかし後半のジャンプがことごとく2回転になったのが勿体ない。
プレスリーメドレーのわりに、ノリがよくないような 実は本人、あまり曲が好きじゃなかった
ヤクブ・ロフェク(ポーランド) SP:60.95(20) FS:109.47(19) Total:170.42(19)
「Minnie The Moocher」♪ 黒タキシード。3ルッツ+3トウ、2アクセルといい流れで決め、随所に小粋な所作を入れて表現。スピンのイリュージョンがカッコいい。コレオではハイドロからスライド、曲がアップテンポになるところで細かいステップを入れる。後半3フリップの転倒が惜しいが、3トウは決めた。
なかなか表現力があって、面白い選手。
ラカット・ブラーリン(カザフスタン) SP:62.47(19) FS:104.00(21) Total:166.47(20)
「Dark Dramatic Soundtracks」♪ 黒に赤の袖口と襟。冒頭のアクセルが2回転になり、3アクセル2回挑んで2回とも転倒。後半の3ルッツ+オイラー+3サルコウ、3フリップ+2トウは頑張ったが、全体にジャンプは不安定だった。
本来の出来ではないようで、悔しそうな顔のフィニッシュ。
<G2>
ラファエレ・フランチェスコ・ズィヒ(イタリア) SP:62.48(18) FS:102.71(22) Total:165.19(22)
「Deceit and Betrayal」「Summer 2」「Swing Shift」♪ 黒。3アクセル転倒、3ルッツはオーバーターンしたが3トウに繋げる。後半3ルッツ+オイラー+2サルコウを決めたが、3フリップでステップアウトして+REPになり、サルコウはパンクとジャンプはまとめきれなかった。
シットスピンをジャンプで出てフィニッシュ。やや東洋系の風貌はハーフなのかな? キス&クライには元ペア選手のニコル・デラモニカさん。
エドワード・アップルビー(イギリス) SP:62.49(17) FS:111.38(18) Total:173.87(17)
「Scars」♪ 黒。3アクセル、なんとか立って1トウをつける。2本目もややこらえたが着氷。両手上げ3ルッツがきれいに入った。シットスピンを空中キックで出る。後半3フリップ+3トウを決めたが、フリップ+オイラー+サルコウは両方とも2回転になった。コレオはノリノリで踊る。
ノア・ボーデンシュタイン(スイス) SP:62.83(16) FS:95.49(24) Total:158.32(24)
「Raining」「Storm」「Guardians at The Gate」♪ グレー。2アクセルは高く上がったが着氷が引っ掛かる感じ。3フリップ+2アクセル、きれいな3ルッツ。飾りジャンプから3トウは下りてツイズルの流れがいい。2回転になったフリップで足をついてそのまま3サルコウはどういう扱いになる?
シットスピンの途中で尻もちをついてしまった
キリロ・マルシャク(ウクライナ) SP:65.55(15) FS:126.10(15) Total:191.65(15)
「スターウォーズ」♪ 黒に素材違いのベスト。すごく慎重に入った3アクセル、オーバーターンで耐える。3ルッツ+3トウ、ターンからの3サルコウ、3ループといい感じで続いた。3ルッツ+2アクセル+2トウ、3ループ+両手上げ2トウと後半もいい。
コレオでは手拍子に乗って、終盤のスピンまで丁寧にこなす。細かい所作までちゃんと表現になっているところがいい。シーズンベスト更新に万歳
陳昱東(チェン・ユードン Yudong CHEN)(中国) SP:65.93(14) FS:139.19(5) Total:205.12(8)
「Micmacs a Tire-Larigot」♪ ボーダー白Tにサスペンダー。冒頭に鮮やかな4サルコウを決める。4トウ転倒ですかさず「加油!」と声がかかり、3アクセルは落ち着いて決めた。3ルッツに3トウをつけてリカバリー。後半3フリップ+オイラー+3サルコウ、ちょっと乱れて両手をついてしまった。3ループ+2アクセル頑張る。
ところどころで見せるコミカルな振付、曲の緩急にうまく合っていた。この調子で金博洋の後継者になれるかな
アダム・ハガラ(スロバキア) SP:66.71(12) FS:126.64(14) Total:193.35(14)
「Dream On」エアロスミス♪ ブルーのグラデーション。3アクセル+2トウをスムーズに決め、2本目の3アクセルはやや引っ掛かった着氷だがOK。3フリップ+2トウ、3フリップ+2アクセル+2アクセルは盛り上がる。ルッツは単独で、シットスピンの後に3サルコウを持ってきた。
淡々とやっている感じだが、大きなミスなく終わってほっとした笑顔。
<G3>
アルレット・レヴァンディ(エストニア) SP:71.01(12) FS:133.72(7) Total:204.73(9)
「Andrei」「La Terre Vue Du Ciel」♪ シルバー。ゆったりと動き出し、3ルッツ+両手上げ3トウを決める。ターンからの3フリップ、大きく足を開いたイナバウアーのコレオで魅せる。ランジ姿勢からの2アクセルが美しい。3ルッツ+オイラー+3サルコウも頑張ったが、フリップが1回転になったのが惜しかった。
腕や体の動き、緩急の付け方が考え抜かれていて、引き込まれる。スピンではヘアカッター姿勢も見せてくれた。演技構成点の高さは納得
アレクサ・ラキック(カナダ) SP:71.34(11) FS:129.60(11) Total:200.94(13)
「No One Like You」♪ グレーと黒。地元の大声援の中に登場。きれいな4トウを決め、慎重に3アクセル+2トウも下りる。3フリップはオーバーターンしたが2トウをつけた。
2本目の3アクセルで両手をついてしまった辺りから少しずれたか、3ルッツも転倒。3サルコウ+2トウ+2アクセルはなんとか。Y字バランスを入れるコレオ、スピンを側転で出たり、ヘアカッター姿勢を入れたりと工夫がある振付。スピンの回転はあまり速くないような
ダニエル・マルティノフ(アメリカ) SP:73.93(10) FS:130.74(10) Total:204.67(10)
「Air」♪ 白の裾と袖に黒。「G線上のアリア」にボーカルがついた曲で、美しい3アクセル、3アクセル+2トウに高い加点をもらう。3フリップ+2トウはややこらえた着氷、3ルッツで片手をついたが3サルコウ+2アクセルで盛り返した。
コレオはなんとなく大きく滑っているだけの部分が多く スピンの途中で一瞬ヒールで立つ動きが面白い。コーチはニコライ・モロゾフさん。
フランソワ・ピト(フランス) SP:74.91(9) FS:127.52(12) Total:202.43(12)
「ロミオとジュリエット」♪ 水色シャツの胸に赤いハートのプリント。羽生結弦がニースの世界選手権で銅メダルに輝いた曲。3アクセルはオーバーターンして単独にとどめ、3ループに2アクセルを続けた。3フリップはきれいに下り、3ルッツ+3トウでやや乱れる。3ルッツ+オイラー+3サルコウは頑張った。
スピンをバタフライで出て、激しく動くコレオはドラマチック。
キム・ヒョンギョム(韓国) SP:75.77(8) FS:137.79(6) Total:213.56(6)
「ウェストサイド・ストーリー」♪ 赤。ジャッジ前のフェンスに寄りかかった姿勢でスタート 映画冒頭の口笛に乗って、3アクセル+2トウ決まる。パン!の音に2本目3アクセルもはまった。3ルッツ+3トウ、3ループ+2アクセル+2アクセルで会場が熱くなる。単独3ルッツでステップアウトした以外ミスなし。
「Cool」で躍動感あふれるコレオ、踊れる奴だった
吉岡希 SP:76.44(7) FS:141.35(2) Total:217.79(7)
「パイレーツ・オブ・カリビアン」♪ 白にブラウンのパンツ。大きな動きで滑り出し、4トウでオーバーターンしたが落ち着いて3トウをつける。単独4トウはややこらえた。3アクセル、3ループと決まる。
後半3アクセル+オイラー+3サルコウ、なんとか。3ルッツ+2アクセルはうまくいったが、3フリップはちょっとこらえる着氷。
コレオでもう少し盛り上げたかったところ。最後のスピンはちょっと体力が厳しい感じだった。とりあえずはトップに立ってほっと一息
<G4>
ニコライ・メモラ(イタリア) SP:76.72(6) FS:139.72(4) Total:216.44(4)
「サムソンとデリラ」♪ ベージュにゴールドのサッシュ。冒頭のジャンプは2アクセルにした。3アクセル+オイラー+3サルコウ、決まった 3フリップ、3ループと軽々。キャメルスピンでは難しい姿勢でキャッチフット。
甘いアリアにのって柔らかな表情を見せながら、3アクセルは惜しい転倒。3ルッツ+3トウ、3ルッツ+2アクセルはしっかり決め、大きなイーグルでリンクを縦断するコレオ、華やかなジャンプで彩る。
回転不足があった模様、少し技術点が下がってしまった。
アンドレアス・ノルデバック(スウェーデン) SP:76.82(5) FS:127.50(13) Total:204.32(11)
「ノートルダム・ド・パリ」♪ ブラウン。4トウ予定は3フリップに変えた。3アクセル+3トウ、膝を深くつかって決める。ルッツが1回転になったがオイラー+3サルコウは付けた。後半アクセルでパンク、3ルッツで両手をついた。2アクセル+1アクセルで懸命にリカバリー。
シットスピンはバタフライで出て、情熱的なコレオ。いつもの出来ではなかった感じ。
ルーカス・ブルサード(アメリカ) SP:77.01(4) FS:132.46(9) Total:209.47(7)
「The Leftovers」「Compassion」♪ ブルーの肩に黒。両手上げで4トウに挑んだが転倒 両手上げ3ループは滑らか。3アクセル転倒したが、両手上げ3フリップ+オイラー+両手上げ3サルコウ、3ルッツ+両手上げ3トウは鮮やか。2アクセルを下りながら手の動きで表現する。
1つ目のスピンが足替えシットスピン、2つ目のキャメルスピンはフライングで入らなければならないところ、フライングで入らなかったために無効0点になってしまった
ハイドロからスプリットジャンプ、イナバウアーやスパイラルと盛りだくさんのコレオは見事 最後のルッツが1回転になったのは悔しいところ。
ナオキ・ロッシ(スイス) SP:79.46(3) FS:141.22(3) Total:220.68(3)
「Born from Ashes」「True Love's Last Kiss」「Yearning Hearts」♪ 赤に黒メッシュ。母は日本人。冒頭に3アクセル+2トウ、高い! 2本目3アクセルも決まった! 両手上げ3ルッツはオイラー+3サルコウに繋げる。コレオからのループが2回転になったが、両手上げ3ルッツ+3トウ、両手上げ3フリップまでしっかり決めてきた。
繋ぎのステップが躍動感あって素敵 シットスピンをスライドで出てフィニッシュ、大きく息を吐いた。得点に嬉し涙
ウェスリー・チウ(カナダ) SP:80.56(2) FS:133.32(8) Total:213.88(5)
「Nella Fantasia」♪ グレー。地元期待の大歓声 余裕の3アクセル+2トウ、3フリップまでは良かったが、4トウ予定が2トウに。2本目の4トウも2回転になって、3回目の2トウなので無効0点 3アクセルはややこらえたが立ち、3ルッツ+オイラー+3サルコウは跳びきった。
スピードにのって大きく表現するコレオは真骨頂。
ここで吉岡希の表彰台確定
三浦佳生 SP:85.11(1) FS:179.63(1) Total:264.74(1)
「美女と野獣」♪ 白にグレー系ベスト。雄大な3アクセル+オイラー+3サルコウ、4トウはややこらえたが大きな減点にはならず。見事な4サルコウで取り返した 単独3アクセル問題なく、王子の心の叫びを表現するコレオ。シニアのバージョンではステップシークエンスをするパートを使っている(ベルと踊るパートは短いジュニアバージョンなので残念ながら無し)。
後半4トウ+3トウ シットスピンをキックで出て、3フリップ+2アクセル。最後の3ループでオーバーターンして苦笑い スピンを全力で回り、フィニッシュすると氷に倒れ込んだ。長いシーズンの終わり、、、
キス&クライで、手でハートを作って見せたら上から「可愛い~」と誰かが声をかけた 2位以下に40点以上差をつける圧勝だった
結果、優勝は三浦佳生、2位ナオキ・ロッシ、3位吉岡希と表彰台は日本がらみ 4位メモラ、5位地元のチウ、6位キム・ヒョンギョム、7位ブルサード、8位陳昱東、9位レヴァンディ、10位マルティノフ。
来季枠は、日本3、スイス・イタリア・カナダ・韓国・アメリカ・中国・エストニアが2となった。
あとは日本時間明朝7時からのエキシビション。早起きして見たい