沖縄のヘリパット建設強行に立ち上がった東京の市民グループ(2016年10月24日ヤフーニュース)

2016-10-24 13:53:18 | 桜ヶ丘9条の会
沖縄のヘリパッド建設強行に立ち上がった意外な人とは?〈AERA〉
dot. 10月24日(月)7時0分配信


機動隊と市民のせめぎ合いが続く沖縄・高江周辺。道路封鎖などが続き、近隣住民からは生活への影響を訴える声も出ている (c)朝日新聞社
 沖縄本島北部で進む米軍ヘリパッド建設。これ以上、現場で起きていることを看過できないと、遠く離れた東京都民の有志が行動を起こすという。なぜか。

 米軍北部訓練場の約半分(4千ヘクタール)を返還する条件として、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設が進められている沖縄県東村(ひがしそん)高江。住民らの反対運動対策として、警察の機動隊が派遣されているが、そこに警視庁など沖縄以外の警察が動員されていることは意外と知られていない

 東京から沖縄まで、警視庁機動隊を派遣するのは違法・不当な公金支出ではないのか。東京都内の市民グループメンバーらが10月17日、都監査委員に派遣中止勧告を求める住民監査請求書を提出する。

●300人超が参加

 請求するのは市民グループ(田中祥士代表)の呼び掛けに応じた300人超。弁護士67人が代理人としてサポートしている。

 監査請求書によると、都公安委員会は沖縄県公安委員会からの「援助要求」を受け、7月12日に警視庁機動隊員の沖縄派遣を決定。警視庁機動隊員は、沖縄県警や他府県警の機動隊員らとともに7月19日以降、高江のヘリパッド建設予定地周辺で、法的根拠も示さず、市民の強制排除やテントの撤去、車両検問などを行っている。こうした警察力の行使は許されず、機動隊員への給与などの支払いは違法・不当として、速やかに機動隊員の派遣を中止するよう都公安委員会への勧告を求めている。

 監査請求の事務局を担当する高木一彦弁護士はこう憤る。

「東京都に所属する警察官の本務は都民の身体・生命・財産の保護にあり、他県での警察力の行使は例外的にのみ許容されるべきです。沖縄で基地に反対する市民を弾圧するのに、われわれ都民の税金が使われているのは許せない」

 警視庁の機動隊派遣の手続きに関してはこう指摘する。

「表面上、沖縄県公安委が都公安委に派遣要請する形式が取られていますが、沖縄県公安委の実質的な権限を握るのは国のキャリア官僚である沖縄県警本部長。政府主導で派遣が決定されたのは明らかです」

 大阪、福岡なども派遣

沖縄に派遣されているのは、警視庁のほじゃ千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡の全国5府県警の機動隊員。計500人規模に上がる。

ヘリパッドは、高江集落を取り囲むように6カ所の建設が計画されている。すでに完成した2カ所では、米海兵隊のオスプレイが昼夜を問わず訓練に使用。高江では今年6月の夜間(午後7時~午前7時)の航空機騒音発生回数が、2年前と比べて約24倍の383回に上った。

 一方、北部訓練場の部分返還を「負担軽減」の目玉にしようとヘリパッド建設を急ぐ政府は9月、工事に使う大型車両を自衛隊のヘリコプターで搬送。10月8日には菅義偉官房長官が沖縄を訪問し、高江区への直接的な財政支援を検討する意向を示した。

「現場では夜を徹し、今この瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務に当たっている。今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」

 9月26日の所信表明演説で安倍晋三首相は安全保障環境の変化やヘリパッド移設に触れたうえで、こう訴えた。安倍首相に促された自民党議員は一斉に立ち上がって手をたたき続け、約10秒間、演説が中断した。「起立」と「拍手」への批判は上がったが、演説内容に異論をはさむ声は目立っていない。

 しかし、沖縄では安全保障政策を巡って混乱が続いている。高江では、沖縄戦を体験した車いすの女性(87)が機動隊とのもみ合いで小指を切って5針を縫うけがをした。取材記者が機動隊に強制排除される事態も起きた。地元紙は、高江で市民を排除する際、耳元で暴言を浴びせる機動隊員がいるとも報じている。辺野古海域でも、海上保安庁の「過剰警備」が問題視されてきた。

 為政者が命じた任務にどのような意味があるのかは、置かれた立場によって受け止め方が異なる、ということに想像力を働かせる必要がある。今回の監査請求はそう訴えている。(編集部・渡辺豪)

※AERA 2016年10月24日号