10代の選挙権 その若さが社会を変える(2017年10月21日中日新聞)

2017-10-21 09:23:32 | 桜ヶ丘9条の会
<’17衆院選>10代の選挙権 その若さが社会変える 

2017/10/21 中日新聞
 十八歳と十九歳に選挙権が与えられて初めての衆院選。日本のリーダー選びに直結しうる一票になる。民主主義を担う一員としての自覚を持ち、投票に臨みたい。

 日本の行方を決める投票日はあす二十二日に迫った。

 自分がこれからどんな人生を送るかは、ひとり自分だけの責任ではなく、政治のあり方によって大きく左右されるのだ。その現実に気づいてほしい。

 いま置かれている境遇はそれぞれ異なるはずだ。高校や大学で学びながらバイトに追われる人、進学を諦めて会社に勤める人、子育てに奮闘する人もいるだろう。

 例えば、高騰する教育費に青息吐息になっている。重労働を強いるブラックバイトに苦しんでいる。雇用期限や低収入に不安を募らせたり、子どもに縛られて身動きが取れずに困ったりしている。

 そんなふうにさいなまれているのなら政治の責任だ。つらい思いをぶつけ、事態を好転させるための機会が選挙といえる。身近な問題を出発点にして、政党や候補者の公約を吟味してはどうか。

 殊に今衆院選では、教育の無償化が焦点になっている。若者たちにとって歓迎すべき動きだろう。

 もっとも、その元手をどう賄うかは議論がある。消費税率アップか。大企業や富裕層への課税強化か。一千兆円を超す国の借金を返す道筋も立てなくては、膨大なツケは将来世代に回ってしまう。自分なりの考えを一票に込めたい。

 日本は「シルバー民主主義」に支えられているとされてきた。少子高齢化が進み、高齢有権者の割合が増えて、政治への高齢者層の影響力が強まる現象をいう。

 高齢者は人口が多い上に投票率が高い。当選をうかがう政治家は、高齢世代の社会保障の仕組みを手厚くする傾向がある。それが世代間格差を広げてきたのだ。

 しかし、遅きに失したとはいえ、政治はようやく若い世代に光を当て始めたようだ。長い目で見れば、社会保障制度の維持に必要な投資だと分かったからだろう。

 人口が少ないからこそ、若者たちにとっては投票率を押し上げて、この機運を高めていくことが大切だ。

 昨年七月の参院選を見ると、十代の投票率は二十~三十代を上回ったものの、五割に満たなかった。それとは対照的に、六十~七十代はおよそ七割に達した。棄権するのは、自分の人生を投げるにも等しいと心得たい。