火薬の匂い立ち込める本能寺を出て、
目と鼻の先にある南蛮寺に向かった。
帰蝶「全く対照的じゃな」
私の姿を見て、表に出て来た伴天連。
「待っておりました」と言わんばかりに、
マリアへの挨拶もそこそこ、
「ササ、こちらへどうぞ。オクガタサマ」
礼拝堂脇の間へと通された。
どうやら接待用客間らしい。
燭台中央には、三つ又蝋燭、
西洋菓子がすでに用意され、
帰蝶「(くん?)」
ある匂いに鼻が鳴った。
焼菓子の香りに混じって、
「(ヤスケ…?)」
彼の、独特の匂いがした。
ソルディ「オチャを、お持ちしました」
帰蝶「先客が居られたようで…」
ぽ…と一口、丸ボーロを口に運び、
ソルディ氏の顔色と出方を窺った。
ソルディ「カレ、ナツカシイと、よくカオを出しまする」
懐かしい…か?確かに、元々、
ヤスケは、彼らの奴隷である。
奴隷が殿に買われ、人生一変、
伴天連の通訳に抜擢、さらに、
その恵まれた体格で殿のお傍仕えとなり、
各地の南蛮寺を統括管理する役を与えた。
しかし、
帰蝶「確かに、懐かしい味じゃな」
懐かしいのは丸ボーロの味だけである。
目と鼻の先にある南蛮寺に向かった。
帰蝶「全く対照的じゃな」
私の姿を見て、表に出て来た伴天連。
「待っておりました」と言わんばかりに、
マリアへの挨拶もそこそこ、
「ササ、こちらへどうぞ。オクガタサマ」
礼拝堂脇の間へと通された。
どうやら接待用客間らしい。
燭台中央には、三つ又蝋燭、
西洋菓子がすでに用意され、
帰蝶「(くん?)」
ある匂いに鼻が鳴った。
焼菓子の香りに混じって、
「(ヤスケ…?)」
彼の、独特の匂いがした。
ソルディ「オチャを、お持ちしました」
帰蝶「先客が居られたようで…」
ぽ…と一口、丸ボーロを口に運び、
ソルディ氏の顔色と出方を窺った。
ソルディ「カレ、ナツカシイと、よくカオを出しまする」
懐かしい…か?確かに、元々、
ヤスケは、彼らの奴隷である。
奴隷が殿に買われ、人生一変、
伴天連の通訳に抜擢、さらに、
その恵まれた体格で殿のお傍仕えとなり、
各地の南蛮寺を統括管理する役を与えた。
しかし、
帰蝶「確かに、懐かしい味じゃな」
懐かしいのは丸ボーロの味だけである。