『ほのぼのマイタウン』気まま通信

『ほのぼのマイタウン』のブログ版~見たこと、聞いたこと、伝えたいことを自由に気ままに綴ります。

小平井戸の会発行『災害を生き抜く 身近な水源ー災害に有効な井戸ー』

2022-01-09 16:12:17 | おすすめ本

      

小平井戸の会から発行された防災・生活安全教本が会代表の金子尚史さんから送ってきました。

小平井戸の会は近場に震災用井戸のある住環境の実現を目指して活動している会で、2015年1月17日、阪神・淡路大震災の20年目に設立されました。

今回の教本は市の公募事業に応募して「防災・生活安全市民講座の教材作成」として講座を目的として作成されたものです。
が、写真や絵図が多用され読み物としても分かりやすく、防災意識を高めてくれます。


     


     


過去の大震災から学ぶこと、災害対策としての井戸、井戸の実態、災害対策としての井戸、災害時のトイレ対策など、11章からなる濃い内容の役立つ教本です。
これまで災害がない安全で住みよいまちが自慢の小平にも、いつか大地震がくる。
自分の中にある「小平は大丈夫」という思い込み、「ノーマルシーバイアス(正常化偏見)」に気づかされます。
最悪の事態をイメージして、日頃からの対策と心構えが大切なことを改めて省みました。

それにしても、小平井戸の会のパワフルな活動には敬服します。
その粘り強い調査力、啓発力、他との協働・・・
小平はこのような市民活動に支えられているのだなあと思います。


6年前の丁度今頃、井戸の会会員さんが自宅玄関先に井戸を掘ったお披露目を取材した時の記事です。

     











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矢部太郎著『ぼくのお父さん』サイコーです!

2021-09-14 21:01:31 | おすすめ本

6月に発行されるやいなや買った『ぼくのお父さん』。
直ぐに紹介しようと思っていながら、もう秋になってしまいました。

   

大ヒットした『大家さんと僕』で手塚治虫文化賞を受賞し、一躍人気漫画家となった矢部太郎さんが、今度は絵本作家のお父さんと過ごした幼い日々のことを描きました。

   

   

絵がとにかく可愛いです。
上の4ページは誕生日プレゼントにテレビゲームが欲しかった太郎くんに、
お父さんが手作りテレビゲームを実演した日のこと。
段ボールでできたコントローラーのボタンを押すと、お父さん作の紙芝居がさっと次に変わるのです。
何てステキなお父さんでしょうネ。

ある日は太郎くんの友だちに「みんなで縄文土器を作ろう」と土器作りに興じ、
河原で縄文時代と同じ野焼きをしてみたこと。
春には二人でつくしを採り、家に帰ったらそれを佃煮にしていました。

私はお父さんのやべみつのりさんに取材を通してお世話になりました。
その後孫たちも紙芝居のワークショップなどでご指導を受け、「やべ先生」には特別の
親しみを感じています。

「子どもが描くように僕は絵を描きたい」というのがやべ先生のモットーです。
時には「ほのぼのマイタウン」の小学生の表紙を真似た絵や、孫が送った絵を真似したものを送ってくださったこともありました。
子どもの心をお持ちだから、子どもと遊んでもご自分が一番楽しめるのでしょう。

この本のきっかけは太郎くんとお姉さんが生まれた時から描いていた、お父さんの絵日記数十冊をもとに生まれたのだそうです。
太郎くんが『大家さんと僕』の中で、大家さんのおばあ様にあんなに優しいのも、
幼い頃の豊かな体験と、愛情いっぱいの家庭で育てられたからでしょうね。

   

区切りの見開きの絵の数々が素晴らしくて、二人が愛おしくなります。



   

お父さんをインタビューした4年後に太郎さんを取材した記事です(2011年6-7月号)。
この中で「同じ東京出身といっても、霜柱を踏んだ経験がない人もいて、他の人と思い出が共有できないんですよ。東村山に帰るとホッとしますね」と太郎さんは言っていました。



この1週間、これまでほのぼのマイタウンを応援してくださった方、ブログをいつも読んでくださった方の訃報が続き、落ち込んでいました。
そんな折、この『ぼくのお父さん』を読み返し、気分が和らぎました。








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二人の名文家との出会い

2020-07-23 16:20:29 | おすすめ本



               


          私の就寝前の読書タイムときたら、4月からずっと「沢木耕太郎」に入れ込んでいます。

          たまたま新聞広告で知った『旅のつばくろ』に始まり、『深夜特急』の文庫本1巻から6巻まで一気に読みつつ毎晩自分も旅する心地。
          旅の終わりが近づくにつれ、この本との別れが物悲しい気分になりました。


              

          それから深夜特急の最終便とされる『旅する力―深夜特急ノート』を読み、旅に関するもの以外の本も読みたいと、
          『檀』を読み終えたのが先週でした。

              

          『檀』は檀一雄の遺作『火宅の人』を夫人の立場から描いた作品。

          沢木さんが1年余り、毎週1度ずつヨソ子夫人にインタビューを重ね、夫人を「私」という語り手として書いています。

          『火宅の人』を読んでいなくても、檀一雄という作家が浮き彫りにされ、その妻の姿が伝わってきます。

          沢木耕太郎初心者として、旅に関する著書から入った私は妻の側から描かれた心理描写に圧倒させられました。

          心の襞にまで食い入るインタビュー力、筆力、もちろんその前には緻密な調査があったことでしょう。

          深い文学作品を読んだような読後感でした。


          深夜特急を読み終えた後、1昨年はまっていた高峰秀子のエッセイ「にんげん住所録」をめくっていたら、
          その中の「私のご贔屓・松竹梅」の章にこういうことが書かれているのを発見しました。


             私は沢木耕太郎作品の愛読者の一人である。
             以前のノンフィクション『深夜特急』の六部作なんかあんまり夢中になりすぎて顔がムクんじゃったほどだった。
            (中略)私は出版社の、三人の編集者にきいてみた。
          
              「ねぇ、沢木さんてどんな人?」
              〝ひと言で言って爽やか。そして美男子です″
              〝文章そのまま、会って気分のいい人ですよ″
              〝男好き、って言いかたはヘンだけど……やっぱり、男好きのする好男子ですなぁ″
              その後、一度だけ沢木さんに会ったことがあるが、第一印象はやはり「爽やかな人」だった。

   
          単細胞の私はこれを読んで実にうれしかった。

          高峰さんのご贔屓のほか二人は画家の安野光雅と夫君の松山善三なのだから、高峰さんも相当な沢木ファンであったのだろうと。

          このことを知っていれば、私が沢木ファンになるのも2年早く訪れていたでしょうに。


          1昨年から高峰さんの潔い生き方に感動して、エッセイを読み漁っていました。

          5歳で子役デビューし、親や親戚を養うために学校にもゆけず映画の撮影所暮らしでした。

          ずっと女優という仕事はいやでたまらず、50代半ばで大女優をきっぱりと引退。

          その後はエッセイストとして活躍し、10年前に亡くなりました。

          私の母世代の女優さんだったので、映画は「二十四の瞳」位しか観ていませんが、
          文章の切れ味、料理上手な暮らしぶり、夫の松山善三氏への献身ぶりに敬服したものです。


          その高峰さんとの出会いは、小平図書館友の会が毎年3月に開催している「古本市」だったのです。

          毎年、古本市の開催日前に読まなくなった本を寄付し、また買いに行くのですが、1昨年、
          読みたいというさしたる気持ちもなく買ったのが『高峰秀子の流儀』。

          高峰さんを敬愛し、のちに養女になったライターの斎藤明美さんの著書でした。

          古本市で30円か50円で手に入れた本が、私の高峰秀子への関心に火をつけました。

          『私の渡世日記 上下』他、それこそ顔がムクんじゃうほど(?)夢中で読みました。

          芸術家との交流や人物批評、暮らしの些細な出来事のエッセイも面白く、爽快で、文章の巧みさに舌を巻いたものです。

          昔、向田邦子の作品に傾倒していた頃を思い出しました。



         コロナ自粛の期間、旅の本が読みたいと思った時、たまたま目に入った『旅のつばくろ』の新聞広告がきっかけで出合った沢木耕太郎のエッセイ。

         古本市でふと目に入った高峰秀子の本。

         人に勧められた訳でもなく、偶然の出合いから私の本の世界が広がっていきます。

         トシを重ねても好きな人、好きなものが新たにできることは、何と幸せなことかと思います。

         私は熱しやすい性質(たち)なのでしょう。

         それがフェードアウトしていく時、精神は老いていくのでしょうか。


        
        先日、BOOK OFF で見つけた沢木耕太郎本。『無名』に興味大です。


        つい最近知ったこと。

        2018年出版の沢木耕太郎著『作家との遭遇 全作家論』で登場する23人の作家たちの中に、高峰秀子と向田邦子が登場しているのです。
        私の好きな作家が好きな作家たちを・・・
        今すぐに読みたいです。









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旅への誘いー沢木耕太郎『旅のつばくろ』

2020-06-10 11:16:40 | おすすめ本


           
                   


               巣ごもり生活に少し倦んだ頃、旅のエッセイを読みたいと、たまたま新聞広告で見つけたこの本を買いました。

               私にとって初、沢木耕太郎です。

               これまでノンフィクション作家としての名前だけは知っていましたが、ボクサーを扱ったような男性向き(?)の作品が多いとぼんやり思っていました。

               先入観って怖いですね。


               『旅のつばくろ』はJR東日本の新幹線内でサービスされている車内誌に連載中のエッセイを単行本にしたものです。

               著者はここ数年日本の北への旅を続けています。

               50余年前の16歳の春休みに夜行列車を宿にして、12日間の東北一周一人旅をした沢木さん。

               旅の途中にその時の記憶をたどったり、車中や居酒屋で出会った人々とのふれあい。

               過去に仕事で出会った文化人とのエピソード。

               それらが交差し、重層的に繰り広げられます。


               分かりやすい文章、ストレートな心情が心地よくて一気に読んでしまいました。

               「読んでいてどうしてこんなに心地いいのだろう?」

               沢木さんの人に対する謙虚さ、思いやり、子どもや弱者への優しい視線にあるのではと思いました。

               それと私にとって「共感!」がてんこ盛りの言葉の数々。


              「朝日よりも夕日に心動かされる」

              「旅の性善説」

              「旅の長者」になるためには「面白がる精神」が必要


               人生何が起きても、自分を客観視して「面白がること」は樹木希林さんも著書の中で度々書いています。

               本当にかくありたいと切に思っています。



               もっと沢木耕太郎のことを知りたいと、代表作とされる『深夜特急』6冊を遅ればせながら買いました。

              
                        


               バックパッカーのバイブルといわれるこの本。

               今、4巻目を読んでいます。

               沢木さんは26歳の時、インドのデリーからロンドンまで陸路で、しかも乗り合いや高速バスだけを使って行こうと出国します。

               ストップオーバーが認められる航空券を手に入れ、香港からスタートするのですが、出会う人々がまぁ面白いこと!

               緻密な描写に驚かされます。

               と同時に、70年代のアジアの街の喧騒やインドの想像を絶する貧しさなどが伝わってきます。

              
               26歳の沢木青年が行く先々で安宿を探し、宿代の交渉をする様子はいつもスリリングです。

               ともに旅しているような臨場感、もっともこんな過酷な旅は若い頃でもできなかっただろうけど・・・憧れます。

               1年2か月かけて旅したゴールはどうなるのか?

               ハラハラドキドキの毎日です。



             



               


               


             

               

               



               


              
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『誰も知らない哺乳瓶の世界』鈴木先生の写真集

2020-05-29 16:31:06 | おすすめ本
        
          
         5月19日に出版されたばかりの立派な写真集をいただきました。

        小平市の鈴木小児科内科医院院長の鈴木昌和先生が蒐集なさった哺乳瓶の写真とその歴史を記した本です。

        

        


        鈴木先生は骨董市で横置きのガラスの哺乳瓶に出合って以来、20数年にわたりあらゆる哺乳瓶を探し求めました。

        その数1000点余り。

        医院の2階は瓶のコレクション専用ルームになっていて、昔の哺乳瓶だけでなく、膨大な量の瓶類に驚かされたものです。

        2009年、取材に伺った折のことです。

        初めて見る横置きの哺乳瓶には桃太郎や亀甲文様などあらゆる図柄があしらわれ、中でもこの表紙の青海波文様が美しかったこと!

        芸術品のようでした。

        「画一的な今の瓶に比べて、昔は吹いて作ったのでゆがみがあったり、気泡ができていたり、それが味わい深くて好きですね」
        とおっしゃっていました。

        当時からいずれ本にまとめたいと希望されていて、今年の年賀状には「ようやくできそうです」と書かれていました。


        手元に届いた持重りがする、素晴らしい写真集に見入って「先生の念願が叶ったんだ!」と私は小躍りしました。


        

     
        

      
        

      
       


        この本の最後に書かれていますが、瓶の撮影も先生ご自身の手で。

        新しくカメラを購入し、透明ガラスの撮影方法を勉強し、照明器具まで買われたそうです。

        苦労なさった写真は本当に美しく、戦禍や災害をくぐり抜け、子どもの命をつないできた哺乳瓶に対する先生の愛情を感じます。
        (私の下手な写真では伝わりにくくて、ごめんなさい)

  

        

        当時の世相を映すカラフルな哺乳器のパッケージ。

        

        明治の頃は長いゴム管付きの哺乳瓶が使われていましたが、洗浄が難しく不衛生な面もあり改良が加えられていったとか。


        

        そのような哺乳器の変遷を日本だけでなく、西洋の文献からも多く集められ、詳しく記されています。

        母親が母乳を与えられなくなった時、乳母も得られない時、人々がいかに知恵と工夫を巡らせ赤子(人間)の命をつないできたかが、
        写真とともに理解できます。


        


        母乳だけで育ったという人も、白湯や果汁を飲む際、哺乳瓶に誰もがお世話になったことでしょう。

        けれども赤ちゃんだったから記憶の範疇になく、私は母親になってからも当たり前のように便利な哺乳瓶を使っていました。

        哺乳瓶に感謝もせずに・・・

        もし哺乳瓶がない世界だったらどうしていたでしょう?



       「縁あって私のもとにやってきた哺乳瓶たちをこのまま埋もれさせるのは忍びなく、何とか日のを日の目を見させてやりたいとの思い」

        と先生は出版のきっかけを書いていらっしゃいます。


        鈴木先生でなければ決して成しえない、限りない情熱とロマンを感じる究極の1冊だと思います。


        ◆『誰も知らない哺乳瓶の世界』
          発行:幻冬舎メディアコンサルティング
          定価:本体1500円(+税)
          ※アマゾンで購入できます


        

        

        

        


        


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