hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

岸本葉子『続・ちょっと早めの老い支度』を読む

2015年06月21日 | 読書2

 

岸本葉子著『続・ちょっと早めの老い支度』(2015年4月24日オレンジページ発行)を読んだ。

 

50歳を過ぎ、老いの気配を感じ、老後に不安を持つシングルの岸本さんがどんな備えをしているか、語ったエッセイ集。2012年刊行の『ちょっと早めの老い支度』第2弾。 

 

老化によって起こる様々な小さい変化と、それに対応する岸本さんの工夫や心構えが語られる。

裏表紙には、こうある。

老後といえば介護や住まい、お金などが問題になるとは思っていたけれど、そうした大きな問題もさることながら、日常生活の中で現れるこまごました小さな変化は、なってみないとわからないものです。

・・・「はじめに」より

 

6つある各章は5~10節に分かれているが、各節の終わりに3行のアドバイス「Kishimoto’s ヒント」が節のまとめとして整理されていて、解りやすい。

 

オレンジページnetの連載「岸本葉子の年をとるって、こんなこと?」を1冊にまとめたもの(既に終了)。

 

一章      見た目の問題


行ってきました!(1) 美容皮膚科


二章 老化の問題

「声を出して歌おう」

・  かすれ声の原因のひとつは老化。

・  腹式呼吸で歌って、アンチエイジング。

・  口ずさむのではなく、筋トレのつもりで。

 

「相手のせいにする前に」

知人からのメールに「年とともにますます他罰的な私」とあった。つい自分以外のせいだと思ってしまうことだ。

・  「私が~するはずがない」を疑ってみる。

・  「誰のせいか」よりだいじなことがある。

・  ちっぽけなプライドは捨てる勇気を。

 

章 暮らしの問題

 

四章 からだの問題

「あやうく寝たきり」

風邪で10日ほど寝ていた年寄りが立てなくなった。年とってなくても、人は横になったままだと2日間で1%(加齢で落ちる1年分)の筋肉が落ちていく。

 

五章 これからの楽しみ

「場所ふさぎの品」

モノ減らしの効果が出てすっきりした部屋。古道具屋で魅惑された箪笥(タンス)を買ってしまった。癒し雑貨以外のモノは入れないと決めた。「入れるのを許すと、モノは増える」

・  減らしていくばかりが能ではない。

・  心を潤すモノを置くことを許す。

・  収納問題の解決を兼ねない。

 

行ってきました!(2) ン十年ぶりの同窓会


六章 今後の人生
「持たない暮らしは理想でも」

よく使うスプーンは3本位だろう。しかし、病気ですぐ洗えないときもある。ティッシュペーパーもストックは必要ないが、風邪をひいたら予備が必要になる。最小限「プラスアルファ」の見極めがだいじ。

 

対談 今からできる老後の備えとは? ファイナンシャル・プランナー山田 静江×岸本 葉子

岸本 老後のために、五十代で何をしておけばいいと思いますか?

山田 今のうちから、共感力のある人とつきあっておきたいですね。

         とくに、同性の友人や女きょうだい。

・・・

五十代以上になると、女性は価値観みたいなものだけでつながれると思いませんか。四十代までは未婚・既婚、子どもがいる・いない、資産がある・ないなどで分かれましたけど。私がかかわっているNPO法人にもいろいろな立場に人がいるのですが、価値観が一緒だから、ひとつのことで笑えて、同じ目標に向かっていけます。


(男性でも退職後は、かっての役職などどうでもよくなって、素のままの付き合いができるようになるが、女性もそうなのだろう。それにしても、女性同士の素直にお互いを思いやる心からの親友は見ていて良いなあと思う)

 

 

山田 お葬式などより手前のこと、病院にかかるならどうしたいか、

        足が弱ったらどうするか、

趣味やおつきあいの会に行けなくなったらだれに連絡すればいいかも書いておきたいですね。

(確かに、死に方、死後のこともあるが、心身が衰えたときのことを決めて、書いておく必要があると思う)

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

70歳を超え、ベテラン高齢者の私には当然のことが並ぶが、解りやすく、理路整然として要領よく説明していて説得力がある。老後にかかろうとしている人、心配な人には是非読んで欲しい。

 

合理的で、まじめで過ぎるほどきちんとした岸本さんが、具体的日常の出来事のなかでの老いの忍び寄りを感じ取り、真剣に考えた結果を整理して記述している。各節の最後に3行のまとめもしっかりと頭に入る。

 

 

 

岸本葉子
1961年鎌倉市生まれ。エッセイスト。
1984年東京大学教養学部卒後、東邦生命保険入社。
1985年『クリスタルはきらいよ』(就職活動の体験)
1986年退社して中国の北京外語学院に約1年留学
2001年虫垂癌の手術
2003年『がんから始まる』

2009年『買おうかどうか』

2010年『エッセイ脳 -800字から始まる文章読本

2011年『「そこそこ」で生きましょう』
2012年『ちょっと早めの老い支度』『おひとりさまのはつらつ人生手帖』『わたしの週末なごみ旅』など。

2013年『もっとスッキリ暮らしたい ためない心の整理術』

2014年『江戸の人になってみる』『生と死をめぐる断想』

2015年『昭和のほどよい暮らし』『二人の親を見送って』20150607

 

 

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