ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

柏の宿命

2011-05-12 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
葛葉「陰陽五色はためく鯉の幟(のぼり)、武芸精進尚武(しょうぶ)の日。男子家系では菖蒲の花と煌びやかな鎧兜を飾り、柏餅を食べる、ってね」
義隆「兜、ありがとう!」
葛葉「どう致しまして♪」
義隆「どうして柏餅を…」つまんで、柏の葉をピッとはがして「食べるの?」と、かじった。
葛葉「いい質問ね、じゃ教えてあげる。御餅は力の源。その源を柏で包むには意味があるの」と義隆の手から柏の葉を取って「それは、柏の宿命(さだめ)に由来する。柏の葉は、新しい芽が出たら、落ちる…」柏の葉を与一の鼻に近づけ、スッと義隆に向けた「親から子へ、源を託して逝くの。子のため、孫のため、朽ち逝く宿命…でも、無駄に朽ちる葉はないわ」
義隆「…それは、本当の…じゃなくても?」小さくなった餅を見て、グッ…と、かじった。
葛葉「親は親よ。血の繋がりじゃないわ。魂の繋がりよ。柏餅は、誰からのプレゼント?」義隆の頬を撫で「ほら。つまみ食いしてないで、ます寿司分けて頂戴」と向こうに行った。
義隆「パク…」最後の一口分の餅の口に入れて「ふぅ…ん」と味わった。
義隆が食べ終わったのを見て、
継「ほいッ」と、刃を拭いた包丁を渡し、その代わりに、柏餅を一つ、つまんで
与一「これ全部切り分けたら、上手くなるぞ」と、包みから柏餅をつまんで、
義隆「よぉーし」と気合を入れて、包丁を「とうッ!」と構えた。
与一「フ…(足りないかな)」と笑って、柏餅を食べた。
忠「俺も!」つまんで、
弁慶「…さて」と、最後の柏餅をつまんで「明日の準備して、寝るかな…」と食った。
そこへ、富樫「俺も!」と顔を出したが、空になった紙包みと、
弁慶「もう朽ちたろ?お前…(和菓子ちゃん生まれたし)」と残った柏の葉っぱを渡した。
富樫「子孫繁栄は、これからだ!おいッ、サブ・ロク!買って来い!」
サブ・ロク「えぇっ!俺らの分もねぇのぉ!?」と走っていったが、
弁慶「もう、店閉まってると思うぞ…」って、あぁあ、行っちまった。
継「そうそう、明日の月山に…」
義隆「…(月山!?)」と包丁の手が一瞬止まって、聞いてないフリして、包丁を構えた。
与一「…」
忠「ツネの懐剣だけどな…」
弁慶「薄縁…?」