<いま読む日本国憲法>(8)第14条 差別認めず平等誓う(2016年5月15日中日新聞)

2016-05-15 08:43:05 | 桜ヶ丘9条の会
<いま読む日本国憲法>(8) 第14条 差別認めず平等誓う 

2016/5/15 中日新聞

 自由と並んで、近代憲法にとって不可欠な原則である「平等」について定めた条文です。

 特権的な華族制度や、女性に選挙権が与えられない男女差別など、旧憲法下で残っていた封建的な制度や差別から国民を解放し、だれもが等しく尊重される社会をつくろうという誓いが込められています。

 こうした考え方に反していると最高裁が判断した例として、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続を結婚した夫婦の子の半分と最近まで定めていた民法の規定があります。二〇一三年九月、最高裁が一四条違反との判決を下し、法律が改正されました。

 一四条を巡っては、国政選挙の「一票の不平等」もよく話題になります。議員一人当たりの有権者が多い選挙区ほど一票の価値が軽くなるのは法の下の平等に反するとし、最高裁は最近の衆院選、参院選について立て続けに「違憲状態」との判断を示しています。ただ、選挙制度は政党の利害が絡んで調整が難しく、不公平は依然残っています。

 自民党の改憲草案は、差別が許されない具体的ケースに「障害の有無」を加えました。一方、栄典の授与について「いかなる特権も伴はない」という現行の文言は削除しています。

 栄典の授与は天皇の国事行為(憲法七条)。草案は天皇を「元首」と位置づけるなど、天皇の機能強化を図るような表現が目立ちますが、これもその一環ではないかという指摘があります。一代限りでも何らかの特権が認められれば、法の下の平等が損なわれる恐れがあります。