奈良の「奥山ドライブウェイ」
若草山(三笠山)に登り
そこから
世界遺産の「春日山原生林」を
抜けるという
おもしろい道があります。
あまり車も通らず
原生林の中を森林浴をしながら
フィトンチッドの匂いを浴び
身体じゅう殺菌してくれるような
気持ちになります。
若草山は342mほどの山
なだらかな丸みを帯びた山が
三つ重なるところから
三笠山とも呼ばれます。
奈良市内を望み遥か彼方には
生駒山が連なっています。
鹿たちものんびりと草を食み
時折、鹿煎餅ももらい
この付近にいる鹿たちは
幸せな生活を送っています。
悲しいことに
エリア外にいる鹿たちは
殺処分されたりと、
生きることは命懸けなのです。
三笠山を過ぎていくと
そこからは世界遺産のエリア
道も舗装されていません
自然のままの道を
そろりそろりと
クルマを進めます
窓を開けてると
途端に全く違う空気が
車内に流れ込んできます
何と気持ちのいい空気でしょう
その中間地点あたりに
高円山展望所があります
高円宮タカマドノミヤの
名前の由来になった山です
この道を上がっていくと
頂上なのでしょうが
展望所より市内を見渡します
そこには
高円宮殿下お手植えの柊があり
万葉集巻20の大友家持の歌
「高円の秋野のうえの朝霧に
妻呼ぶ牡鹿出で立つらむか」
の石碑があり
この石碑は万葉学者「犬養孝」の
揮毫になるものです。
万葉仮名で書いてあるので
読みにくいものですが、
「多可麻刀能(高円の)
秋野乃宇倍能(秋野のうへの)
安佑疑里尓(朝霧に)
都麻欲夫乎之可(妻呼ぶ牡鹿)
伊泥多都良武可
(出で立つらむか)
となります。
ちょうど、山茶花でしょう
満開を迎え
見事に咲き誇っています
この道はあまり人も通らず
自然のままが残っていて
奈良市内という近さなのに
なんとも素晴らしい空間です。
また、巻19には
初冬のしぐれが
紅葉を散らすという
家持の歌があります
「十月カミナヅキ
しぐれの常か我が背子が
やどのもみち葉
散りぬべく見ゆ」
丁度行った時も
紅葉も散り始めていました。