ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

薬師

2010-07-01 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
完治したのはそれから二日後で、いそいそと瑠璃姫に御礼もそこそこにおじを追いかけ京に帰ろうとした。ら!?
瑠璃姫「薬壺代…頂戴」と澄ました顔で言われて、スラリと細く美しい手が差し出された。
牛若丸「え!?マジ?」触っていいの?と手を握ったが、パシン…と手をはたかれた。
そういう冗談は通じないらしい。
牛若丸はパトロンおじに全資金面援助してもらっていたので、持ち合わせのお金が無かった。
思い悩んで、仕方なく母 常盤御前に買ってもらった名笛[薄墨]を、
牛若丸「これで、なんとか…」と懐から出して、しぶしぶ(いやいや)渡した。
瑠璃姫「…」しげしげと[薄墨]を眺め、長いまつ毛をバチンと閉じ、それを受け取った。
どうやら、牛若丸が出世したら売ろう!と決めたようだ。が!?出世することなく追われの身となった義経で高値が付いたのは死後だった。
牛若丸「じゃ、”また”な!」と軽く次の約束して手を振って別れた。
瑠璃姫「ん…」と頷き、ひらりひらりと細い手を振って見送ってくれた。が!?
こういう上記の軽い態度と口は禍の門で、果たせるかどうかも分からない約束を信じ”また”の機会を楽しみに16年もずっと待ち続け、待ちぼうけ食らった瑠璃姫だった。
その待ちぼうけの間、牛若丸 元服後義経にまつわる妾話と正妻の噂話が聞こえてきて、
瑠璃姫「(堪忍袋の尾が)切れた…」と、脳細胞の神経系血管を数本ブチ切らし、研究用の遺伝子染色体を切らして損傷させていた。が!?女子染色体XXは損傷部分を修復できるので染色体を正常に戻しながら研究に没頭し、薬師博士号を取得した。現在、彼女は義経より2歳年上の33歳で遺伝子工学の権威、若きお面女教授 瑠璃として、三河薬師大で教鞭を取っている。そのお面の下の素顔は、もの悲しげなメーテル顔で、そんな素顔は多くの世の男性を虜にした。虜になった世の男性の染色体遺伝子XYは研究用材料のサンプルにされていた。
しかし、お面も素顔もどっちもどっちで本性はどちらも怒らせたら怖い女だと思う。
本性がとんでもなく怖い彼女は侍女で助手の冷泉院と禁断の染色体異常と遺伝子組換の研究を行っていたらしい(噂)。そんな難しい研究はいいとして、義経は別にすっぽかした訳ではなく、頼朝に追われて奥州に行くこと羽目に成った時、実は彼女を迎えに三河に行ったが!?
兼高様「入水した」と言われて、玄関で突っ帰されてしまった…というのが真相だ。
それもそのはず、兼高様にしてみれば、追われの身 義経に我が自慢の娘で薬師の申し子を嫁にやれっか!って話なのだ。彼女は、小さい頃から薬師の申し子と言われ、両親に大切に大切に過保護もいいところに育てられたお嬢様である。