ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

タブー越え

2011-09-05 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
富樫の守る安宅の関を通りたかったのは能登の彼女に会って、真相を確認したかったからで、その疑惑が事実なら、俺を匿った彼女が危ない。
義経「どうやら、兄から俺の動向を探るように言われていたらしいが、俺を逃がした…それで、彼女は、」まさか、自刃しようとしていたなんて…。
富樫「それで、俺に繭子を頼むと、」
義経「あぁ」
富樫「そうか。…で、あの娘は?なぜ、繭子にあんな、」
義経「愛(めぐ)の、許婚が頼朝の追っ手に捕らえられ、」
富樫「え…」眉をひそめて、
義経「その後、晒し首に」
富樫「誰だ?」
義経「伊勢の、猿…」吉野潜伏中、土地勘があることから道案内させていた。
源平合戦では話術巧みで交渉役を担い…、
富樫「壇ノ浦で、大きな功績を挙げた、」
義経「伊勢 三郎 能盛(よしもり)」奴なしでは、壇ノ浦も危なかった。
富樫「晒したのが、繭子の兄、だってのか?」
義経「それは…」首を横に振って「ただ…頼朝は、猿を目の敵にしていた。だから、」
富樫「分かった」スクッと立ち上がり、部屋を出ようとしたから、
義経「おいッ」呼び止め、
富樫「あの娘は、」俺を睨んで「そっちで何とかしろ」と釘差され、パタ…と戸が閉まった。
義経「何とかって、」猿…お前、どうして、あの娘を一人残して逝ったよ?
人の山(タブー)飛び超え、心の縄張り侵入しては、ケンカ売って、自分で自分を傷付けて。
哀れみると、食って掛かって噛み付いて。他人に疲れ、自分に疲れきって、ようやく眠る。
そんな心の傷…俺にどうしろってんだ、と頭を抱えた。そこへ、
ドンッ、豪快な足のノックで「開けてくれッ」と部屋に来たのは、
義経「斯波…」だった。
斯波「ヨッ」と、白く大きな箱を、ドンッ、床に置き、
義経「なんだこりゃ…」びっくり箱か?と、そっとのぞく様に箱の蓋を開けて…驚いた。
斯波「花嫁衣裳一式だ」
義経「こりゃまた…」立派な白無垢を広げて、