ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

やっぱ、鮎でしょ

2011-05-03 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「次の番所って、船形だったな」
斯波「あぁ。妙な煙が数本…」薄暗い空を見て「気になるな」と急いで船形に到着したら、
義経「池田ぁ!?」が酒田の番人と炉端で鮎の塩焼きを食ってた…「妙な煙って…これぇ!?」
斯波「土岐(とき)っ、お前!何やってんだ!?」
酒田の番人 土岐「す、すみません」頬張った鮎に「ごふッ」と咳き込んだ。
池田「船形といえば鮎でしょ。皆さんの分も用意しましたよ」と焼き上がった鮎を差し出し、
オイボレたち「わぁーい、若鮎だ、若鮎!」と喜んで、食らい付いた。
最上川の支流の船形の小国川は、川魚の宝庫だ。川魚の中でも鮎は『松原鮎』と呼ばれ、お殿様、天皇御巡幸の折の献上魚だ。味よし香よし形よし三拍子揃った美魚で、
オイボレ「絶品じゃッ」た。
池田「昨日は見逃して頂き、ありがとうございます」スッと、鮎を差し出した。
弁慶「おっ♪」、サブ・ロク「さんきゅっ」と、さらに二本目に手を出したから、
ペシッと叩いて、
義経「接待で、遠慮と疑いを知らねぇのか!お前らはッ」
斯波「ッたく。食えねぇ野郎だな」と、炉端で鮎を焼く土岐をキッと睨んだ。
土岐「あ…」視線を逸らし、鮎をクルッと180度回転させて、満遍なく火を通していた。
池田「彼に、頼んだのは、俺です」いい焼き色が付いた鮎の串を二本取って、差し出した。
斯波「で、何か用か?」と鮎を引ったくって、
池田「銀山温泉で入浴料、払っていただいたお礼です。はい」と義経さんにも鮎を渡し「吉凶を“占う”ことから、その名が付いた…そうですね」と鮎の名の由来を確認してきた。
義経「ふん!」と頭から食らい付いてやった。
池田「あ。これも…」と紙包みを「頂き物の、お裾分けです」とオイボレに渡した。
オイボレたち「おっ」と、包みを開いて「団子(賄賂)じゃ、団子♪」
池田「あなたも」と、にっこり笑って「どうぞ…」と焼き上がった鮎を渡した。
由利さん「…」
池田「そんな怖い顔しないで下さい」
由利さん「娘に、薬…飲ませたら落ち着いた。ありがとよ」と、鮎を受け取り、
池田「いえ。ちょうど薬を常備していたものですから」
由利さん「それに、きみの弟君が、娘の看病にあたっている」と、頭を下げた。
池田「…。冷めないうちに、召し上がって下さい」