大学院や大学で起業家育成教育に関わっていますが、このところ私の周りでは、起業が相次いでいます。つい昨日も、大学院の学生が株式会社産業革新研究所を設立したばかりです。
うれしいですね。
震災の悪影響、超円高による輸出産業の危機、恐慌の到来、VCの投資不振、内向き志向マインド蔓延など、社会経済的には起業には逆風が吹いているので、たぶん、私の周りはかなり特殊なホットスポットならぬパワースポットだと思います。
常識的な普通の人ならば、巨大なリスクが顕在化しつつある今日的な状況では、さらなるリスクを負担する起業というビヘイビアには向かわないのが定石です。今いる会社や役所にしがみついて、ちょっとでも生活を安定させよう、老後のリスクを減らしていこう、などなど。
しかし、巨大なリスクが表面化しつつあるということは、Window of opportunity(機会の窓)が開いているということです。
その機会を上手に捉えて、活用してゆくのがリスクマネジメントとしての起業です。
①各々のノウハウをマネタイズしてイグジットしてキャピタルゲインを狙う方向ならば、株式会社によるfor profit起業がよいでしょう。(ただし、資本主義そのものが危ういので株式会社起業には覚悟がいりますが)
②社会的な問題を、引き受けて、イグジットによるキャピタルゲインを望まないのならば、NPO、NGOなどの非営利的なnot for profit起業がよいでしょう。
③それらのどちらでもない、とりあえず好きなモノゴトを家業として楽しみながらやっていこうというlife style ventureならば、事業の乗り物、vehicleである法人格にはあまりとらわれずに起業できます。
いずれの起業スタイルにせよ、起業家には時代にレバレッジをかける技術(テクノロジー、ソリューション、コンテンツなどの知的資産)をコアにしたバリューチェーンを創りあげるスキルが求められます。この「バリューチェーンを創りあげるスキル」をカリキュラム化することに成功したのが一昨年のことです。
このカリキュラムは経済産業省からも評価されて助成金がつきました。また、このカリキュラムは、幸いにも起業家教育ベストプラクティス事例としてノミネートされています。
さて、技術をイノベーションのテコにするという起業については東京農工大学産業技術専攻(旧技術経営研究科リスクマネジメント専攻)や日本工業大学技術経営研究科で、このカリキュラムをベースにして技術起業をサポートしています。
なんだかんだいっても、人ごととしてイノベーションや革新を評論、紹介、観察するだけの「やらない人」じゃなく、当事者として「やる人」が好きなので、そういう人たちを応援しています。
Sense of wonder.
世の中を疑いながらさすらって、驚き、驚異、摩訶不思議を追い求め、他者をエンパワーし、感嘆させるようなマレビトたりうる感覚。越境の人、逸脱の人。マージナルマン。
張騫、班超、法顕、玄奘、空海、河口慧海、前野良沢、杉田玄白、平賀源内、南方熊楠、スティーブ・ジョブズ。みんなスタートラインはSense of wonder。
海外から日本に留学にやってくる優秀な若者が母国や日本で社会起業することをサポートする活動は、国際社会起業サポートセンターを中心に展開しています。
その他、医療サービスの方面でも看護師や助産師の方々の起業をそれぞれの職能団体と連携しえて展開しつつあります。(資料1,資料2)
★起業、起業家教育によるイノベーション創発に関心のある方がいらっしゃればご連絡ください。業界やバックグラウンドは問いません。オープンです。
私の場合、最近多くなった高齢者起業に近く、下手にハマらなければリスクは少ないと思っています。30代、40代の起業家を尊敬する一方、しばらく会社から給料もらいながら力を蓄えて、50代で起業するのは悪くないとも考えています。
累積された経験知を次の世代に伝承させてゆき、かつ自立、自律するというのは、プロボノ(pro bono publico)のニューウェーブですね。
その自己活用に積極的に乗り出して起業!というのが素晴らしいです。30台、40台にない、ある種余裕の起業といったことろですね。
事業性個人として熊坂さんのような知的、肉体的にヘルシーかつインテリジェントな個人のライフスタイル(知的自転車操業、笑)は、今後の団塊の世代のありかたにも一石投じる事になるでしょう。
また若い学生から見ても、素敵なモデルになりますよね。