かみつけ岩坊の数寄、隙き、大好き

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 「Hoshino Parsons Project」のブログ

静かなる魅力溢れる山なみ 皇海山と足尾山塊

2008年05月03日 | 上野国「草の者」研究所
発売予告を見てから待ち望んでいた1冊が
本日入荷しました。



増田 宏 著「皇海山と足尾山塊」
   白山書房 定価 本体2,800円+税



この著者は、以前「かみつけの国 本のテーマ館」のなかの
 群馬の山の本の紹介のページで、
http://kamituke.hp.infoseek.co.jp/page042.html

前著「袈裟丸山  自然と歴史・民族 」
  七月堂 (2002/04) 定価 本体2,000円+税

山の魅力を深く語るその著者の姿勢にとても共感したことを取り上げさせてもらいました。

その増田宏さんの新刊が出るということだったので、
中身を見るまでもなく、期待に胸が膨らんでいました。


また、昨日会った友人が、ちょうど明日、
はじめて皇海山に行くという話を聞いたところ。

急な話で時間に余裕がないだろうが、今日中に絶対に手に入れるようメールで促した。
祭日で登山者もたくさんいることだるから、
5冊くらい担いでいって、山頂で売って来いと(笑)

定価2,800円というちょっと大きい重い本だけど、
ほんとうに、普通の山のガイドブックとは違う、その山の歴史・民俗史を含めた
すばらしい本なのです。
増してや、登山コースそのものは百名山のなかでも地味な山だけに
その周辺の足尾銅山や日光修験道との深いかかわりや歴史痕跡が見えてくると、
どこにも増して味わい深い山域であることを改めて知ることができます。

本書全体の多くの部分は魅力溢れる沢登りルートや
あまり知られていない登山道の紹介になっていますが、
それでもひとつの山域の魅力を語った本としては、
「足尾山塊の山」「足尾山塊の沢」「上州武尊山」をかつて出版した
岡田敏夫氏以来の山岳本の歴史に残る労作もいえます。

また最近では
高桑信一の『古道巡礼』東京新聞出版局の
根利山の開発・古道の歴史調査の後を継ぐものでもあります。

第5章の 足尾山塊の歴史は、
特別に登山に興味のない人でも、群馬の歴史に興味のある人であれば
是非、読んで欲しい章です。



本書の概要

一、足尾山塊の自然
    地形・地質/植生/山の歴史
二、登山コース
  1、一般向き登山道
    皇海山・庚申山/松木連峰/白根山
  2、明瞭な登山道のないコース
    宿堂坊山/錫ヶ岳・笠ヶ岳・三ヶ峰/皇海山から水行寺山
    両毛国境縦走/赤城山から袈裟丸山
三、足尾山塊の渓谷
  1、渡良瀬川水系
    松木川/神子内川/庚申川
  2、片品川水系
    三俣沢/湯ノ沢/三重泉沢/栗原川
  3、大谷川水系
    外山沢/柳沢
四、積雪期の足尾山塊
  皇海山・庚申山/松木連峰/錫ヶ岳・笠ヶ岳・三ヶ峰/白根山/両毛国境縦走
五、足尾山塊の歴史
  1、足尾山塊における日光修験の回峰行
  2、根利山の開発
  3、根利山の古道
  4、足尾銅山


本書は、時期は早いかもしれませんが
まぎれもなく「かみつけの国 本のテーマ館」の
ブック・オブ・ザ・イヤー受賞作品候補といえるでしょう。


この記事は、今日の「正林堂店長の雑記帖」よりを加筆訂正したものです
コメント
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