旅の醍醐味は未知の人々との出会い。
船の乗客はほとんどが日本人で、釜山、福岡に寄港後は韓国人客も増えたようでした。
毎日の食事の場でさまざまな人々との出会いが旅を楽しくしてくれました。
ウラジオストク入港時、多くの乗客がデッキに集まります
最初の夜のレストランでのサプライズ
船内での食事は朝、昼、晩、レストランもビュッフェも利用できるのですが、ゆっくり食事したい夜はほとんどレストランへ行きました。
乗船時に7時45分からと記されたダイニングカードが渡され、レストランに入ると席に案内され、その日の前菜からメインディッシュ、デザートまで
数種の中から選べるようになっていました。定番のアラカルトメニューもあるので、フルコースでなくても自由に選べました。
柳川で昼にウナギを食べた日はリゾットとサラダ、フルーツで済ませて、ボーイさんからベジタリアンに間違われたみたいで。
さて、4人掛けのテーブルで最初の夜にご一緒したAさんご夫妻。
福岡から乗船した鹿児島の方々でしたので、この船では私たちの2日先輩。
「牛肉は固いでしょう?デッキで夜食にラーメンとかうどんもあるんですよ。そのラーメンが凄くおいしい」とか情報を入れてくれます。
気さくなご夫妻で奥さんの方がよくしゃべられるのを、ご主人はニコニコと相槌をうっています。
そのうち鹿児島の話になり、私の小学校の同級生で縁戚でもあるKさんと奥さんが中学で一緒だということがわかり、「え~っ」2人ともビックリ!
つまり共通の友人がいて、私たちは同い年だと判明したのです。
1000人以上も乗っている船中で、何百人も食事するレストランで偶然同席になり、言葉を交わしたことで分かったこと。
本当に世間は狭いですね。
この4日後にもラテンダンスショーのあとにバッタリ。また楽しい話が弾みました。
クルーズ82回目のマニアックブラザーズ
混んだビュッフェのランチ時、食事を終えようとしていた男性2人のテーブルにお邪魔しました。
すると2人とも話好きらしく、十年来の友のごとくクルーズ話が始まりました。
お兄さんは81歳とか。とてもその年齢には見えず若々しく、弟さんと漫才コンビのように息がぴったり。
そして今回が82回目のクルーズの旅と聞き、耳を疑いそうになりました。
これまで、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、世界中のクルーズ船に乗ったのだそう。
今回も別の船から乗り換えての連続クルーズ、東京の自宅には2週間以上帰っていないとか。
いろいろな客船の比較を聞いても、初心者の我々にはわからないけれど。
クルーズ通は自然に仲間ができて、船で一緒になるそうです。
7月半ばからまたクルーズと言われていたので、今頃は海の上のことでしょう。
「クルーズにハマりますよ」と言われたけれど・・・ねぇ。
ビュッフェの甘いパンとドーナツ。他にもケーキがいろいろありました。
ティータイムにもデッキで食べられるので、食事の時はセーブしました。
「夫は船室ひきこもりで」とこぼした仙台からの女性
柳川から帰船し、夫がジムに行ったので一人でデッキでお茶していた時、
「ここよろしいですか?」とケーキと珈琲を持ち座った女性。
同年配とおぼしき私たち、お互いに一人旅かと勘違いしたらしい。
その方は福岡では一人で天神で買い物し、ランチを食べてきたとか。
そして衝撃(?)の告白。
「主人も一緒に来ているんですけれどね、食事の時以外は船室から出ないんですよ」
「え~っ、船室で何をなさっているんですか?」
「テレビを見ていますね。船内のどんなショーやイベントにも行かないんですよ。
下船しないので、私一人で行動しています。行くと言ったので、一緒に来たのにね。
次からは友だちと来るわって言っているんです」
こういうことをニコニコとおっしゃる感じのいい方でしたが、
そのご主人の根性にアメイジングです。お会いしたかったけれど・・・
他にも、糖尿病なのに、ビールをぐいぐいお代わりするご主人を案じて、横にいる夫に愚痴る奥さん。
ドイツのロマンチック街道を自転車で走破したご夫婦、ダンスを踊りたいがために船に乗る年配男性。
その人生模様を垣間見るだけでも、何といろいろな方がいることよと感動します。
舞鶴港のコスタネオロマンチカの船尾。下船して戻るとたった8日間でもわが家に帰るような感じ。
7日間お天気に恵まれたのに、下船日の金沢は土砂降り。
いつもは入港時に賑わうデッキが雨に濡れて、旅の終わりを感じました。
いよいよ金沢で下船。船ともお別れ、8日間ありがとう。
でもこの船は秋まで日本海クルーズを続けるのです。
乗組員は7カ月乗船して、その後3カ月休暇をとるのだそうです。