4月27日朝、ホテルをチェックアウト後茅葺屋根の薬師堂がある「浄光寺」に寄りました。
この参道からして歴史の古いお寺であることが分かりますよね。
一番奥に見えるのが、室町時代初期(1408年)に建立されたという薬師寺です。
無造作に積んでいったかに見える石段は、あとでご住職がおっしゃるには「昔の人が水平になるよう計算してつくっている」とか。
なるほど、下から見ると横並びの平たい石が揃っていました。
国の重要文化財に指定されている薬師堂。
がん封じ息災延命のご利益があるという、ありがたい薬師如来が祀られています。
杉木立をバックにした茅葺屋根の風景は風情がありました。
2007年に茅葺屋根の総葺き替え工事が実施されたそうです。
そして階段を上ったところにある石燈籠のひとつの穴(というのでしょうか)ハート型であるため、
最近では良縁成就のパワースポットとして、若い人がたくさん参拝に訪れるのだとか。
入口の花桃の木には、縁結びを願うハート型の絵馬がひしめきあうように結ばれていました。
朝の静寂なお堂に参拝して清々しくなって、階段を下りたところにお掃除中のご住職がいらっしゃいました。
気さくな方で、私たちに話しかけて下さったのですが、よどみないそのしゃべり方の滑舌がいいこと。
訊ねると、住職を継ぐ前は長野の放送局のアナウンサーをなさっていた由。やっぱり~です。
お寺の歴史から、ご自分の経歴、副住職の息子さんのことなどいろいろと話してくださいました。
このお寺凄いのです。
境内にロープのように見えるものがたくさん張ってあったのですが、
それは「スラックライン」というニュースポーツの練習場なのでした。
以前テレビで見たことはあったのですが、2点間に張り渡した幅5㎝のラインを上でアクロバティックな技を競うスポーツです。
「ここから世界チャンピオンが出て、もうすぐ彼が練習に来ますから見ていってください」とご住職が言われ、
ほどなくそのチャンピオンが現れました。
今年高校を卒業して、プロになったという木下晴稀さん。
中学3年からスラックラインをはじめ、わずか3年で世界チャンピオンになったそうです。
現在はあのエナジードリンクとして有名なレッドブルとプロ契約して国内外で活躍中。
でも素顔の木下さんは未だ少年の面影が残るアスリートでした。
上手く撮れませんでしたが、ピンと張った堅いベルトのようなラインの上で飛んだり跳ねたり、回転したり・・・すご~い!
山々をバックに気持ちよさそうです。
昨年は小布施のハイウェイオアシスでアジア初のワールドカップが開催されました。
現在、オリンピック正式種目になるよう推進中だそうですが、そんな競技だけではなく、ラインの上を歩くだけでも体幹がが鍛えられ、ダイエットにもなるとか。
ここには毎日のように地元の子どもたちが練習に来て、今やスラックラインの聖地と言われているそうです。
人が集まる楽しいお寺にと、お墓の上にツリーハウスがあったり、書道ではなく「筆遊び」を副住職が教えていたり、
さまざまな寺子屋活動をやっているユニークなお寺です。
昔はお寺があらゆるコミュニティの場だったのですよね。
ちょっと寄って帰るつもりが1時間も滞在しました。
ご住職に会わなければ何も知りえなかったことばかり。
こんなハプニングがあるから旅は楽しいですね。
御朱印をいただき、サッカーや病気封じのお守りなどを求めてお寺をあとにしました。
直売所の新鮮野菜を買って、小布施の街中をブラブラ。
岩松寺の北斎の天井画や中島千波館などほとんどの見どころは以前行っているので、
栗おこわやおみやげの栗のお菓子を買いました。
それにしても小布施は花の街、藤にハナミズキの並木、普通の家にライラックが咲いています。
ホテルのテラスにも紫や白のライラックがあって、ほのかにいい香りがしました。
わずか人口1万1千人の街に年間120万人の観光客が訪れるそうです。
街づくりに人々がいかに心を砕いているか、歩くと伝わってきます。
やはり小布施は好きな街だと、後ろ髪を引かれながら須坂に向かいました。
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