不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

インドの幼児の42%は栄養失調気味

2012年12月31日 12時47分21秒 | 時事問題
 5歳以下のインド幼児の42%が標準体重以下!インドのシン首相は「国家の恥」だと最近述べた。インド最大の通信社、プレス・トラスト・インド(PTI)通信社がこう伝えている。
 インド首相は国民に、団結して栄養失調との戦いを呼びかけ、栄養失調を撲滅しなければならないと述べている。「トップ・プライオリティーは栄養失調の阻止だ。この数字は心をかきむしられる数字だ。われわれすべてが目をさまし、国民各位が協力して撲滅運動にまい進すべきだ。幼児と母親の良好な栄養状態と健康を確保するまでは継続的で包括的な国家の経済成長目標の達成はありえない」
 インド婦人・子供開発省は男優、女優を動員して国民の注意喚起に躍起になっている。英帝国時代の名残でインドは英語が共通語だが、この広大なインド亜大陸には多数の言語が存在している。英国の統治前は、群雄割拠。言語と宗教などが入り混じっていた。有名なタジマハル宮殿を建設したムガル帝国でさえ南インドを統治できなかった。
 この多言語国家で、この運動に18語を使用している。男優のアミール・カーンさんはインド国民に栄養失調撲滅の意義を訴え、「もし子供が健康でなければ、インドは後退する」と語っている。
 子供の栄養状態の向上とインド経済を結び付け、ひいてはインドのアジアにおける地位の向上をも視野に入れている。国家政策の一環としての運動だと理解できる。
 われわれ日本人には「子どもの栄養状態の向上」と「国力増強」を結び付けるのには奇異を感じる。ただ、理論的にはうなずける。インド人指導者も未来へ向けて、現在の環境を観察し続けている。
 われわれ日本人はインドの幼児に比べれば飽食だ。世界には食えない人間が確か10億人前後いるのではないか。しかし日本も若者の就職難やフリーターの増加など頭の痛い問題が山積する。生活の低下は明確だ。生活保護生世帯も200万人を超えた。
 ただ、近所の散髪屋の主人の話では、働けるのに就職探しもしないで生活保護を受けている人々がたくさんいるという。先日、テレビを見た床屋の主人は筆者に「生活保護を受けている大阪の男が出演した。奥さんと子供2人も生活保護者だ。後ろ姿でインタビューに答え、家内とともに生活保護を受け、十分に暮らせる。仕事をするつもりはないと言っていた」と話した。
 床屋の主人は筆者と同年齢。「こんや奴がいるから、国家財政が疲弊するのだ」と頭にきていた。感情は理解できる。インドの報道と重ね合わせて、複雑な心境になる。まあ日本人は少し外部からの圧力で目を覚ますほうがよいのだ。自力更生ができなくなった日本国民。総選挙で頭がいっぱいになっている”政治屋”を見れば理解できる。
 われわれ日本人は内向きにならず、国外に目を向けて世界の大局観察しなければ、世界からおいて行かれる。150年前のように鎖国して自給自足できる環境ではないのだから・・・。しっかりしろよ、日本人!

(2012年11月23日 11時24分55秒)

ストーカー事件と刺殺された三好さん

2012年12月31日 12時31分52秒 | 時事問題
 神奈川県逗子市でデザイナー三好梨絵さん(33)が刺殺された事件は読者のみなさんに大きなショックを与えたことだろう。筆者も三好さんのご冥福を祈る以外に何もすることができない。結婚した三好さんが幸福な未来が輝いていたことを考えるといたたまれない。
 元交際相手の無職小堤英統容疑と初めて会ったのが、どこかのバドミントン教室だったとか。ただ、ごく普通の出会いをしている。
 途中中断があったとはいえ、一日に1000-2000回の迷惑メールを送られ、あげくのはてに結婚すれば「殺してやる」とメールを送りつけられた。
 またインターネットの質問サイトに、小堤英統容疑者が三好さんの情報を求めたり、事件の準備をうかがわせたりするような400件に上る投稿が残っていることが分かっている。小堤容疑者が探偵事務所に、逗子市小坪に住む三好さんの居場所を調べてほしいと依頼していたことも判明。同日、探偵事務所から所在確認の連絡を受けていたという。
 神奈川県警も大チョンボをした。小堤容疑者の逮捕時、手続きに基づき、逮捕状に書かれていた女性の結婚後の姓や自宅住所の一部を読み上げていたという。
 今年1~8月に全国の警察がストーカー規制法に基づいて出した警告は1511。統計を取り始めて過去最多の2007年の1年間の1384件を既に上回っている。今年1~8月のストーカー事件の認知件数は1万3456件。過去最多だった10年の1万6176件を上回るペースになっている。検察庁が11月13日に発表した。
 この一連の動きを現在だけから見ていると、「ああそうか」で終わってしまう。「現在の出来事」は必ず「過去」からの連続である。だから三好さんの事件も警察庁の「ストーカー調べ」も過去に起因することになる。
 半世紀前もこのような事件はあっただろうが、これほどまでに増えているのは、日本人の道徳観の変化などだろうか。疑いたくなる。
 半世紀以上前、先生は聖職だった。どんな飲んだくれの父親も先生が家庭訪問すれば、身を正して迎えた。子どもが先生に叱られたことを聞けば、子をぶん殴ってその非を責めた。母親は血相を変えて学校に出向き、深々と頭を下げて子の過ちを謝罪した。
 貧しい親は給食費が払えなかった。それでも子どもにだけは苦労させたくないと金を工面して給食費を支払った。先生も父親の帰りを見計らって、夜半家庭を訪問、給食費を払えない事情を聴き、同情して支払いを猶予する手続きをした。
 それがいつごろか、たぶん20-25年前ぐらいから、子どもが先生に叱られると、親は血相を変えて学校に急行。「自分の子どもをなぜ叱った。差別だ」となじるようになった。そんな親が増えてきた。そしてあげくのはてに給食費を払わず、子どもがただ食いをしても平気な親が現れた。
 そんな現象が始まって約20年。ストーカーが出てきても不思議ではない。モラルの荒廃。モラルは学校で形成されない。家庭だ。両親の態度を見て子どもは育つ。
 学校も「育」の場だ。先生や友人と触れ合って「人格」を形成する場だ。半世紀前の高等師範学校出で、90歳近い筆者の小学校の先生に5-6年前にお会いした。その時「今の学校は務まらない」と言っていた。そうだろう。親が学校に文句を言いに来る。
 民主党の輿石書記長を観察していると、あれが日教組の先生だと偏見を抱いてしまう。筆者の小中の生徒時代は日教組の先生が幅を利かせていた。日教組が日本の戦後教育にどんな功罪をしたのか検証する必要がある。
 色々と取り留めのないことを書いたが、要するに「ストーカー事件」の多発は、筆者が今述べたことの集大成のような気がしてならない。


(2012年11月16日 10時36分07秒)

野田首相、籠城を拒否し、手勢を率いて敵中へ

2012年12月31日 12時30分43秒 | 歴史
 名女優の森光子さんが92歳の波乱に満ちた生涯を閉じた。放浪記2017回の公演は彼女の人生そのものだった。素晴らしい人生だった。フランスのドゴール将軍がチャーチルの国葬の折、挙手の敬礼で見送ったように、尊敬と感謝の気持ちを込めて挙手の敬礼で天国に旅立つ森さんを見送りたい。
 また、私が尊敬する俳優の菅原文太さんが俳優の幕引きをして、国民運動グループ「いのちの党」を旗揚げした。「異常な国になってしまった。若い人の自殺や子供への虐待、いじめは減らない。・・・それなのに政治は抗争ばかりして、なんの手当もしようとしない。このままでは国が滅びるよ」。
 二人の名優はイングランド人(英国人)が言う名優だ。政治運動にはまっていた筆者が若い頃、俳優、タレント、歌手をどこか心の底で軽蔑していた。「たかが人寄せ芸人ではないか」。間違っていた。イングランド人は筆者に「名女優、名男優は社会の鏡なのだ。彼らの言行はわれわれの模範になる。彼らの行動ひとつ一つはわれわれのモラルに影響を与える。そのような女優、男優は名優なのだ」と。一人は素晴らしい人生の幕を自らひき、もう一人は俳優業から身を引いた。
 菅原氏がいう「政治抗争」に大きな変化が昨日あった。野田首相は安倍自民党総裁との討論で「11月16日解散」を明言した。野田首相を褒めたい。籠城を決め込む部下を見捨てて、真の党友とともに城門を開け、敵中へ馬でかけていった。筆者はテレビでこの光景を聞いていて、ふとコンスタンチンノプール(現在のトルコ・イスタンプール)を思い出した。1453年春、数カ月にわたってメフメット2世率いるオスマントルコ数百万の軍勢が東ローマ帝国の首都コンスタンチンノープルを包囲していた。ボスボラス海峡を渡った大軍に包囲されたコンスタンチン11世と東ローマ帝国の滅亡は時間の問題だった。コンスタンチン11世は5月29日、わずか千人余りの手勢を率いて、城門から敵中へ躍り出て散って行った。その時、栄光あるローマ帝国は滅亡したのだ。
 野田首相の胸中はコンスタンチン11世と同じだったのか。筆者はこのブログで言った。時が経てばたつほど、民主党の惨敗の程度は大きくなると。現在なら惨敗するにしても、将来への道はつながると。今もその見解は変わらない。首相は日本人の倫理観に沿って(発言に対して責任を持つ)勇気をふりしぼって解散を決断した。周囲の厳しい環境を考察した賢明な決断だった。「時の変化」を考えたかどうかはわからないが、「時の変化」を見据えた決断だった。
  討論後、岡田克也副総理は記者団に「見事なリーダーとしての決断」と述べて首相をたたえ、「特例公債法成立の確約をとり、定数削減をギリギリまで追求した。政治家としての器の大きさ、小ささが(安倍氏との間で)はっきり出た党首討論だった」と絶賛した。筆者も昨日の言行に限って同調する。
 それにしても首相の討論相手の安倍氏の器量の小ささをテレビは容赦なく映し出していた。首相は「16日に解散する」と述べ、畳み掛けて衆院選挙制度改革法案で自民党が主張する「一票の格差」是正のための「0増5減」のみならず、議員定数削減を安倍氏に逆提案し、「ぜひ国民の前に約束してください」と迫った。
 オウムのようにこの数カ月、首相に解散を迫り「ウソつき」批判していた安倍氏は首相の発言を予期していなかったようだ。明らかに動揺していた。首相の気迫に押され「民主党というのはですね、改めて思いつきのポピュリスト政党だなと思いました」と、ちぐはぐな答えだった。首相は「明快なお答えをいただいていない」と切り捨てた。 そうすると安倍氏は「16日でいいんですね。いいんですね」と訳のかわらない返答をした。完全に首相の勝利だった。
 人間はもっとも苦しい時や決定的な瞬間に自らの度量、器量、性格をものの見事に露見させる。安倍氏の器量をはからずも目の当たりにした瞬間だった。この政治家も首相の器ではない。首相に一回なった。それで十分だ。
 菅原氏は俳優引退会見で「政治家はすべて(大震災の)被災地で重機を運転して働けばよい」と言った。菅原氏が批判した政治家は与野党に五萬といる。
 民主党は衆院東京15区に田中美絵子衆院議員を擁立する方針だという。「国民の生活が第一」の小沢一郎氏の側近東祥三氏の対抗馬だという。田中衆院議員と言えば、週刊新潮で、国土交通省のキャリア官僚と大崎駅構内で堂々と「チュ」をしてホテルへ消えていった御人ではないか。不適切な交際を報じられた中部地方整備局の副局長は左遷された。 
 2011年12月の「週刊文春」によれば、議員会館の自室で女性秘書に「エッチを求めた」民主党若手議員の和田隆志氏。
 2012年12月の「週刊文春」では、夫がいる身でありながら、民主党・山本剛正衆議院議員と不倫の関係を結んだとされる、同じ民主党の西村正美参議院議員。山本議員は疑惑を全面否定したが、支援者は「火のないところに煙はたたない。よりによって年上の女性と」と嘆き節が聞かれたという。 そして「フライデー」の報道による、2006年の細野豪志氏の山本モナさんとの不倫騒動。
 筆者は各自のプライバシーを問題にしているのではなく、彼らは皆国会議員という公人であり、そのために国民の血税をいただいているのだ。読者の皆さんが毎日汗水たらして働いた結果、納める税金で議員活動をしている。われわれ有権者は国会で不倫するために血税を払っているのではない。
 そうはいってもそんな議員に投票しているのはわれわれ有権者だ。議員のレベル、政治のレベルは国民のレベルに等しいと言われるが、その汚名を返上するためにも12月の総選挙はじっくり情報をかき集めて誰に投票するかを決めたい。いつか言ったが、数学の難問を解くより難しいのは分かっているが・・・・。

 (2012年11月15日 10時03分15秒)

橋下大阪市長の完勝  週刊朝日、日本の民主主義に打撃与える

2012年12月31日 12時28分47秒 | 時事問題
 橋下大阪市長の完全勝利だった。11月12日午後4時過ぎ、新聞記者約50人を市役所五階の応接室に集め、“無条件降伏調印式”が行われた。代表取締役社長代行に就任した取締役の篠崎充(しのざき・みつる)ら3人は深々と頭を下げた。
 スポーツニッポンによれば、橋下氏は検証結果の資料を満足げに一読。椅子から身を乗り出して説明する3人とは対照的に、背もたれに寄り掛かり「はい」と相づちを繰り返しながら聞き入ったという。
 橋下市長は「納得」したと話し、矛を納めた。そして「出自や血の論理を持ち出して人格否定するのは、今の日本社会ではあってはならない」とも強調した。「問題化した後、(同社関係者が)ツイッターで販売促進をしていた」と批判も忘れなかった。
週刊朝日の幹部は橋本市長の発言に終始肯定の相づちを打っていたという。
 執筆陣に加わったノンフィクション作家の佐野真一氏を呼び捨てで「(社会的に)抹殺する」と容赦ない表現でこき下ろした橋下市長の発言も闇のかなたに消えていった。
 週刊朝日は9日、第三者機関「朝日新聞社報道と人権委員会」から、橋下市長をめぐる連載記事についての「見解」を受け取った。
見解はこう記している。

 記事は橋下徹・大阪市長についての人物評伝を意図したものであり、10回から15回を予定した連載の第1回分だが、橋下氏の出自を根拠にその人格を否定するという誤った考えを基調としている。人間の主体的尊厳性を見失っている。差別を助長する表現が複数あり、差別されている人々をさらに苦しめる。また橋下氏を直接侮辱する表現も見られる。
 記事の主要部分が信憑(しんぴょう)性の疑わしい噂話で構成されており、事実の正確性に関しても問題がある。
 報道を通じて差別や偏見などの不当な人権抑圧と闘うことを使命の一つとし、正確で偏りのない報道に努めなければならない報道機関としてあってはならない過ちだ。差別に対する認識、人権への配慮を欠いており、(週刊朝日)編集部におけるチェック体制が的確に機能していないという問題も存在している。
 企画段階から編集部が主体となり、(執筆したノンフィクション作家の)佐野真一氏は編集部の意向を受けて活動しており、問題の責任は全面的に編集部側にある。
これに対して週刊朝日は 『「報道と人権委員会」から、今回の記事について「出自を根拠に人格を否定するという誤った考えを基調にしている」との根幹に関わる指摘を受けました。差別や偏見と闘うことを使命とする報道機関として、深く反省しております。神徳英雄社長は事態を重大に受け止め、すべての経営責任を負って本日、辞任しました。今後は社員の人権教育を徹底し、読者の信頼回復に努めます。』とコメントしている。

 また佐野氏は12日付の「見解とお詫び」の中で

 まず初回で連載打ち切りの事態になり、日本維新の会代表の橋下徹氏を通じて現在の未曾有の政治的停滞状況と言論の置かれた危機的状況を描きたいという筆者の真意が読者の皆様にお伝えできなかったことが残念でなりません。人物評伝を書く場合、私には鉄則があります。テーマとする人物の思想や言動は、言うまでもなく突然生まれたわけではありません。
 生まれ育った環境や、文化的歴史的な背景を取材し、その成果を書き込まなくては当該の人物を等身大に描いたとはいえず、ひいては読者の理解を得ることもできない。それが私の考える人物評伝の鉄則です。ましてや公党の代表である公人中の公人を描く場合、その人物が生まれ育った背景を調べるため、家族の歴史を過去に遡って取材することは、自分に課したいわば私の信念です。
 ・・・・ しかしながら、ハシシタというタイトルが、不本意にも橋下氏の出自と人格を安易に結び付ける印象を与えてしまい、関係各位にご迷惑をかけてしまいました。
 人権や差別に対する配慮が足りなかったという報道と人権委員会のご指摘は、真摯に受け止めます。また記述や表現に慎重さを欠いた点は認めざるを得ません。
 出自にふれることが差別意識と直結することは絶対あってはならないことです。差別に苦しめられながら、懸命に生きてきた心から尊敬できる人は数多くいます。
 そのことが重々わかっていたつもりだったにもかかわらず、それら心ある人たちのひたむきな努力や痛みに思いを致せない結果となってしまいました。
私の至らなかった最大の点は、現実に差別に苦しんでおられる方々に寄り添う深い思いと配慮を欠いたことです。その結果、それらの方々をさらなる苦しみに巻き込んでしまったことは否めません。今後はこのようなことがなきよう、慎重な上にも慎重な記述を心がけます。関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びいたします。

 第三者機関「朝日新聞社報道と人権委員会」の報告書の中で「橋下氏の出自を根拠にその人格を否定するという誤った考えを基調としている。人間の主体的尊厳性を見失っている。差別を助長する表現が複数あり、差別されている人々をさらに苦しめる。また橋下氏を直接侮辱する表現も見られる」と記している。ここが報告書の中心だろう。
 一方、佐野氏は「テーマとする人物の思想や言動は、言うまでもなく突然生まれたわけではありません。 生まれ育った環境や、文化的歴史的な背景を取材し、その成果を書き込まなくては当該の人物を等身大に描いたとはいえず、ひいては読者の理解を得ることもできない。それが私の考える人物評伝の鉄則です。ましてや公党の代表である公人中の公人を描く場合、その人物が生まれ育った背景を調べるため、家族の歴史を過去に遡って取材することは、自分に課したいわば私の信念です」と力説している。
 筆者には疑問がわく。第三者機関の報告書を念頭にして佐野氏は自らの信念に従って、なぜ書けなかったのか。「橋下氏の出自を根拠にその人格を否定するという誤った考えを基調」にしなくても橋下市長の独裁政治手法を批判できた。
 「ハシシタ 奴の本性」などと情感に訴える手法を取ったのか。「生まれ育った環境や、文化的歴史的な背景を取材し、その成果を書き込まなくては当該の人物を等身大に描いた」。「」ということを強調しなくてもよかった。無意味だった。橋下が被差別出身だから  「独裁的な政治手法」を身に付けたと、読者に思わせるように書いたことがそもそもの誤りだった。彼の過去や経歴を客観的に分析して、淡々と書けばよかった。経歴を書き、彼がその環境から何を学び、そこからどんな思想を形成していったのかを書けばよかった。
 ナチス・ドイツの独裁者がウィーンにいたから反ユダヤ主義になったのではない。ウィーンでの悲惨な生活から彼がユダヤ人に対する偏見をどのようにして形成していったのかを分析すべきなのだ。 
 佐野氏の手法は正しい。ただ、感情を移入したためにおかしくなった。橋下氏の政治理念や独裁的な手法、政敵や自分を批判する人々を汚い悪口でののしることに対して、正面から理論づけて批判すれば十分だった。
 この類の批判は情感やセンセーショナルな言葉で批判することは墓穴を掘る。読者の情感に訴えることで、売れ行きを伸ばそうと週刊朝日と佐野氏が考えていたのなら邪道だった。
 週刊朝日の代償は大きかった。代表取締役社長・神徳英雄(こうとく・ひでお)は辞任。前週刊朝日編集長の河畠大四(かわばた・だいし)について、停職3ヵ月及び降格とする処分になった。このほか、本件記事を担当した副編集長を同じく停職3ヵ月及び降格、弊社の雑誌部門の責任者である雑誌統括兼コンプライアンス担当を停職20日。
 週刊朝日の代償以上に、日本の民主主義と自由に打撃となった。これで橋下氏は勢いづくだろう。彼の意志かどうかは明確ではないが、結果として橋下氏は勢いづいた。政治的得点を稼いだ。結果として週刊朝日と朝日新聞は日本の民主主義に打撃を与えた。これから朝日新聞は橋下氏に対するコメントや批判を自由に書けるのだろうか。少なくとも自己抑制だけはしてほしくない。
 石原慎太郎氏や橋下氏の情緒的政治思考は日本にとって良いことではない。筆者は彼らの行動を見るとき、必ず80年前の関東軍幹部を思い出す。関東軍幹部も周囲の環境を観察しないで、中国人への怒りから満州事変を起こしたのだ。(事変勃発の原因の一部だが)

 (2012年11月13日 21時10分36秒)

国の借金約1000兆円 破たん寸前 日本人はノー天気

2012年12月31日 12時22分38秒 | 時事問題
 財務省は9日、国債や借入金などを合わせた「国の借金」の総額が9月末時点で983兆2950億円だったと発表した。発表するたびごとに増え続けている。
総務省推計の10月1日時点の日本の総人口(概算値、1億2753万人)で割ると、1人当たり約771万円の借金。
 政府・与野党政治家はこの10年、増大する国家の借金に対して危機感を表明している。ただ口だけで、行動はしないし、毎年の予算は借金だらけ。特に民主党が政権を取ってからの予算は無茶苦茶だ。
政府の2012年度一般会計予算は歳入総額約90兆3300億円で、このうち借金である国債は44兆2200億円と半分近くを占めている。つまり国民から借りている。国民は間接的にしか貸していないので、実感がわかない。
 オリンピック開催国が、開催日まで「あと何日」と指を折って数えているが、われわれもそろそろ「日本が破産するまであと何日」と数え始めたほうがよい。
国債など政府の債務残高の国内総生産(GDP)に対する割合は、先進国で最悪で、日本の財政は危機的な状況だ。
多くの国民は国債を直接保有していないが、銀行預金、生命保険料などを通じて間接的に購入しているので、影響は極めて大きい。銀行や生命保険会社などは、個人から集めた預金や保険料で国債を購入、運用しているので、実質的には個人金融資産が国債購入の主な原資だ。そろそろインフレが始まり、そうなれば公的年金の減額なども遡上に上がるだろう。
 日本の債務残高は絶対額だけでなくGDPとの対比で見ても、極めて大きい。経済協力開発機構(OECD)の調べでは、一一年末時点で日本の債務は212・7%とGDPの二倍を超え、先進七カ国(G7)の中で最悪。昨年以来、欧州債務危機の震源地となったギリシャの165・1%をも上回っている。
 これだけの政府債務を抱えても、日本国債は今のところ、市場では買われ続け、極めて安定している。
  日本国債の安全性を主張する人たちは(1)日本は経常黒字国だから、外貨が豊富にある(2)日本には巨額の個人金融資産があるので、国内貯蓄だけで国債購入を賄える(3)国債保有者の約70%が海外投資家であるギリシャに比べ、日本国債は90%以上が国内投資家で、危機の時の「逃げ足」が遅い-などを挙げている。
個人金融資産は2011年9月末で1471兆円と、巨額の残高はある。しかし、国・地方の債務残高1154兆円と対比すれば317兆円上回っているだけだ。
 人間は希望的観測の強い動物。とくに日本人はそうだ。政治屋連中はこの数字を見て、まだ国債を発行できると思っている。議員定数や歳費の削減など、自ら犠牲を買ってでるなどは夢のまた夢。
希望的観測がある日突然崩れ去り、奈落の底に落ちていく。そんなシナリオを考えたくないが、そうもいくまい。
 われわれに迫っているシナリオは、国債の市場価格が暴落し、長期金利が急騰し、国の予算が組めず、財政が破綻する。公的年金が大幅に減額される。そして、猛烈なインフレ、円安が進行。企業や個人資金の海外逃避を防ぐために預金封鎖が実施され、毎月あるいは毎週一定額以上は引き出せなくなり、生活資金にも事欠くようになるだろう。
 内閣府は9日、10月の消費動向調査を発表した。暮らし向きなどの意識を示す「消費者態度指数」は前月比0.4ポイント減の39.7になった。
 指数は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4指標について、全国6720世帯に「良い」から「悪い」までの5段階で答えてもらった。4指標すべてで前月の結果を下回ったという。
政治屋はノー天気。第3勢力の結集だとか、総選挙はいつだとか。1880年代後半に議会が開設されて以降、これほどまで政治家の質が劣化した時代はないと言っても過言ではない。
 政治家の質は国民の質だというから、国民もノホホンとしているのだろう。座して死を待つ。今の日本と国民に当てはまるのかもしれない。

(2012年11月09日 21時13分45秒)