ベストセラー『大家さんと僕』で一躍、漫画家としてもブレイクした矢部太郎さん。
今、立川の「PLAY!MUSEUM」で矢部太郎さん初となる大規模展覧会が開かれています。
ここが会場入口です。
矢部太郎さんには2回お会いしたことがあります。
最初は2011年、新宿の「ルミネtheよしもと」の小さな応接コーナーでインタビューした時。
先に取材した、絵本作家であるお父さんのやべみつのりさんの紹介で会えました。
その時は漫画家という肩書はなかったのですが、およそ芸人らしくない物静かで謙虚な話しぶりに好感を持ったものです。
「好きな女性のタイプは?」と訊ねた時の「友だちのいない人、群れない人がいいです」という応えが今も印象に残っています。
2回目は『大家さんと僕』出版後、東村山のイベントで矢部さん親子トークショーが開かれた時。
この時は小学生の頃、夏休みの紙芝居教室でお父さんにお世話になった孫2人と娘も行きました。
当時高校生で身長が180㎝近くになった孫息子に、やべ先生は「大きくなったね~」とビックリ!
こういう訳で私ども家族は矢部家のお二人のファンなのです。
展示は太郎さんが小さい頃描いた絵や工作作品、太郎さんがお話を作り、お父さんが作画した手作り絵本などもあり、豊かな環境で才能が育まれたことが分かります。
やべみつのりさん監修の宇宙船。
ペットボトルなどでこの展覧会のために子どもたちが作ったのだそうです。
『ぼくのお父さん』のエリアです。
やべみつのりさんの絵本や紙芝居の作品も展示されていました。
私は『大家さんと僕』と同じくらい『ぼくのお父さん』も好きです。
東村山での親子の何気ない日常の風景が本当に愛おしくなります。
いつも家にいるお父さんが太郎さんを自転車でつくし採り連れて行き、その日のおやつはつくしの佃煮。
美味しくて、太郎さんの好物だそうです。
太郎さんの友だちともお父さんは一緒に不用品でおもちゃを作ったり、縄文土器を焼いたり、真剣に遊びます。
「お父さんが一番楽しんでいた」と太郎さんはいいます。
やべみつのりさんは口癖のように「僕は子どもが描く絵のように描きたいんですよ」と以前からおっしゃっていました。
太郎さんの稀有な個性はこのお父さんのもとで育てられたからだと確信しています。
映像や立体物、大家さんとの出会いから別れまで順を追った作品に『大家さんと僕』の世界が再現されていました。
懐かしい大家さんにまた、会えました。
上品で聡明で可愛いおばあさまでしたね。
新宿伊勢丹の地下に明太子だけを買いに、タクシーででかける方でした。
太郎さんとの間にはお互いのギャップを楽しむような、リスペクトと優しさがありました。
大家さんはこれ以上省きようのない丸い線で描かれているのに、表情も豊かに感じます。
細~い太郎さんとま~るい大家さん、どちらも可愛くて可愛くて、クスッと笑ったり、その温かさにジーンとしたものです。
太郎さんがこの展覧会のために描いた、アクリルの絵が100枚展示されていました。
『大家さんと僕』で受賞した手塚治虫文化賞短編賞のトロフィーもありました。
これまでの出版本やグッズのコーナーもありました。
『ぼけ日和』は認知症専門医の原案を太郎さんが漫画にしたものですが、これを近い将来(?)の参考にさせてもらいたく、買って帰りました。
深刻な事柄もユーモアで包み込み、それでいて現状を伝えてくれ、家族で読みたい漫画です。
7月7日まで開催中です!