よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

まさに人的資本(Human Capital)の時代

2009年05月27日 | ニューパラダイム人間学

Gary S. Beckerは説く。

"Education, training, and health are the most important investments in human capital. Many studies have shown that high school and college education in the United States greatly raise a person’s income, even after netting out direct and indirect costs of schooling, and even after adjusting for the fact that people with more education tend to have higher IQs and better-educated, richer parents. Similar evidence covering many years is now available from more than a hundred countries with different cultures and economic systems. The earnings of more-educated people are almost always well above average, although the gains are generally larger in less-developed countries."

100年に一度の構造改革の大変化を危機と受け止めるのか、機会(チャンス)と受け止めるのかは、その人次第。

現下の不況・恐慌下でキャピタルが紙幣、債権、コマーシャル・ペーパーなどマネタリーな表象から、モノへ、そして最初で最後の資本=人的資本へと回帰している。

ユダヤ系学者であるベッカーにとって、寄留民としてのユダヤ人が、古来人的資本を最重要視してきたかについては皮膚感覚で分かり切っていることだろう。

教育、トレーニング、そして健康開発に投資を傾斜することにより、知識、スキル、実践能力を得る。不況の折、企業による教育とトレーニング投資は極端に先細ってきている。企業に依存せずに、自分で投資をすべきだ。自分で教育、トレーニング投資をして、自分でそのリターンを取る。

先日、アイビーリーグのとある教授と話をしていたら、米国の一流ビジネススクールには不況・恐慌を回避して優秀な人材が大挙して押し寄せているという。面白いのは、従来型の学資ローンではなく、間接金融では、学生の通う大学院、学生の成績、保有する技術、スキルで、金利が異なるということだ。

また直接金融スキームでは、ヒューマン・キャピタル・ファンドが大学周辺にできており、直接学生というヒューマン・キャピタルにファンドが投資をする。

でも一番手堅いのは、自己資金で学資をやりくりすることだ。自分でリスクを取り、リターンも自分がすべて回収する。

嵐が過ぎ去るのをBSで勉強しながら待ち、その後で行動開始という学生のビジョンと大学界隈の金融システムがシンクロしている。その背景にはAdam Smith、、 Arthur Cecil Pigou、 Jacob MincerからとBeckerへと連綿と繋がってきた人的資本論のうごめきがある。