2020年東京オリンピック競泳女子の金メダル最有力候補の池江璃花子さんが12日に自身のツイッターで白血病と診断されたことを公表してから約1週間がたとうとしている。この1週間、病気に立ち向かおうとする健気な勇気を彼女がツイッターで発信したのを受け、SNSには、日本だけでなく世界の人々から励ましのコメントが寄せられている。また骨髄バンクにはドナー登録を希望する問い合わせが殺到しているという。
池江さんは4月の日本選手権を欠場する。今夏の世界選手権韓国大会出場も絶望的だ。20年東京五輪も参加できるかどうかは闇の中だ。彼女はツイッターで「私自身、未だに信じられず、混乱している状況です」と自らの気持ちを素直に書いている。数多の人々から応援と激励のメッセージを受け取った後、ツイッターを更新。「私は、神様は乗り越えられない試練は与えない、自分の乗り越えられない試練はないと思っています」と自らを鼓舞、東京五輪の夢を抱いて闘病生活に入った。
私は池江さんのツイッターや新聞で「私は、神様は乗り越えられない試練は与えない」を読み、20世紀の偉大な政治家ウィンストン・チャーチルも同じような言葉を記しているのを思い出した。
チャーチルは1931年12月、ニューヨークで交通事故に遭い重傷を負った。その翌年の1月4日と5日に英紙「デーリーメール」に寄稿し、こう述べた。「創造主(神)は人間がどうすることもできないことをあえて試すことはありません。だからリスクを恐れず生きなさい!何が起こっても逃げないで立ち向かいなさい!そうすればすべてがうまくいくのです」。この寄稿文で、彼はいかなる困難にも負けない勇気を持つことを力説した。池江さんも18歳という若年ながらもどんな困難にも打ち勝つ勇気を持っていると感じた。
35年前の1985年、有名女優だった夏目雅子の命を奪ったのも白血病だった。当時は不治の病だったが、今では治療法の向上で、当時よりは治癒する病気になった。池江さんはツイッターで「私にとって競泳人生は大切なものです。ですが今は、完治を目指し、焦らず、周りの方々に支えて頂きながら戦っていきたいと思います」とつづる。
彼女のこの言葉を読んで、戦国大名の石田三成を思い出す。彼が関ヶ原の戦い(1600年9月)で敗北して捕らえられ、処刑される直前、のどが渇き水を求めた。徳川方の足軽が水はないが柿があるから食え、と言ったところ、三成は柿は腹が冷えるからと断った。足軽は間もなく処刑されるのに何を言うかと言って冷笑したという。
三成が後世のわれわれに、最後の最後まで命を大切にして生き抜くことの大切さを教えている。池江さんも勇気を抱いて、この難病と戦うことを誓っている。全国の津々浦々からわき上がる池江さんへの応援メッセージ。私もそのメッセージを送る。彼女が再びプールのスタート台に立つことを心から祈っている。
(注)英紙「デーリーメール」に掲載されたチャーチルの寄稿文のタイトルは「My New York Misadventure」。「The Collected Essays of Sir Winston Churchill,Vol. 4 ed Michael Wolff, 1976」のP88~95に載っている。また拙書「人間チャーチルからのメッセージ」(小学館スクウェア)のP35, P99~103にも記した。興味のある方は国立国会図書館で参照してください。
池江さんは4月の日本選手権を欠場する。今夏の世界選手権韓国大会出場も絶望的だ。20年東京五輪も参加できるかどうかは闇の中だ。彼女はツイッターで「私自身、未だに信じられず、混乱している状況です」と自らの気持ちを素直に書いている。数多の人々から応援と激励のメッセージを受け取った後、ツイッターを更新。「私は、神様は乗り越えられない試練は与えない、自分の乗り越えられない試練はないと思っています」と自らを鼓舞、東京五輪の夢を抱いて闘病生活に入った。
私は池江さんのツイッターや新聞で「私は、神様は乗り越えられない試練は与えない」を読み、20世紀の偉大な政治家ウィンストン・チャーチルも同じような言葉を記しているのを思い出した。
チャーチルは1931年12月、ニューヨークで交通事故に遭い重傷を負った。その翌年の1月4日と5日に英紙「デーリーメール」に寄稿し、こう述べた。「創造主(神)は人間がどうすることもできないことをあえて試すことはありません。だからリスクを恐れず生きなさい!何が起こっても逃げないで立ち向かいなさい!そうすればすべてがうまくいくのです」。この寄稿文で、彼はいかなる困難にも負けない勇気を持つことを力説した。池江さんも18歳という若年ながらもどんな困難にも打ち勝つ勇気を持っていると感じた。
35年前の1985年、有名女優だった夏目雅子の命を奪ったのも白血病だった。当時は不治の病だったが、今では治療法の向上で、当時よりは治癒する病気になった。池江さんはツイッターで「私にとって競泳人生は大切なものです。ですが今は、完治を目指し、焦らず、周りの方々に支えて頂きながら戦っていきたいと思います」とつづる。
彼女のこの言葉を読んで、戦国大名の石田三成を思い出す。彼が関ヶ原の戦い(1600年9月)で敗北して捕らえられ、処刑される直前、のどが渇き水を求めた。徳川方の足軽が水はないが柿があるから食え、と言ったところ、三成は柿は腹が冷えるからと断った。足軽は間もなく処刑されるのに何を言うかと言って冷笑したという。
三成が後世のわれわれに、最後の最後まで命を大切にして生き抜くことの大切さを教えている。池江さんも勇気を抱いて、この難病と戦うことを誓っている。全国の津々浦々からわき上がる池江さんへの応援メッセージ。私もそのメッセージを送る。彼女が再びプールのスタート台に立つことを心から祈っている。
(注)英紙「デーリーメール」に掲載されたチャーチルの寄稿文のタイトルは「My New York Misadventure」。「The Collected Essays of Sir Winston Churchill,Vol. 4 ed Michael Wolff, 1976」のP88~95に載っている。また拙書「人間チャーチルからのメッセージ」(小学館スクウェア)のP35, P99~103にも記した。興味のある方は国立国会図書館で参照してください。