韓国大統領府は22日、日本と結んでいる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄することを決めたと発表した。日本の対韓輸出規制強化が「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」ことを理由に挙げ、協定維持が「韓国の国益にそぐわないと判断した」と表明した。
これに対して、自民党の中谷元・元防衛相は22日、韓国がGSOMIAの破棄を決めたことについて「常軌を逸した決定だ。北朝鮮を利することにしかならず、安全保障をやっている立場として韓国政府の判断力が理解できない」と批判した。
中谷氏だけでなく、情念や理念を排し、虚心坦懐な心で客観的に移りゆき時の流れを見つめようと心がける人間が、「韓国政府の判断力は理解できない」と思うのは当然だ。
韓国大統領府の金有根・国家安保室第1次長は「韓国の国益にそぐわないと判断した」と表明したが、私は損なうとしか思えない。
韓国の文在寅大統領は、日本の対韓半導体輸出規制強化など一連の日本の制裁に対してとった対抗措置が、どれほど韓国人の安全に脅威を及ぼしているのがわからないのだろうか。たぶん、大統領は米韓関係を楽観しているだろうが、東アジアと米国の安全保障に直接的なダメージを及ぼすGSOMIAの破棄に、米国は相当の不快感を抱いているだろう。米国は韓国が中長期的に見て真の同盟国かどうかさえ疑いを持ちはじめ、対韓同盟を再考するかもしれない。
なぜ、文大統領は日韓GSOMIAを破棄したのか。反日感情が高まっている支持者や韓国の一般市民に迎合し、支持基盤を強化して来年の総選挙で与党「共に民主党」の勝利を狙い、保守政党の返り咲きを阻止したかったのだろう。もし保守政党が勝利すれば、文大統領の現実無視の理想「南北融和と協力、2045年の朝鮮半島統一」が後退すると考えているんだろう。
最近、北朝鮮から袖にされている文大統領は、日韓GSOMIAを破棄することによって、金正恩委員長への好意的な姿勢を再度示し、独裁者を韓国側につなぎ止めたかったのだろう。しかし、それが韓国民の不幸の始まりだとは思わないのだろうか。
後世の歴史家は、文大統領の日韓GSOMIA破棄が、北朝鮮による朝鮮半島統一の始まりだったと話すかもしれない。もしそうなら、南北統一後、金委員長が血祭りに上げる最初の政治家は文大統領なのかもしれない。
それ以外に考えられるのは、GSOMIAの破棄によって、この協定を重視している米国を仲介者として引きずり出し、日本の対韓半導体輸出の優遇措置の復活など日本からの妥協を引き出す戦術なのかもしれない。しかし、多くの日本国民の不快感は限界を超えている。韓国人の要求は不当だと見なせば、日本人の国民性からして妥協はしない。「韓国政府や国民から何度も裏切られている」と感じている日本人は多いからだ。
●文大統領は「国民からの常なる支持が民主主義」と勘違いしている
民主主義国家では、文大統領のように、大衆におもねる政治家を見かける。このような政治家は「指導者は大衆に従う」「世論調査に従う」などと述べ、「大衆」を政策を正当化する弁法にする。周囲の環境や、その変化に目もくれず、相手の真意をも見抜かずに自らの理念や理想だけに走って行動する。そして自国民を危機に陥れるのだ。歴史の本を紐解けば、そんな例は枚挙にいとまはない。
ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーが政権を握る前夜の1930年6月19日、英国民から「戦争屋」「反ヒトラー主義者」として総スカンを食っていたウィンストン・チャーチルはオックスフォード大学で、学生を前に講演した。当時、多くの英国人は、約10年後に独裁者によって滅亡の瀬戸際に立たされるのも気づかず、共産主義の防波堤としてヒトラーに好意を寄せていた。
チャーチルはトップエリート数百人に民主主義の長所と短所を説明した。1918年に英国で施行された普通選挙後、批判を恐れず自らが信じる政策を主張する政治家がほとんどいなくなった述べ、今後、大道を明示する政治家はおそらく不人気になると力説した。また、大多数の有権者の支持を得る政策が必ず国家百年の大計に資するかとなると、はなはだ疑わしいと強調した。
チャーチルは大衆についてこう話す。「多くの国の一般的な傾向として、社会の主役に躍り出た大衆の大多数は受け身の性格しか持っていない。・・・常に何かを与えられることを期待し,自らに不都合なことや不満で嫌いな現象が起これば、その現象にだけ目を向け指導者を批判する」。要するに、目の前のことにしか目がいかず、遠い未来を推測して行動する大衆は少ないということだ。
今回のGSOMIAの破棄を例にとれば、韓国のGSOMIA批判派はこの協定を過去の日本統治の歴史に重ね「侵略した国に大事な情報をとられる」(19日付け朝日新聞から引用)と主張。また対韓半導体輸出規制強化など”不当”な圧力をかける日本に協力する必要はないと強調する。まさに目の前のことしか目がいかない文大統領支持派の愚かさだ。
民主主義制度を心から信じたチャーチルは、感情に支配されやすい大衆の不合理と主観的なものの見方から影響を受ける民主主義の短所を理解していた。
韓国の文大統領は大衆におもねることが民主主義だと勘違いしている。政治は現実の中に理想があり、現実を踏みしめながら理想を実現することを理解しない。厳しい現実を受け入れ、それを克服してはじめて自らの理想が実現することを知らず、唯々理念と理想だけが政治だと思っている。対北朝鮮政策はまさに文氏が理念の奴隷になっている証だ。それは独裁者と世襲共産主義の北朝鮮と対峙する韓国と韓国民にとって、滅亡への一歩だと確信する。
文大統領と、大統領を支持する韓国民、反日感情を抱く韓国人は「政治とは何か」「現実を無視し、軽視しての理念と情念が祖国に何をもたらすか」を考えてほしい。そして我々日本人が日常生活や政治・経済などの世界で考えなければならないことだと思う。
(写真)GSOMIA破棄を表明する韓国政府の金有根・国家安保室第1次長
これに対して、自民党の中谷元・元防衛相は22日、韓国がGSOMIAの破棄を決めたことについて「常軌を逸した決定だ。北朝鮮を利することにしかならず、安全保障をやっている立場として韓国政府の判断力が理解できない」と批判した。
中谷氏だけでなく、情念や理念を排し、虚心坦懐な心で客観的に移りゆき時の流れを見つめようと心がける人間が、「韓国政府の判断力は理解できない」と思うのは当然だ。
韓国大統領府の金有根・国家安保室第1次長は「韓国の国益にそぐわないと判断した」と表明したが、私は損なうとしか思えない。
韓国の文在寅大統領は、日本の対韓半導体輸出規制強化など一連の日本の制裁に対してとった対抗措置が、どれほど韓国人の安全に脅威を及ぼしているのがわからないのだろうか。たぶん、大統領は米韓関係を楽観しているだろうが、東アジアと米国の安全保障に直接的なダメージを及ぼすGSOMIAの破棄に、米国は相当の不快感を抱いているだろう。米国は韓国が中長期的に見て真の同盟国かどうかさえ疑いを持ちはじめ、対韓同盟を再考するかもしれない。
なぜ、文大統領は日韓GSOMIAを破棄したのか。反日感情が高まっている支持者や韓国の一般市民に迎合し、支持基盤を強化して来年の総選挙で与党「共に民主党」の勝利を狙い、保守政党の返り咲きを阻止したかったのだろう。もし保守政党が勝利すれば、文大統領の現実無視の理想「南北融和と協力、2045年の朝鮮半島統一」が後退すると考えているんだろう。
最近、北朝鮮から袖にされている文大統領は、日韓GSOMIAを破棄することによって、金正恩委員長への好意的な姿勢を再度示し、独裁者を韓国側につなぎ止めたかったのだろう。しかし、それが韓国民の不幸の始まりだとは思わないのだろうか。
後世の歴史家は、文大統領の日韓GSOMIA破棄が、北朝鮮による朝鮮半島統一の始まりだったと話すかもしれない。もしそうなら、南北統一後、金委員長が血祭りに上げる最初の政治家は文大統領なのかもしれない。
それ以外に考えられるのは、GSOMIAの破棄によって、この協定を重視している米国を仲介者として引きずり出し、日本の対韓半導体輸出の優遇措置の復活など日本からの妥協を引き出す戦術なのかもしれない。しかし、多くの日本国民の不快感は限界を超えている。韓国人の要求は不当だと見なせば、日本人の国民性からして妥協はしない。「韓国政府や国民から何度も裏切られている」と感じている日本人は多いからだ。
●文大統領は「国民からの常なる支持が民主主義」と勘違いしている
民主主義国家では、文大統領のように、大衆におもねる政治家を見かける。このような政治家は「指導者は大衆に従う」「世論調査に従う」などと述べ、「大衆」を政策を正当化する弁法にする。周囲の環境や、その変化に目もくれず、相手の真意をも見抜かずに自らの理念や理想だけに走って行動する。そして自国民を危機に陥れるのだ。歴史の本を紐解けば、そんな例は枚挙にいとまはない。
ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーが政権を握る前夜の1930年6月19日、英国民から「戦争屋」「反ヒトラー主義者」として総スカンを食っていたウィンストン・チャーチルはオックスフォード大学で、学生を前に講演した。当時、多くの英国人は、約10年後に独裁者によって滅亡の瀬戸際に立たされるのも気づかず、共産主義の防波堤としてヒトラーに好意を寄せていた。
チャーチルはトップエリート数百人に民主主義の長所と短所を説明した。1918年に英国で施行された普通選挙後、批判を恐れず自らが信じる政策を主張する政治家がほとんどいなくなった述べ、今後、大道を明示する政治家はおそらく不人気になると力説した。また、大多数の有権者の支持を得る政策が必ず国家百年の大計に資するかとなると、はなはだ疑わしいと強調した。
チャーチルは大衆についてこう話す。「多くの国の一般的な傾向として、社会の主役に躍り出た大衆の大多数は受け身の性格しか持っていない。・・・常に何かを与えられることを期待し,自らに不都合なことや不満で嫌いな現象が起これば、その現象にだけ目を向け指導者を批判する」。要するに、目の前のことにしか目がいかず、遠い未来を推測して行動する大衆は少ないということだ。
今回のGSOMIAの破棄を例にとれば、韓国のGSOMIA批判派はこの協定を過去の日本統治の歴史に重ね「侵略した国に大事な情報をとられる」(19日付け朝日新聞から引用)と主張。また対韓半導体輸出規制強化など”不当”な圧力をかける日本に協力する必要はないと強調する。まさに目の前のことしか目がいかない文大統領支持派の愚かさだ。
民主主義制度を心から信じたチャーチルは、感情に支配されやすい大衆の不合理と主観的なものの見方から影響を受ける民主主義の短所を理解していた。
韓国の文大統領は大衆におもねることが民主主義だと勘違いしている。政治は現実の中に理想があり、現実を踏みしめながら理想を実現することを理解しない。厳しい現実を受け入れ、それを克服してはじめて自らの理想が実現することを知らず、唯々理念と理想だけが政治だと思っている。対北朝鮮政策はまさに文氏が理念の奴隷になっている証だ。それは独裁者と世襲共産主義の北朝鮮と対峙する韓国と韓国民にとって、滅亡への一歩だと確信する。
文大統領と、大統領を支持する韓国民、反日感情を抱く韓国人は「政治とは何か」「現実を無視し、軽視しての理念と情念が祖国に何をもたらすか」を考えてほしい。そして我々日本人が日常生活や政治・経済などの世界で考えなければならないことだと思う。
(写真)GSOMIA破棄を表明する韓国政府の金有根・国家安保室第1次長