ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

猿芝居

2011-11-05 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
能子「…私を逃したら、あなたはどうなるのです?」料亭の裏門まで来て、尋ねた。
兼雅「余計な事だ」
能子「余計って、そんな…」
冷泉院「…」命に背けば…総潰し「ちょっとッ」呼び止めたけど、
兼雅「じゃ…」クルッと背を向け「なッ!?」
冷泉院「ッ!?どうして、ここに?」
斎藤「御方様を逃がすおつもりで?」
兼雅「人違い、だ」
斎藤「は?」
兼雅「御方様ではなかった。よって、返す」
斎藤「では、御方様の名を騙(かた)る不届き者を捕らえます」
能子「え…」スッと兼雅様が、冷泉院「あ、」私たちの前に立って、
兼雅「面倒を起こすな」盾になった。
斎藤「ご乱心をッ」と、危ない。また、鷹が威嚇して来た「この鷹、ガッ」と振り払って、
バサッと、火鷹を左腕に乗せて、匠「アンタ、動物に嫌われる性質(たち)だね」
能子「与一…」も一緒で、
与一「とりあえず…」
“…今まで、ありがと”は、無かった…良かった「中へ」
チラッと料亭の上、月見櫓から聞こえる、ぐぉー…という大きないびきを確認した。
よし、松殿はまだ寝てる。兼雅様から交渉開始、と。
匠「冷さんは、こちらへ」別室に案内して、与一「皆さんは、こちらです」
兼雅「…」と能子さん…そして、斎藤を料亭の客間『松月花』に誘い込み、
斎藤「やぁ。君は…」
土岐「昨夜はどうも、娘が喜んでいた」紙風船の礼を言った。
斎藤「いえ。ところで…こちらさんは?」男と、その横に座る女を見て、
土岐「守護代 斯波兼頼(かねより)様です」
スッと、斯波さんが立ち上がり、上座を花山院殿に明け渡し、花山院殿の正面に座し、
斯波「平清盛御息女 能子様を…」チッと目配せ「こちらで、保護させて頂いておりました」
兼雅「くっ」と、その女の顔見て笑って「ご苦労だったな」猿芝居に乗った。
斎藤「ッ」扇で隠されて顔がよく見えない「廊御方様は、こちらにおられますが?」