ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

食えねぇ奴

2011-05-01 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
いつも通りにしゃべって、なんか言い訳してくれよ…そうしないと、触れちゃいけない何かがあるのかなって、疑っちまうから…。
船番所についても、黙々と狼煙を上げる斯波の背中が、なんだか淋しそうだった。
義経「う…ん」とうつむき、腕組みして、斯波の背を見つめていた。
そんな義経の背中を「どこやったけ?」と見ている脱衣所で会った女がいた。
斯波は、二本(OK)の狼煙を上げ、向こうの狼煙二本も確認して、
斯波「よし、乗れっ」と手を差し出したから、
義経「コクン…」と頷いて、風呂敷包みを渡した。
斯波「第一関門突破ッ」ニッと笑った時には、いつもの斯波に戻っていた。
出航する船を黙って見つめる女「ハッ!」気付いた「義経…!?」ギュと拳に力を入れた。
[河北村山]紅花の里を船出して、しばらくして、斯波は懐から煙幕を取り出した。
義経「!」(松尾さんの…)
斯波「スパイ5名中2名、高飛び」
義経「…」その高飛び脱走犯2名が、松尾さんと河合さん…だと分かった。
斯波「ところで、池田って、何もんだ?」
義経「へ?」唐突に、池田の名前が出たから、下顎を開けてアホ面下げた。
斯波「…。あいつ。俺らに、能子のワキが甘ぇってよ」
義経「わぁツ?」何の事だか分かんねぇ…。
斯波「フッ」とみかんを取り出し「まだ青いってよ」とクンと嗅いで、
義経「ん?」
斯波「熟してねぇ(時が満ちてねぇ)って…」と青いみかんをくれた。
義経「クン?」みかんを香って、母上と同じかっ(ガッコン)「うごっ」と停留所に到着し、船が急停泊して、みかんと鼻が「ツッ…!」ぶつかった。
斯波「クッ」と笑って「鼻があけぇぞ」と俺のほっかぶりをひょいっと取って、川の水で濡らして「冷やしとけッ」と銀山チームの召集に向かった。
義経「食えねぇ奴っ!」と鼻を冷やしながら、池田の目的について「うぅ…ん」と考えたが、
こればっかりは推測だけで結論出すわけには行かず、本人に直接聞かないと「分かんね…」
向こうから銀発掘チームが大きな箱を、えっこらせ、えっこらせ、と運んできた。
斯波「よし、積め!」と銀山チームに命令し、チームワークでわっせ!わっせ!と積んで、
義経「これが、銀か?」と船に摘まれる箱の中身を繁々と見つめ「泥の塊…」と斯波を見た。