英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

忍びよる経済破たんなどどこ吹く風  散りゆく桜(国家)を見て何を思う安倍首相ら

2019年11月13日 14時32分28秒 | 経済・財政

    公的行事「桜を見る会」を組み込んだ観光ツアーへの参加を、安倍晋三首相事務所が地元の有権者に案内したメディア報道は、忍びよる日本の経済破たんに無頓着な政治家の無能を国民の前にさらけ出している。
  税金をつぎ込んでいる「桜を見る会」に、国に貢献した各界の有識者だけでなく、安倍首相の選挙区の有権者も招待しているという。借金まみれの国家財政を顧みず、自らの選挙のために貴重な税金をつぎ込むと疑われている安倍首相。首相はどんな言い訳をするのだろうか。
  首相だけではない。「自分第一」しか考えていない多くの与野党政治家や地方議員も首相と同罪ではないのか。自民党の二階俊博幹事長は12日に記者会見で「桜を見る会」に政治家が後援会関係者を招いたとしても「選挙区のみなさんに呼びかけて、ご参加に配慮するのは当然ではないか」(11月13日付朝日新聞2面)と述べた。
  招待を受けた地元の政治家らはどんな行動をとったか?安倍内閣の閣僚に「桜を見る会」で会ったことをブログに載せていたが、何を思ったのか削除している。メディアから叩かれるまで、「まずい」と思わなかったのか。もしそうなら、政治家資質を疑われてしまう。否、こんな政治家が多数を占める社会では、30年前には「道義上問題」と思われていたことが、ごく普通のことになってしまうのかもしれない。
  こんな「不思議な」政治家の多くは、政治スローガンとしての「反緊縮」を支持している。格差縮小や貧困対策のために、「いくら財政赤字を出してもかまわない」と主張する。それに見合うだけの歳入を確保する目途もないのに有権者に迎合する。それは取りも直さず、自らの政治利権を確保することだけに狂奔していることを意味する。
  約70年前の名古屋市助役の田淵寿郎のような明治生まれの気骨ある政治家はもはや日本にはいないのだろうか。田淵は太平洋戦争で焼け野原になった名古屋市の未来のために、大多数の市民と政治家の反対を押し切って戦災復興計画を立案。幅100メートルの道路を建設した。当時の名古屋市民は「飛行場をつくるつもりか」と批判したが、今日の市民は彼の英断を賞賛し、尊敬している。名古屋市の小中学校では、彼の生き方が道徳の教材に使われている。
  田淵のような政治家は40~50年前にはいたが、現在はいるのだろうか?日本の財政危機を前に、国民や有権者に迎合し、メディアから叩かれれば、ブログを削除する。「桜を見る会」に自らの考えで参加したのなら説明すればよいではないか。政治信念も資質もないことを白日にさらしていると言ってよいだろう。
  国際通貨基金(IMF)のデータでは、日本政府の債務は国内総生産(GDP)の237%で、財政健全度ランキングでは188カ国・地域で188位だ。つまり最下位に堂々とランクされている。
  「日本は金持ちで政府資産は巨大。だから問題はない」と「反緊縮」の政治家はいうが、残念ながら政府の金融資産を除いた純債務でも、日本は世界最下位だ。
  「桜を見る会」に地元の後援者を招待する安倍首相。その招待を「税金」でまかなっていると知りながら参加する地元後援会の政治家。国が滅び、国民が塗炭の苦しみに喘ぐときは、いつの時代も、こんな政治家や権力者が国家を支配したときである。
  1997年に韓国を襲った通貨危機が到来する前、韓国の上層部や政治家は国民に隠蔽と国家破たんの先送りを決め込んだ。19世紀の終わりから20世紀の初めには、南米のアルゼンチンは世界有数の経済大国だったが、今日、その面影は見る影もなく、貧困国家に転落している。
  韓国の経済破たんは突然に到来した。実態のない好景気にわいていた韓国社会は突然の危機勃発でパニックに陥った。
  日本の安っぽい政治家と取り巻き連中は最近、財政赤字をいくら積み上げても自国通貨を発行できる国家は経済破たんしないと主張する。何も知らない「ノー天気な」者か、国家破たんの先送りをしている者か。いずれんせよ、国家と国民への反逆である。
  年給開始年齢の大幅引き上げ、介護医療の大幅削減、生活保護の廃止などがまず始まるだろう。それこそが経済破たんの一種である。そこから日本は貧乏国家の坂道を転げ落ち、半世紀後にはアルゼンチンと同じ境遇に至るかもしれない。このまま行けば、確実にそうなるだろう。
  税金を使って「桜を見る会」への招待に悦にいっている政治家が多数を占める今日の日本にとって、それは遠い将来の話ではない。

この記事についてブログを書く
« 日本人の新天皇皇后陛下への... | トップ | 中国共産党は決して独裁権力... »

経済・財政」カテゴリの最新記事