ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

医食同源

2010-07-18 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
つまり、美女に投げ飛ばされた男の心の傷に塗るような薬ではなく、見た目「ツバつけときゃ治るさ」と言われそうな擦り傷を新薬の効果を試したい一心で松尾は親切なフリして河合に渡した薬だった。しかし、少々の傷ならツバの殺菌除菌作用で自然治癒する。
ま、折角だ、松尾の試作品 紫雲膏を有難く塗っておこうと河合はぬりぬり~と傷に塗った。
河合「あぁ?なんだ?いい香りだな…」くんくんと試作品に鼻を近づけた。
松尾「そうだろ。試しに桂皮(けいひ)を交ぜてみた」と自慢した。
桂皮とは世界最古のスパイスと言われ、クスノキ科の樹皮を乾燥させ、粉々に粉砕し漢方薬として飲まれている。西洋茶の中には粉末もしくはスティックを入れて香り楽しんでいる。
義隆「あっ!八ツ橋っ!」と義隆が言った通り、京都のお菓子「八つ橋」二も桂皮が練り込まれている。シナモンと言った方が分かりやすいな。そのシナモンの香りが「八つ橋」を連想させたのだ。シナモンは飛鳥時代に遣唐使らが運んで来た生薬の一つだ。古来日本は医食同源とされ「食が薬だから食って胃を丈夫にしろ!」と言われていた?「八つ橋」は京都の銘菓だが、地元 富山のメーカーに目を向けたら巷の「ケロリン」と広告付きの桶がある。銭湯でよく見られた黄色い桶だ。そのケロリンは富山の薬メーカーで「内外製薬」さんだ。胃をケロッとパッ治すことからケロリン?と名づけられた「健胃薬」である。シナモンは胃腸を丈夫にする漢方薬なのだ。富山は売薬さん発祥地であり、江戸から明治時代にかけて、昆布等を運んだあの北前船で薬の原料 生薬もいっぱい積んでいっぱい運んだとされる。
河合「あぁ…塗った所、あったけぇ」と河合が体感した通り、シナモンには温熱効果がある。さらに、痛み止めの鎮痛剤作用もあり、痛みを誤魔化す??ことが出来るのだ。
このシナモン、冷え性の女性にはお勧めだ。しかし、昨今、男性の隠れ冷え性も目に付いてきたな。男女共に飲んでおこう!
松尾は見た目に気味悪い紫雲膏に、ちょっとだけシナモンを入れて香りをプラスしたのだ。
松尾「ほれ、やるよ」と試作品第一号「紫雲膏」を瑠璃姫に手渡した。
瑠璃姫「この見た目にこの香りってセンスが悪いわ」と、松尾を上から下へと見下した。
香りエッセンスより自分のセンスを見下されたような気持ちになり、松尾はうつむいた。
しゅんと…。
瑠璃姫「…努力の成果とミスった配合の香りエッセンスの試作品はただで貰っておくわ」
何かの時に他人に使えると思い、自分の肌には決して使わないと心に決めて懐にしまった。
義経「…(わざと不味い薬を作って、平気で他人に飲ますような女にエッセンスとセンスをとやかく言われたくないだろうな)」と松尾を哀れんだ。