「不都合な真実」次々 加計、森友、日報、働き方(2018年4月11日中日新聞)

2018-04-11 13:42:19 | 桜ヶ丘9条の会
「不都合な真実」次々 加計、森友、日報、働き方 

2018/4/11 中日新聞

 加計学園の獣医学部新設を巡り、二〇一五年に愛媛県今治市や学園の担当者らと面会した柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「首相案件」と発言していたことが分かり、「加計ありき」ではないとしてきた政府の主張が大きく揺らいだ。これ以外にも今国会では、政府にとって「不都合な真実」が明らかになり、従来の説明が否定されるケースが続発している。

■優遇

 「本当にこの政権、大丈夫か。国民は『何か変だ』と思うだろう」

 自民党の閣僚経験者は十日、さまざまな問題で連日のように政府の説明が覆る状況に眉をひそめた。

 加計学園問題で安倍晋三首相は、自らの友人が理事長を務める同学園が五十二年ぶりとなる獣医学部新設の事業者として認められた経緯を「指示はしていない」「プロセスは適切だった」と強調してきた。昨年五月、内閣府が「総理のご意向」と文部科学省に伝えたとする文書の存在が報じられた当初、菅義偉官房長官は「怪文書」と否定していた。

 また、柳瀬氏は、今治市の担当者と会った記憶はないと国会答弁してきた。

 しかし、柳瀬氏が市の担当者らと面会し、「首相案件」などと発言していたことが十日、本紙の取材で明らかに。

 政府側はなお否定しているが、愛媛県の中村時広知事も同日、柳瀬氏らの発言が書かれた文書の作成を認めた。政府の説明に反し、加計学園を優遇していた疑いが強まった。

■うそ

 前日の九日には、学校法人「森友学園」に約八億円値引きして国有地を売却した問題で、財務省がごみの撤去費用についてうその説明をするよう学園側に求めていた事実が判明した。

 昨年二月、同省の佐川宣寿理財局長(当時)は、ごみの撤去費用を差し引いた「適正な価格」で売ったと答弁していたが、根拠がぐらついた。

 森友問題では、首相の妻昭恵氏らの名前を削除する決裁文書の改ざんも今国会で明らかになった。

 防
衛省の日報問題では、昨年二月、稲田朋美防衛相(当時)は陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が「残っていない」と答弁したが、小野寺五典防衛相は今月、存在していたと公表。南スーダンやゴラン高原での国連平和維持活動(PKO)などの日報も次々と確認されている。

■壁

 長時間労働を助長すると批判された裁量労働制を巡っては、首相が今年一月「裁量労働制で働く方の労働時間は、一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁。その後、根拠としたデータに不自然な点が次々と明らかになり、政府は調査を撤回した。

 今国会に提出した働き方改革関連法案からは、裁量労働制の適用拡大が削除されている。

 いずれの問題でも、都合の悪い事実をごまかし続けてきた政府の対応が壁に突き当たっているのは否定できない。

 十一日には衆院予算委員会で、公文書問題などをテーマに集中審議が予定されており、野党側は徹底的に追及する構え。安倍政権が率直に国民の疑問に答えなければ、信頼は取り戻せない。

 (清水俊介、小椋由紀子)