11月26日、府中の多摩交流センターで東京TAMAタウン誌会主催のシンポジウムを開きました。
タウン誌会では5年前から多摩交流センターが助成、支援した市民活動団体のその後についてアンケート調査し、
その中から多様な事例の市民団体を取材し、報告書を作ってきました。
そして昨年1月には、「市民ネットワーク活動のこれまでとこれから」と題してシンポジウムと交流会を国分寺で開催。
多摩地域の地域貢献、地域振興などの市民団体、多摩大学の学生にも活動を発表してもらい、その後参加の活動団体の方々との交流会を持ちました。
その時のグループ意見交換の際、みなさんの共通した希望が「メンバーの高齢化、活動のマンネリ化を防ぐために若い力がほしい」ということでした。
交流会での熱気あふれる参加者は多摩地域のさまざまな課題に立ち向かい、それを共有する人々であることを再認識させられました。
初対面ながら意気投合して話に花が咲く光景があちこちで見られ、私たちも企画して良かったと喜んだものでした。
このような過程を経て、昨年度は多摩地域の大学を調べ、市民団体との連携を活発に実施している大学を取材しました。
その中から今回、多摩大学、明星大学、武蔵野美術大学の担当教授、担当部署の方と学生さんたちに発表してもらう企画を立てた次第です。
11月最後の日曜日、さまざまなイベントが重なる日でしたが、大学の先生方、学生さん、活動団体の方々に集まっていただきました。
「若い力と市民団体の連携を考える」
3大学ならではの多様な活動を発表
トップバッターは武蔵野美大の齋藤啓子先生と大学院2年の松本昌さん。
先生と学生さんが狭い所に一緒に並んで発表してくださる姿が微笑ましいです。
齋藤先生は「地域社会につながるデザイン」と題して、つながる、つなげるをキーワードに現在進行中の市役所や地域団体との連携事業について話してくださいました。
商店街との課題解決型プロジェクト、ノーマライゼーションという同じテーマで集団をつなげる事業(障がい者作品展、異才たちのアート展、みんなでつくる音楽祭)など
地域社会のさまざまなシーンでムサビの学生たちは市民とともに活動しています。
松本さんは11月8日付けブログのムサビワークショップ発表会で紹介した人。
是非ともとお願いして、「小川用水応援団」と今秋、小平市内で開催した「景観まちづくりセミナー」について、美大生だからこその独創性を示してくれました。
多摩大学からは梅澤佳子先生が「経営情報学部における活動内容の紹介と事例発表」について。
多摩大には地域(企業、行政、他大学・高校、市民)と大学をつなぐ「地域活性化マネジメントセンター」があります。
梅澤ゼミでは近隣の人々や高齢者、こどもたちと「みんなの食卓」プロジェクトや「近隣交流七輪」プロジェクトなどを実施しています。
また、大学の非公認マスコットキャラクターを作りたいと、寄付集めも学生たちでやり、子どもたちに人気のキャラクターが誕生したそうです。
印象に残ったのは「今どきの学生はアルバイトも遊ぶ資金稼ぎではなく、学費や生活費のためにやっている者が多い現状。
ボランティアも交通費程度の経済的支援(有償ボランティアなど)が必要ではないか」と話されたこと。
明星大学からは明星大学ボランティアセンター担当課長の西田剛さんと1年生の松崎千里さんが発表してくれました。
明星大ボランティアセンターは平成20年に設立され、学生ボランティアの拠点となっていて、21の学内登録団体、また個人参加も支援しています。
大学近隣で高齢者が定期的に集まる会に学生が参加し、音楽や落語など一芸で場を楽しませているとか。
近いので授業の空き時間を使ってできる、身近な活動場所になっています。
多世代交流、コミュニケーション能力向上につながり、双方にWIN WINの関係が作れたそうです。
学生の立場からフレッシュで元気いっぱいの松崎さんがボランティアの意義、現状、これからの夢について語ってくれました。
後半はグループワーク、熱意に満ちた時間
後半は4つのグループに分かれて、齋藤先生に進行をお願いしました。
ウォーミングアップとして2人1組になりお互いの共通点を3つポストイットに書いて挙げる。
STEP1、STEP2で大学に知っている先生がいるか? どのようにつながったか?
STEP3で つながり、連携のしくみに若い力を生かすには?その課題、アイデアは?
ほとんどの参加者が初対面にもかかわらず、齋藤先生の絶妙なリードで熱心にしかも和気あいあいと話し合っていました。
参加者の年齢は大学1年生から70(あるいは80?)代まで
1グループでこんなにたくさんの提案、意見がでました。
1年生の松崎さんが堂々と自分のグループのまとめを発表しました。
4つのグループからは次のような意見がでました。
〇若い力を労働力として考えていてはうまくいかない。対等なパートナーとしてやっていくとうまくいく。
〇学生は地域への愛着よりはやりたいことが第一。
〇若い人だからできることがある…子どもと接することが上手。重い物を持ってくれる(?)
〇セクハラ、モラハラがないよう学生への配慮が肝心。
〇学生側として、時間の少ない学生に活動時間を合わせてほしい。
〇大人とのコミュニケーションを通して、やりがいをしっかり見つける(学生側)。
〇卒業していくので、次の世代に伝えていくことが大切。
〇学生が意欲的に活動できるよう、やる気を出させるのも大学の役割。
〇大学、学生、市民の信頼関係が作れるかどうかが大切。
1時から5時過ぎまで、先生、学生、参加者が共有した時間は有意義なものでした。
参加の皆さまと会場協力の交流センターの方々へ心から感謝いたします。