よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

どうなるTokyo AIM?

2009年05月13日 | 技術経営MOT


なかなかの逆張り起業家でもある、とあるベンチャー企業の社長と株式公開についてのミーティングの席上、Tokyo AIMの話で盛り上がった。

London AIMは日本ではあまり知られていないが、ベンチャー企業が目指す登竜門としてプロ投資家向けのNASDAQと並ぶ新興市場だ。

直近では1514社がロンドンAIMに上場している。中国56社、インド28社、東南アジア38社で約130企業。日本からも4社上場している。10%はアジア企業130社ということになる。

そこから見えるのは、アジアの新興企業が自国を素通りしてロンドンAIMに行ってしまっていると構図。

さて東証では1991年には127社上場していた外国企業がこぞって逃げ出し、2009年には15社までに激減。国際金融都市ランキングでも東京の魅力度は、前回7位から今年は15位に急落している。その理由は、外国人から見て、日本市場の特殊な制度、商習慣、閉鎖性と今や金融や投資の世界では世界標準となっている英語を使えないことにある。

自分で捲いた種があまりにも負の方向に拡大して、東証は危機感をつのらせた。そこで東証は考えた。長期低迷が続くであろう東京のベンチャー向け新興市場にカツを入れて活性化させたい。でも自分たちにはノウハウがない。

ベンチャーファイナンス敗北宣言なのだ。で、すわロンドンAIM。ならば、ロンドンAIMを東京にもって来よう。というわけで、莫大な授業料、コンサルティングフィー、ロヤリティなどの払う契約にサインをしてロンドンAIMと東証の合作でTokyo AIMを創ることにしたのだ。

Tokyo AIMは、過去の反省をもとに2つの特徴を訴求している。

1)プロ向けの新興市場とする
プロの機関投資家(投資銀行、年金、保険など)のみ、一般個人投資家には高い敷居を設定する。金融資産3億円以上の富裕層の個人投資家のみ参加できるというように。日本の新興市場では、7-8割は個人投資家だった。彼らが熱くなり、バブルを支えたが、また大損したことも事実。欧米の新興市場は7-8割はプロ投資家が参加しているので日本と真逆ということになる。

株価を判断できない、短期売買中心、心理的センチメントに過度に流されるといった傾向は、新興企業市場には向かないと東証は判断しているようだ。ただし、それを言えば、機関投資家とて本質的には大差ない。


2)外国企業でもラクな情報開示
英語でもOK(今までは日本語のみでこれが強烈な負担だった)とし、決算開示を年2回にして、海外の会計基準の使用と認める。

東証は、Tokyo AIMをアジアの新興企業に訴求したいとする。プロの機関投資家がどっと売買するようになるのか?BUY and HOLD 、つまり長期投資がベンチャー企業投資の基本。しかし、長期投資だけでは、取引頻度や売買高をもたらさない。市場の流動性を高めるためには、もっと工夫がいる。

指定アドバイザー制度がポイントだ。指定アドバイザーは、企業の上場適格性を評価するとともに、上場までの過程でアドバイスを行う。欧米に比べて主幹事証券の責任が問われにくい風土(証券界と市場の談合体質)の日本で、「アドバイザー任せ」は定着するのか?

激烈な恐慌を迎えることになるであろう経済情勢の中で、やはりベンチャー企業が成長していかないと経済はダメになる。なんとか、いい方向でスタートしてほしい。