ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

癒しの手立て

2012-05-15 | 八岐大蛇伝説 ~治世の象徴 天叢雲剣~
池田「はい…」
照「斯波様も、心痛めておいでです。それと同じように、友人である姉も、苦しんでいます。
男性のお客様が来られる度に、女性にあんな目を遭わす人ではないか、女性を弄ぶ人じゃないかと疑ってしまって…優しかった恋人とも別れました」
池田「そこまで波及しているなんて…」
照「あの事件以来、姉は表情(カオ)を失くしました」
義経「顔…?」
照「私の前でも、お客様の前でも顔を作れない。表情を失くしてしまったのです。まるで、蝋人形のような、感情の無い顔。昔は、満面の笑顔を作って接客していたのに…もう、見る事は出来ないのです」
池田「その…笑顔を取り戻すために、斎藤を…」
照「末摘花様を襲った犯人が憎いです。でも、いくら憎んでも、姉に笑顔は戻って来ません」
“ねぇ、どう?ここのアヤメ団子、美味しいでしょう”
「昔のようにお団子を美味しそうに頬張って欲しいのです。過去を乗り越えて欲しいのです」
池田「…そうですね」
照「神は、なぜ、末摘花様を選んだのしょう?あんなお優しい方を…どうして…」
義経「…」
照「その優しさが裏目に出て、あのような酷い事件が起こってしまった…」
“ねぇ、聞いてよ。最上様がね、ここのお茶菓子は格別美味しいって、言って下さったのよ”
「もはや、優しいだけの言葉など、姉の心には響かないのです」
義経「で、ビンゴに賭けた」
照「斎藤様は、率直なご意見をお聞かせ下さいます」
義経「確かに、ポンポン、痛い事を言って来るし、」
池田「先見の明もありますね」
照「えぇ、案の定…」
“茶菓子と職場をマズくするようなら、接客業、辞めちまえよ”
「言い難い事を、正直に言って下さいます」
池田「しかし…逆に、傷付かないですか?」
照「もう傷付いているのです、私どもは。欲しいのは、深い傷痕を癒す手立てだけです」
池田「闇雲に優しい言葉を掛けるのは逆効果…という訳ですね」


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