ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

陣痛

2014-08-28 | ~ 出 産 ~
子宮口検査の結果、子宮口が2、3㎝開いている程度で、“全開”の10㎝までほど遠い。
“全開”となって初めてお産の準備が整う。陣痛を待って子宮が開くよう処置室で待機することになった。お腹に巻き付けられた分娩監視装置は、胎児の心拍を聞きながら、陣痛の状況(子宮収縮)を視覚的に確認できるという優れものだ。
ど、ど、ど…力強い鼓動が聞こえる。
これは、辛うじて残る羊水の中で、生きる娘の鼓動である、娘は無事だ。
私は数時間、陣痛の波を待った。
陣痛とは子宮の収縮活動のことで、ギュウと痛みが寄せては、その波が引いての繰り返し、その痛みが打ち寄せる波の間隔をいう。つまり、痛い辛いの間に休息があり、また痛む、その繰り返し。波と波の合間に、ウトウト…と、
「あ、お母さん…」
母が入院準備用品諸々を引っ提げて、部屋に入ってきた。
まず、私を見て、部屋を一周ぐるりと視線を回して整った設備をまじまじと見た。
「私たちの時代には、こんなの無かったわ」
ジェネレーションギャップは医学医療、及び、出産の現場で顕著に表れる。
母が私たち兄妹を出産した時は、こんな整った設備では無かった、という。
「(出産の時)どんな痛みけ?」
この世とも思えないほどの痛み…とは聞いていたが、実際にどれほど痛いのか?
「忘れた…」
元々もの覚えの悪い母である、40年余り前のお産のことなど、
とうの昔に記憶から抹消されているらしい。
いったいどんな痛みだろう?もしやこれか?
AM4時~5、6時の間、痛みの波が五分間隔で押し寄せた。
装置の数値も上がっては、下がっての繰り返しになった。
しかし、“この世のもの…”には程遠い。
外は雨、分厚い雲が太陽を隠してはいるが、夜が明けた。
暗闇からほんのり薄紫、視界が開けた。それと同時に、陣痛の波は遠退いた。
そこへ、私の主治医が「何しとったんよ?」と言いたそうな顔で入ってきた。
私は、どう答えて良いのか分からなかったので、
「えへ、破水しちゃった♪」とおどけて答えた。


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