AKB48の旅

AKB48の旅

「スター姫さがし太郎」 その2

2012年12月24日 | AKB
この番組の何より秀逸なところは、その「自称」通りオーディションから「密着」してNMBを追いかけてくれたことだと思う。一貫して制作サイドに「お仕事」を超えた愛情が感じられたし、だからこそしっかりとメンバーに「密着」できてた、お仕着せ感、やらせ感がなくて、リアルな素が映し出されていたように感じられた。

これを見たことで、NMBメンバーそれぞれの個性やグループの成長過程がよく分かったように思えるし、やはりスタート地点からチームビルディングの過程が、もっともそのグループの本質をさらけ出している期間だと思うし、おかげでNMBがどういうグループなのかを、ようやく多少とも語れるレベルに辿り着けたんじゃないかと思う。

私の理解が間違っていなければ、NMBの立ち上がりから現在までの歴史は、恐らくはAKBの7年の歴史を駆け足で追いかけた、促成とは表現したくないけど、短期凝縮の形で疑似追体験したものではなかったか。初期AKBがくぐり抜けてきた試行錯誤の多くをスルーして、成功モデルの部分を抽出する形で追い立てたということではないか。

そしてそんな戦略を選択できたのは、山本さん、山田さんの存在が大きかったんじゃないか。抜きん出た存在感と求心力を兼ね備えたメンバーがいた、そんな共通認識がスタッフとメンバーの間で早くから形成されてたことで、こういう敢えて言おう「促成栽培」という戦略を選択できたんじゃないか。

スタッフの姿はたまにしか映らなかったけど、それでもメンバーへの接し方はかなり前掛かり、押し気味、スパルタ的で、若い女の子集団に対する接し方としては相当にきつめに見えた。こういう方法論が可能なのは、スタッフとメンバーの間によほどの信頼関係があるか、もしくはメンバーに求心力があって組織として対応するか、たぶんその両方なんであり、そのキーパーソンが山本さん、山田さんであったように見える。

この辺りは、以前に書いたAKBにおける高橋さんの物語をトレースすることになる。高橋さんの場合は、試行錯誤の末の自己組織化、共同体化過程だったと考えるけど、NMBの場合は、AKBでの成功体験を抽出する形で、山本さん、山田さんを誘導する形になったということではないか。番組で撮された範囲でだけど、自己啓発セミナー的な、新入社員合宿研修的な追い立て方や、意図的に共同体化を促してるように見えるシーンが結構あった。

けれどもそんなAKB以上の人工環境での、自己組織化とは言い難い「誘導」だったというのが影響してるんじゃないかと考えるけど、AKBでは結果的に形成された神7に相当するものが、NMBには萌芽すらできなかったように思う。山本さんや渡辺美優紀さんが、言わば「個」としては抜きん出ているけど、共同体としての核は形成されなかったように見える。これがNMBの現状に響いてるように思えるけど、この件はまた気が向いたら。

小笠原さんは当初から面白さで抜きん出てたし、福本さんがまくって行ったのも宜なるかなだし、第4回選抜総選挙で順位を得たのがなぜこの5人だったのかには納得だったけど、そんな5人ですら、そして山本さんでさえ、AKBの神7が醸し出す相転移レベルに到達してるようには見えないし、今後、そうなりそうにも思えない。もしかしたら、この天井感みたいなものも、横山さん兼任の理由の一つなのかも知れないと、ふと思った。

その山本さんだけど、短い間に顔つきが急激に変わって行くのが興味深かった。立場が人を作るということもあるだろうけど、この短期間の変化は、番組上は描かれてないけど、やはりスタッフによる教育効果が大きかったんじゃないか。もちろん教育とは詰まるところ「気づき」であり、当人にその才がなければどうにもならないんだけど、山本さんの「完璧超人」ぶりは、ファンの間でも有名な話だしね。

あとは山田さんの良い意味での変わらなさかな。老成というと失礼すぎるけど、最初から人間ができてる感が半端ないし、今現在もこのまんまなんじゃないか。

渡辺美優紀さんが、当初からエースとして扱われてたというのは聞き知ってたけど、これを見ることで納得できた。山本さんも言ってたけど、この人はアイドルの天才なんだと思う。そう言えば秋元康も似たようなことを言ってたような、と思ってググってみたけど、これってのはみつかんないな。タイプは違えど、たぶん小嶋さんと似た存在様式なんじゃないか。