よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

北海道積丹半島自転車ツーリング (2)寿都から長万部へ

2009年09月05日 | 自転車/アウトドア


昨日走った積丹半島の山並が青い。海が青い。空が青い。
青一色の不思議な風景だ。

Blueは知性を象徴する色ということを、昔知人から教わったことがある。
たしかに、青い風景のただなかに身を置くと、普段は隅に追いやっている不思議な感受性が研ぎ澄まされてくるようだ。

しかし強烈な向かい風にしだいに辟易、気持ちもブルー気味。
こういうのをfeeling blueと言うのか・・・。

正面からの強風に堪えて岩内まで30キロを走る。羊蹄山がニセコアンヌプリの山塊の向こうに見える。

岩内からは進路は西南の方向。いくぶんアゲンストの風がおさまる。
右手には青い日本海の水平線に昨日走った積丹半島が連なっている。



雷電国道(国道229号線)はトンネルの連続。なかでも雷電トンネルは延長3570メートルにも及ぶ国道229号一長いトンネル。

大型トラックの轟音にはたまげるが、ビビッて左に寄り過ぎると危ない。後方に対して自分の存在を強烈に示すのがキャットアイのテールランプの高速点滅。

シートピラー上部でビカビカ光らせるとたいていのトラックは2メートルは避けてくれる。ただ失敗だったのが、前方を照らすヘッドランプが電池切れでつかなかったこと。

なんと反対方向を走るクルマが僕の存在に気がつかなかったらしく、トラックを追い越して僕の直前に現れたのだ。これには生きた心地せず。

            ***

ニセコのほうから流れてくる尻別川の河口近くにある道の駅で一休みしていると、ロードレーサーに乗ったサイクリスト氏がいる。聞けば、このあたりに住んでいてこれから札幌方面まで走るのだと言う。道の情報をいろいろと教えてくれた。ありがたし。

しかし、

「寿都(すっつ)から長万部(おしゃまんべ)までの風はハンパじゃないですよ」

との不気味な言葉。

そして進路が蛇行して真南になる頃には、そのサイクリスト氏の不気味な言葉は現実味を帯びてきたのだ。

寿都湾は、星くずのように三角波がさんざめき、風速は真っ正面から15~20メートル。その烈風を受けて風力発電の風車がびゅんびゅんまわっている。いきおい自転車の時速は10キロ代前半までダウン。

途中反対方向からやってきたサイクリスト二人とすれ違う。風を背にうけて車のようなスピードで過ぎ去る。彼らが笑顔で繰り出すピースサインは元気そのもの。

風向きがサイクリストの運命を冷酷に分かつのだ。
こういう時は風を呪いながら走るしかない。
昨日、積丹半島で体感していたフロー体験は、呪いのなかには微塵もない。

逆風の走りは悶絶至極。まぁ、雨が降ってないだけましだ、と自分を慰めるのがやっと。やっとのことで黒松内へ。

無人駅。一瞬ここから自転車を分解して輪行・・・という軟弱なアイディアがよぎるが、それも時刻表を見て諦める。な、なんと3時間列車はないのだ。

            ***

寿都は「海と風の町」だという。太平洋側の内浦湾から寿都湾へとつながる平野の両側は山塊。太平洋側から湿った空気が流れ込み、このあたりは強風の名所なのだ。めいっぱいペダルをこいでもなんと時速5キロというありさま。

ここで面白い現象に出くわす。小高い峠からの下りなのだか、惰性に任せると自転車が止まってしまうのだ。しょうがないのでペダルを回す。しかもけっこう力んでトルクをかけないと前に進まない。とほほ。



やっとの思いで長万部へ。
今日は90キロ。二日合せて240キロ。北海道の小さな自転車旅はこれにて終了。

そそくさと輪行準備をすませスーパー北斗へ。
電車はいい。座っているだけで前へ進んでくれる。やれやれ。