本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

胎内の五位

2020-11-04 20:36:06 | 十地経

「胎内の五位」

こういう言葉も『十地経講義』の

なかで知ったのですが、

仏教では胎内という医学的なこと

も取り上げています。

人間を問題にしているのですから

精神面だけでなく

その精神を宿している肉体面も

「身」ということで

特に重要に扱っています。

 

講義では、

「古い思想があってですね、

父母所生という意味が

胎生という意味です。

これは胎蔵界というでしょう。

曼荼羅の胎蔵界と金剛界です。

これはある意味の産婆学です。

胎内五位といって妊娠です。」

 

というように出てきたのです。

調べてみると

胎児の266日間の成長の次第を

五つの段階に分けて胎内五位と

1.羯羅藍カララン

(インドの言葉の音写ですから

 難しい言葉ですが)

 受胎直後の7日間のことで

2.阿部曇アブドン。第二の7日間

3.閉尸ヘイシ。 第三の7日間

4.鍵南ケンナン。  第四の7日間 

5.鉢羅奢佉ハラシャキャ

 手足が形成される位。

 出産までの238日間

と難しい言葉ですが

こういう世界まで仏教が見ている

ということは面白いと思います。

 

その反対に

胎外の五位(たいげのごい)

というのは、出生以後の一生涯を

五つの期間に分けた位です。

1.嬰孩ヨウガイ(出生~6歳)

2.童子(7歳~15歳)

3.少年(16歳~30歳)

4.中年(31歳~40歳)

5.老年(41歳以降)

というように分けています。

 

それから「父母所生」ブモショショウ

ということですが、

真言宗でも

「父母所生身即證大覚位」

ということをいいます

即身成仏を強調して、

父母から生まれた肉身そのままで

仏の究極的なさとりの位に上がる

ということです。

 

仏教が取り扱っているのは

人間に関することすべてと

いっていいと思います

住んでる世界のことも

過去現在未来という時間のことも

医学的な生理学の面も

そして人間がほとけになるという

精神面も扱っています。

 

ですから、五位ということも

存在のすべてを五種に分ける

ということもあるし、

修行の段階を五つに分ける

ということもあります

このことは『十地経』でも

よく出てくることなので

言葉だけでも紹介します。

 

1.資糧位シリョウイ

 仏になるための善行とか

 もとでを蓄える位

2.加行位ケギョウイ

 前に集めたもとでを更に

 修行を加える位

3.通逹位ツウダツイ

 初めて真如の理を体得する位

 『十地経』でいう初歓喜地

4.修習位シュウジュウイ

 習い修するですから

 前で得た智を繰り返し

 おさめる位

 『十地経』の二地以上

5.究竟位クキョウイ

 最終の仏の位

 至高最終の涅槃を究竟涅槃 

 といいます。

 

まあ、知らない事ばかりで

新たな発見というか

読むごとに仏教の奥深さを

思い知ります

そのことは退屈しなくて

楽しいことでもあります。

 

 

 

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