ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

風と、水の神

2011-06-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「わぁ…」と感嘆の声を上げて「どうして、虹が出来たの?」と聞いた。だから…、
義経「夫婦が、渡って出来るんだ」と答えた。
なんとなく、義仲と山吹が、あの橋から俺たちを見ているような、そんな気持ちになった。
義隆「え?」
義経「日本の神話だ。水と風の神が、仲良く空を渡る。そうすると、虹が出来る」
義隆「水と、風の神様?」
義経「そう。水の源 義仲…お前の父上と、山の息吹…お前の母上が渡っているんだ」
義隆「息吹(いぶき)…?」
フゥッと息を空に吹きかけ、義経「風で、息だ」と教えた。
本当に、山吹が義仲の所に行ったんじゃないかと、そう思った。昨夜の、生霊の術…アイツからの最期のメッセージだったんじゃないかと思えてならなかった。
山吹は産後状態が悪く、動けなかった。そのために、葵が義隆を連れて奥州に来たんだ。
もしかしたら…俺たちは山吹と、もう会うことはない…かも知れない。そう、思ったんだ。
虹を見ながら、懐から[山吹柄の手鏡]を取り出し、義隆に渡した。
義経「父上と、母上に会いたかったら…これを見ろ」
義隆「…」意味が分からなかったのか…ただ黙って、鏡の柄の方を見つめていた。
義経「見せたい自分を、そこに写せ。決して、泣きっ面、見んな」
義隆「分かった」クルッと鏡を反転させて、自分の姿を映した。
映し出された顔は五歳…イッチョ男前になっていた。
義経「よし」
義隆「じゃ、もう一人の母上には?」
義経「葵、か…」今どこにいるんだろうな「アイツとは、大丈夫。繋がってる」
義隆「え?」分からない、という目を向けてきたから、
義経「義隆…」と目線を合わせるようにしゃがんで「葵の葉っぱって、見たことあるか?」
義隆「ない」と答えた。だから、濡れて柔らかくなった地面に指でなぞって描いてやった。
義経「心臓(ハート)だ。アイツ…双葉葵※は、二つのハートを繋いでる」

※賀茂神社の神紋
義隆「ハート…?」俺の真似して地面をなぞって、でこぼこした下手なハートを描いた。
義経「ここだッ」心の位置を教えるのに、拳で義隆の心臓を突いてやった。
義隆「ィテッ」
義経「あいつは、二つの心臓を繋いでる」と俺のハートと義隆のハートを蔓(つる)で繋げた。


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